見出し画像

【野球】「自家製の四番」大山悠輔が帰ってきた

いよいよ明日からは交流戦。近年はすっかりパ・リーグ様の強さに恐れおののくイベントと化し「5割で御の字、何なら8勝10敗くらいで大崩れしなければOK」くらいの気持ちで行方を見守っているが、今年に関してはどれだけ通用するか野心を燃やしながら戦うことができそうだ。

糸原健斗の離脱は残念極まりないが、代わりに大山悠輔が戦線に戻ってきた。パ・リーグの強力な投手陣を打ち崩すには、やはり主砲の一撃は不可欠。よく短い期間でコンディションを立て直してくれたと思う。早めに登録抹消を決めた首脳陣のファインプレーでもある。

大山不在の間、四番を任されたのが佐藤輝明だった。

正直、大山の穴を埋めるのは荷が重いと思っていた。彼の持ち味が出るのは下位打線で自由にスイングできるからであって、どうしても1点がほしい場面で「最低限」を求めるのは酷だし彼自身のためにもならないのでは..四番を経験させるのはいいけど、この間は負けが込んでも仕方ないだろうと考えていたのだが、やはり規格外のルーキーは違う。
四番に座って2試合目の、8日DeNA戦で適時打2本を放ち勝利に貢献すると、15日の読売戦でも3本の二塁打(うち適時打が2本)で打線を牽引。本塁打こそ「業務スーパー弾」以来しばらく遠のいているが、主軸としては申し分のない働きを見せてくれた。

おかげで「四番・佐藤」で戦った10試合は6勝3敗1分と、チームも上々の成績を残すことができた。



しかし、改めて思う。いきなり四番を任されても重圧は皆無とばかりにフルスイングを続け結果も出すサトテルもすごいが、苦しみながら一歩ずつ成長し才能を花開かせた大山に対する愛着は尋常なものではないと。

ドラフト会場での悲鳴に始まったプロ生活。ルーキーイヤーから期待を寄せられるも結果が出ず、2年目には不振で二軍落ちも経験。19年には四番に固定されるも批判の的となり、実力以上に不遇なキャリアを送ってきた。
だからこそ、昨年は最終盤まで本塁打王のタイトルを争うまでに成長した姿が何とまばゆく見えたことか。首脳陣も辛抱強く期待をかけ続け、(ボロクソ言うてた一部の勢力を除く)ファンも将来のためにと温かく見守り続けた結晶が今の大山なわけだ。

いわばサトテルがデパートで買ってきた名店のお惣菜ならば、大山は自宅でじっくりコトコト仕込んだ煮物。どちらもおいしいが、大山が完成するまでにはどれだけ手間と愛情が込められているか。

矢野監督も「しばらくは楽な打順で」などという考えはなさそうだ。当然ながら復帰即四番。もちろんそれでいい。豪快なアーチだけではない。状況に応じて最低限の外野フライや内野ゴロで打点を積み重ねる姿から伝わる「自家製の四番」としての矜持を、また明日の試合から見せてもらおうではないか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?