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【コラム】報われる喜び

先週、久しぶりにパナスタに行ってきた。

ちょっと勝ち始めたら見に行きたいと思ってしまう、我ながら調子のええやっちゃである。チームの強さとは反比例するようにスタジアムのムードづくりはどんどん洗練されてきて、いつかピッチ上のクオリティと合致してすばらしい空間が生まれることを願いたい。

試合は優勢に進めながらも決定機はなかなか作れないまま後半へ。福田のド根性ダイビングヘッドでようやくネットを揺らすと、どうにかこうにか反撃を抑えてしぶとく勝利。ガンバクラップのためなら内容など二の次、とにかくみんな笑顔でおうちに帰るには結果が一番なのである。

翌朝。

テレビで将棋のNHK杯を観戦。もちろん我が心の師匠・藤森哲也五段を応援するためである。日々YouTubeでの対局動画から将棋の基礎と楽しさを教わる恩師が本戦出場とあっては応援するしかない。もう家族総動員、昼食も事前に仕込んでおいて全集中モードである。
しかし相手は格上の山崎隆之八段。哲ちゃん自身もよく「自分はプロ棋士の中では弱い方」と話しているように、下馬評では分が悪い。たぶん勢いよく攻め込んで玉砕するんやろなあと覚悟しながら見守っていると..

まさかの勝利である(失礼

序盤は予想外の袖飛車で攻められ、一手でも間違うと即崩壊してしまいそうな状況で冷静に受けに回ると、中盤から徐々に攻めがつながり始める。AIの評価値も徐々に50%を越え、ぎゅいーんと数字が伸びると6歳の娘も「おおぉー!!」と大歓声。お得意のブッチ(飛車や角をぶった切って攻勢を強めるの意)も飛び出した。
最終盤は秒読み将棋となり、うっかり失着を犯すと大逆転のリスクもある中で冷静に相手玉を包囲。山崎八段投了の瞬間は思わず「よっしゃー!」と大歓声を上げてしまった。

報われるって、うれしいですねえ。

この春くらいから競馬に対する情熱が冷めてきて、桜花賞も日本ダービーも空虚な気持ちのままぼんやりと眺めるだけだった。馬券なんてもちろん買ってないし、日曜午後の予定を空けずに出かけたり子どもの相手をしていたりなんてケースも珍しくなくなった。

その最たる原因が何なのかは未だに謎なんですけど、「自分の望み通りの結果が得られないことへの不満」みたいなものが芽生えていたのかもしれない。馬券とも距離を置いた付き合いをしていると、そもそも競馬に対して何かを望むことすらなくなってきてしまって、当然ながら報われる想いを味わうこともなくなってしまったという。坂井瑠星の活躍が心の支え..と思ってたらしょっちゅう海外に飛んでいくわ、挙句の果てにケンタッキーダービーでコンティノアールが取り消しになるわでおもんなさの極みを味わったw

当然ながら夏競馬も適当にしか見ていないし、いよいよ新馬戦すらテキストで結果を追う程度。POGも今季は全くやる気になれなかったし、これは非常に危険な兆候である。せいぜい映像を見るのはメインレースの時間くらいなのだが、先週はそういう巡り合わせだったのか七夕賞を幸さんのセイウンハーデスが勝利。自分が感受性を鈍らせている間も鉄人はさわやかに汗を流し続けていたのである。

勝負の世界を追いかける以上、思いが報われるとは限らない。しかし、報われるには想い続けるしかないのである。ずっと自分に言い聞かせてきた言葉を再び思い出す週末になった。さあ、これで何かが変わるだろうか。

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