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女子中高生向けのSTEAM教育 ~CPSを3Dプリントで体験してみる!(共有編)

2021年夏、遊びに行きたいのにいけない、いけない、いけない、が続き何か新しいことに挑戦しよう!と3Dプリンタを購入しました。
実はGWに光造形式プリンタを購入していました、が、使い勝手や作れるものの制約を考えてFFF方式を新たに導入しました。
その後、毎日実験をしています。こんな面白いものを独り占めするのはもったいない、という気持ちを持っています。
また、リケジョを増やしたい!という思いで、女子向けSTEAM教育に関与したいなと思っていました。いろんな方に、やりません?と話をし続けてきて、今回主催いただいた大学のダイバーシティー推進センターの先生に、是非!と言っていただき、STEAM教育開催の運びとなりました。先生、センターで協力いただいた皆様に感謝!です。

ちなみに、私が大学生の時には、学科の女子率は4/200=2%でした。現在は10%程度ということですので、5倍になったということになります。それでもまだまだだなと。小さいときからモノ作りの楽しさを知ってもらうというのが重要かなと思っているため、STEAM教育に携わりたいと思っていました。

結果、24名の女子中高生の方が参加してくれました。一緒に企画を盛り上げてくださった、大学生の皆様、サポートしてくださった事務局の方々に感謝!そして約半日、頭をフル稼働してくれた中高生の皆さんに感謝!です。
詳細なとりまとめは別にあります。

当日のルールは、

  • 初めにデッサンをする。寸法も書き入れる

  • 色は2色まで

  • 造形寸法は$${150mm^3}$$

としています。
また、当日全体に向けて説明したのは、スケッチ、押し出し、回転といった基本機能のみです。初めて3D CADを使う方が多く、視点の切り替えなどこれらの機能を使いこなす以外にも注意点が必要だったりしたためです。
Fusion360上での設計は参加者の方が自ら取り組まれ、そのあとのスライス、プリントはこちらで担当しました。

本記事はWorkshopに興味のある方向けの内容に絞ってあります。先ほど、オリジナル原稿を誤って公開してしまいましたが、下書きに戻しました。ご覧いただいた方、大変申し訳ありません!

1. Aさん

スケッチ&Fusion360での設計

髪ゴムのアクセサリーだそうです。小さな作品ながら形に気持ちがこもっていると思います。ゴムを通す部分を一体化させたいとのことでした。ループ部分にサポートが付くことは避けられないので、別体としました。

プリントした作品

色の指定がなかったこと、プリント時間が6分と短かったことからサービスで3色でプリントしてみました。

小さい作品ながら、細かいところまで気を配った作りとなっています。

2.Bさん

スケッチ&Fusion360での設計

キーホルダーでしょうか。最後に枠と目などのパーツは黒にしたいという希望が出されましたので、それ向けに作業を追加でされました。

プリントした作品

今回の趣旨(3Dプリンタで実現できる形)を理解し、2色まで使用可能というルールを最大限生かし、最後まであきらめずに追求したい形の実現にこだわっていたなと思います。

3. Cさん

スケッチ&Fusion360での設計

鉛筆立てでしょうか?きちんとスケッチで寸法まで書き入れており、作りたいものの形を明確にしたうえでCAD入力されていると思います。シンプルなデザインながら、説明した基本的な手順をきちんと踏み、今回目指すものを理解して進められていたと思います。Fusion360の履歴を見てもエラーが一つもありませんでした。

プリントした作品

シンプルなデザインながら、説明した基本的な手順をきちんと踏み、今回目指すものを理解して進められていたと思います。実は、斜めのラインも角度が途中で帰られており、意図を感じます。私も、京都造形芸術大学(現在の京都芸術大学)で陶芸を学んだとき(第2の学生生活、通信制)に、技法をたたら、ろくろ、型、てびねりと、個別に習い、手を動かすことでそれぞれの特徴と魅力を知りました。縛りがあるということは自由度を失いますが、その分工夫をしたり新たな発想につながります。

4. Dさん

スケッチ&Fusion360での設計

アクセサリーのようです。

ループにゴムなど通すのでしょうか。指示通り、きちんと方眼紙にデザインされていました。寸法も入っていました。しかしながら、断面を見るとこのようになっています。すなわち、ループと上のボディは点でしかつながっていません。これではプリントしてもすぐに外れてしまいます。よって、ループ部分をめり込ませ、るとともにループを別体としました。サポートを防ぐためです。

プリントした作品

細かいところにこだわったデザインとなっています。配色も美しいです。

5. Eさん

スケッチ&Fusion360での設計

総括ピラミッド型の小物入れのようです。

実はクリアランスが大きすぎてがたつくので外観に影響ないように設計変更しました。

プリントした作品

最上部の模様は面ごとに異なります。

重心解析など、いろんな機能にチャレンジされ意欲を感じました。

6. Fさん

スケッチ&Fusion360での設計

2段引き出し付きの箱ですね。サイズ上限120㎝^3という範囲を超えてしまっています。(当日、いいよと言ってしまったことを後で後悔しました。)


プリントした作品

0.6mmノズルを用いましたので(それでも10時間!)多少側面が粗くなっていたりしますが、美しい出来上がりと思います。

7. Gさん

スケッチ&Fusion360での設計

アクセサリーなのでしょう。緑の円はへこんでいますが、はじめは押し出してあって、その後へこませてと、試行錯誤を重ねたようです。しかしながら、3Dプリントするうえでの問題点が見つかりましたので少々手を入れさせていただきました。

プリントした作品

白い作品の別体でプリントしたリングはかろうじて取り付けられた感じです。薄緑のほうは美しく仕上がりました。

8. Hさん

スケッチ&Fusion360での設計

エラーもなく、フィレットも入っており素敵なデザインになっています。色が変えられるのはレイヤ単位であることを理解されています。2色までOKとしたのですが、2回フィラメントを変更する羽目になってしまいました。次回は1色としましょう。

プリントした作品

完成度の高い作品です。ただし、丸みを帯びている部分は積層痕が残りますよという忠告通り、黒の手すりのような部分の上面付近は積層(0.35mm)の跡が見えます。

9. Iさん

スケッチ&Fusion360での設計

実は、15mm*25mmの小さな作品です。もともとは、立体的な猫をデザインしようとされていました。しかしながら、そのような形はForm機能を駆使する必要があり、結局平面的なものになりました。

プリントした作品

左が初めにプリントした原寸の作品。右が200%でプリントしたものです。

最後の最後まで手を動かし続けたのは素晴らしいと思います。

10. Jさん

スケッチ&Fusion360での設計

アクセサリーホルダーです。さきっぽのとがったところを丸めるために苦労されていました。

プリントした作品

繊細で美しいデザイン、円錐状だと先端がとがるのでそれを丸めるなど配慮が行き届いていると思います。ご自身でスライス、プリントまでできるようになると、プリンタの限界を感じながらぎりぎりをせめられるのだと思います。

11. Kさん

スケッチ&Fusion360での設計

デザート皿にのったプリンとカラメルがかかったプリンをデザインされました。カラメルのかかったプリンのほうは、他に方法が思いつかず、シートメタル機能を用いています。

プリントした作品

白いデザートプレートの上にプリンが載っています。奥のプリンはカラメルが流れています。

作りたい形があるというのは素晴らしいことです。

12. Lさん

スケッチ&Fusion360での設計

小物入れでしょうか。よくデザインされています。

プリントした作品

きれいに仕上がっています。

手慣れた感じでデザインされており美しい作品が出来上がりました。新しい機能を覚えながら作りたいものの実現を追及していただきたいです。

13. Mさん

スケッチ&Fusion360での設計

コップです。

ラフな柄がシンプルなコップにニュアンスを与えたと思います。
3Dプリント作品を食器に使用することは本来はお勧めしません。積層痕の隙間に食品残渣が発生するからです。希望の色が艶白で、手持ちのフィラメントに艶白のPETG(食品用使用可能)がありますのでそちらでプリントすることとしました。

プリントした作品

実現したい形が明確で、それを実現するために試行錯誤されていました。

14. Nさん

スケッチ&Fusion360での設計

コースターです。手数も少なく、基本コマンドを使ってデザインされています。


プリントした作品

白と黒のコントラストがはっきりとした作品です。ほかの色の組み合わせも楽しみです。



15. Oさん

スケッチ&Fusion360での設計

ミュージックプレイやを片付けるためのスタンドだそうです。

プリントした作品

フィラメントはクリアタイプのものを選択されました。

使えるものに仕上がったと思います。

16. Pさん

スケッチ&Fusion360での設計

スマホのケースを作ろうとされていました。

プリントした作品

実は難易度の高い作品です。

こういったものは、提供されているモデルと実際の形状の違いをよく観察して、試作して、を繰り返す必要があります。

17. Qさん

スケッチ&Fusion360での設計

有機的なデザインの作品です。半円ではなく、いびつな形を回転させて作った形を組み合わせたそうです。ブロッコリーをイメージされたそうですが、とても素敵なデザインになったと思います。

プリントした作品

総括

難しい機能を使いこなすより、実現したい形を思い描いてそれをシンプルな機能で実現されていかれたのが良いと思います。

18. Rさん

スケッチ&Fusion360での設計

基本の、スケッチと押し出し機能を使ってデザインされました。シンプルながら、古典的な模様を非対称に配置した、素敵なデザインになっています。

プリントした作品

黒の地色に水色がぱきっとして素敵な印象になっています。

こういった遊び心とセンスがあるのは羨ましいです。次は立体的なものにも挑戦していただきたいです。

19. Sさん

スケッチ&Fusion360での設計

非常に手数が少なく、厚みなども考えられている作品です。厚みがが1cmもあり、文字が側面にあるのでそのままプリントできません。なので、デザインを損なわないように分割してプリントしました。


プリントした作品

文字と本体を分離してプリントし、接着したものがこちらの通り。

作品として良いものになったと思います。

20. Tさん

スケッチ&Fusion360での設計

様々な機能を使いこなすことで、対称性の高いカエルをデザインされています。デザインもすっきりしています。ちょっと気になるのは上のひっかける部分の根元が少し細いかなということです。

プリントした作品

デザイン上細かいところまで気を遣われている作品です。配色もきれいです。

21. Uさん

スケッチ&Fusion360での設計

基本機能のスケッチと押し出しを駆使されています。すべて押し出しだけでなく、穴と組み合わされたところが素敵だと思います。

プリントした作品

水色が美しい作品です。円の大きさが異なり、非対称にちりばめられているのが良いと思います。

構想をきっちりデッサンされ、それをCADでデザインされていました。基本機能しか用いないのに完成度の高い作品になっていると思います。

22. Vさん

スケッチ&Fusion360での設計

3D CADのスケッチを見ると、ラフに柄をデザインされています。勢いを感じるのはそのためだと思います。クリアランスは0.3mmとられており、きちんと設計されています。

プリントした作品

緑と青の淡いコントラストが素敵です。

23. Wさん

スケッチ&Fusion360での設計

メイクケースのようです。デッサンもきっちり寸法まで入れられています。壁の厚みを1mmとしていましたが、2mmあるとよかったかもしれません。1mmだとちょっとか弱い気がします。

プリントした作品

きちんと構想して、それを実現した作品です。

24. Xさん

スケッチ&Fusion360での設計

最後までこだわり続けられたのでしたらよかったと思います。竹の斜めのカットは押し出しを使われていました。知っている機能を駆使してこのような表現ができたのは素晴らしいと思います。

プリントした作品

シルクグリーンのフィラメントとマットホワイトのフィラメントを選択されました。この方の世界観なんだろうなと思います。

反省と総括

今回は、初めての試みとして、作りたいものをできる限り実現してもらうことを大切にしました。
初めての試みとしてはうまくいったのではないかと思います。
講師・アシスタントの方々のサポートと、ホスピタリティ、事務局の方々の完璧な準備のおかげだと思います。参加された方々が興味を持ってくれたらうれしいのですが。

当日はへとへとになりましたが、良い経験をさせていただきました。是非継続、発展させたいです。
3Dプリンタ、プログラミング、動くものなど発展の方向性は様々です。

これを機に、STEAM教育に本腰入れたくなってきました。同志で意欲的な方と、活動を広げていきたいです。



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