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【CDレビュー】令和新風04 「ムーラン」より

CD基本情報

◆タイトル
令和新風04 「ムーラン」より

◆発売日
2023年1月13日

◆収録曲

  1. Il calore di tre risaie(イル・カロレ・ディ・トレ・リザイエ)/高昌帥

  2. 巡礼の島/酒井格

  3. 夜の来訪者 ~J.B.プリートリーの戯曲に基づいて~/松下倫士

  4. 「ムーラン」より/J.ゴールドスミス、M.ワイルダー、D.ジッペル(編曲:宍倉晃)

  5. 交響詩「鯨と海」/阿部勇一

◆演奏
指揮:福本信太郎
演奏:昭和ウインド・シンフォニー

◆その他
CDブックレットには作曲者による曲目解説、指揮者と演奏者のプロフィール、演奏メンバーの一覧が記載。
曲目解説の内容はブレーン社の楽譜販売ページに記載された内容と同一。

CDレビュー

Il calore di tre risaie(イル・カロレ・ディ・トレ・リザイエ)/高昌帥

兵庫県の三田学園吹奏楽部による第50回定期演奏会記念委嘱作品。
タイトルは「三つの熱い田野(熱い三田)」を意味するイタリア語だそうですが、その名の通り冒頭からピッコロを除く管楽器全員でのアツい音楽で始まります。
曲全体を通して3拍子や12/8、9/8、6/8拍子といった3連符系の拍子なのは委嘱先の「三」田学園に絡めた洒落でしょうか。笑
高昌帥作品に頻出する変拍子の嵐もなく、トランペットをはじめとした金管楽器の吹きっぱなしのしんどさも控えめな印象で、取っ付きやすいイメージですね。今年のコンクール等で取り上げる団体がそこそこありそうな印象です。

巡礼の島/酒井格

陸上自衛隊第14音楽隊による2021年の作品で、四国八十八ヶ所の巡礼をテーマとした楽曲。
阿波(発心の道場)→土佐(修業の道場)→伊予(菩提の道場)→讃岐(涅槃の道場)を、それぞれ緩→急→緩→急の四つの部分で巡る構成となっています。

私の大学の後輩にあたるトロンボーン奏者の隊員から、私の友人であるトロンボーン奏者を通じてお話を頂いたこともあり、後半にはトロンボーンセクションの見せ場があります。
作曲者による楽曲解説より抜粋

と作曲者自身もコメントしていますが、冒頭や土佐・讃岐に入った場面でもトロンボーンの旋律から始まるので、後半どころか全編を通してトロンボーンがおいしいですね。笑
『森の贈り物』や『波の通り道』のように、風景が目の前に広がるような楽曲で良い意味で酒井格作品らしい作品です。
終盤8小節のティンパニの大活躍もどこか『藍色の谷』を彷彿とさせるような締め方です。

夜の来訪者 ~J.B.プリートリーの戯曲に基づいて~/松下倫士

大阪府の精華高等学校吹奏楽部の委嘱作品の管打8重奏の楽曲を拡張した吹奏楽版の楽曲とのことです。
アンサンブル版→吹奏楽版への拡張に合わせて演奏時間も5分から約13分に拡大されていてなかなかのボリュームです。
同じ松下倫士作品の『ル・シャン・ドゥ・ラムール・エ・ドゥ・ラ・プリエール(愛と祈りの歌)』のシリアスな部分を拡張したようなイメージの楽曲で、1曲通して聴くのになかなか体力がいりますね…。
コンクールで演奏するには抜粋がなかなか難しいような印象です。

「ムーラン」より/J.ゴールドスミス、M.ワイルダー、D.ジッペル(編曲:宍倉晃)

CDのタイトル曲ともなってる本楽曲はディズニー映画「ムーラン」からのシンフォニック・セレクションの楽曲で、編曲は宍倉晃氏。
トランペットのソロによる「家に名誉を」の音楽から曲が始まり、劇中宴の「リフレクション」などムーランのサウンドトラックから抜粋された数曲がメドレー形式で演奏されます。
ディズニー音楽の宍倉版編曲作品というと『ポカホンタス』の印象が強いですが、短い時間で見せ場が凝縮されていた同楽曲と比べると、こちらはコンクールよりもコンサート向けの楽曲という感じですね。

交響詩「鯨と海」/阿部勇一

グラールウインドオーケストラの第41回定期演奏会の委嘱作品です。
この1曲のために本CDを買ったと言っても過言ではない、個人的に1番気になっていた1曲でした。
冒頭の低音楽器の6連符は北極海の冷たい海中を泳ぐ鯨の描写、突如目の前に現れた黒い山の如く巨大な鯨の描写、太陽の光を受けて輝く南の海のキラキラとした景色…など「鯨と海」に着目した様々な描写が音楽で表現されていきます。
阿部勇一作品で同じく「海」をテーマにした『われらをめぐる海 ~レイチェル・カーソンに捧ぐ~』や、近年徐々に演奏機会が増えてきた『黎明のエスキース』『交響詩「ヌーナ」』と比べて、何を表現している場面なのかが分かりやすい楽曲という印象です。

総評

演奏・録音のクオリティはコロナ禍以前に発売された令和新風01~02と比べても遜色無い出来で、安心して聴けます。
東京藝大ウィンドのように、コロナ禍以降CDが出なくなったシリーズ(2名の作曲家をピックアップして毎年出していたシリーズ、個人的に大好きだったのですが…)もある中、新レパートリーの開拓・録音を続けており頭の下がる思いです。
本CDの惜しい所としては、収録時間が全体で約53分と短い所でしょうか。もう1~2曲収録されていれば言うこと無しなのですが。

CDの購入は以下のブレーン社のホームページもしくはAmazon等の通販サイトより。


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