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【楽曲解説】交響組曲第2番「GR」より(天野正道)

 本日紹介するのは天野正道(あまの まさみち)作曲の『交響組曲第2番「GR」より』です。
 先日は交響組曲第2番「GR」の解説をしましたが、今回解説をするのは吹奏楽全曲版にあたる『交響組曲第2番「GR」より』です。

 GRシリーズについては複数のバージョンがあり混沌としているため、まず最初に本noteで解説する内容/しない内容を明記しておきます。(本noteで解説しない部分についても別noteにて今後楽曲解説予定です。)

[本noteで解説する内容]
 ・交響組曲第2番「GR」より(吹奏楽全曲版)

[本noteで解説しない内容]
 ・交響組曲第2番「GR」より トレインチェイス・エディション(管弦楽版・吹奏楽版)
 ・交響組曲第3番「GR」より(管弦楽版・吹奏楽版)
 ・「GR」よりシンフォニック・セレクション
 ・「GR」より明日への希望
 ・交響組曲"GR"「地球が静止する日」
 など

[既にnoteで解説済みの内容]
 ・交響組曲第2番「GR」(管弦楽全曲版)

■参考音源

・吹奏楽版全曲版(交響組曲第2番「GR」より)

浅田 亨指揮/浜松交響吹奏楽団による演奏

■一言でまとめると

 ・管弦楽全曲版である交響組曲第2番「GR」(55分程度)を吹奏楽用に抜粋して15分程度にまとめた作品。
 ・サントラの楽曲を吹奏楽版に合わせて一部移調、楽曲のカットをしている。

■解説

 冒頭に紹介した別記事では、管弦楽全曲版の交響組曲第2番「GR」はOVA「ジャイアントロボ」の完結後に全7話(100曲超)の楽曲を加筆・再構築して55分程度(14曲)にまとめた組曲ということを紹介しました。

交響組曲第2番「GR」(管弦楽全曲版)の概要

 管弦楽用に作曲された楽曲のため、原曲そのままの調・楽曲構成を吹奏楽編成で表現するには困難が伴います。(弦5部の響きや弦楽器のトレモロはどう表現するのか、弦楽器と異なりシャープ系の調が演奏しづらい…など)

 そこで、交響組曲第2番「GR」の楽曲を作曲者自身が抜粋・再構築することで吹奏楽編成でも演奏できるようにした楽曲が『交響組曲第2番「GR」より』です。
 "より"とついているのは管弦楽全曲版からの抜粋であることを示すためで、吹奏楽編成ではこの楽曲が全曲版扱いとなります。

交響組曲第2番「GR」より(吹奏楽全曲版)の概要

■使用楽曲について

 以下、楽曲で使われている原曲と合わせて解説していきます。
 サントラの曲名の後ろに記載している数字の(n-n)部分は該当のサントラが収録されているCDの番号(=OVAのエピソード番号)と曲順を示しています。

0:00〜 →  G.R.発動す!!-G.R.1号vs-G.R.2号(5-4)

 トランペット・トロンボーンによる3連符の掛け合いのファンファーレが印象的な楽曲です。

 管弦楽全曲版だとPart2の冒頭でも使用されていたエピソード5の「G.R.発動す!!-G.R.1号vs-G.R.2号」の楽曲ですが、管弦楽全曲版と異なり一部カットされています。(サントラの3:30〜4:30あたり、女声コーラスが入る前まで1分ほどカット)

 また、終盤の感動的なコーラスのフレーズも前後の部分との繋ぎの関係か、原曲から調が変わっています。

4:20頃〜 → 大団円へのプレリュード(7-1)

 低音楽器のロングトーンにスネアなどの打ち込みが加わる伴奏と、それに続くホルンの勇敢な旋律が印象的な楽曲です。

 こちらは管弦楽全曲版のPart1で使用されていたOVAエピソード7より「大団円へのプレリュード」が原曲で、管弦楽全曲版と同様に冒頭1分半程度を抜粋しています。

5:50頃〜 → 追憶(6-10)

 前曲「大団円へのプレリュード」から本曲「追憶」へ繋げる(そして「追憶」は冒頭30秒・終盤20秒ほどカット)という部分は管弦楽全曲版と同様です。
 冒頭の弦楽器による暗い雰囲気の音楽はクラリネットなどの木管楽器に置き換えられています。

8:25頃〜 →  十傑集出撃せよ(6-7)

 管弦楽全曲版ではPart1の冒頭でオーケストラの低音群によるミステリアスな序奏から始まっていましたが、吹奏楽全曲版では冒頭1分程度をカットしホルンの勇敢な音楽から始まります。

 また、サントラでの後半部分も丸々カットされています。(要は「十傑集出撃せよ」の中間部のアレグロ部分のみ吹奏楽版では抜粋されています)

10:40頃〜 → エンディング・テーマ(3-15)

 管弦楽全曲版でもPart2のラストの曲として使用されていた「エンディング・テーマ」で吹奏楽全曲版も締めくくられます。

 原曲では弦楽器によって奏でられていた平和的な旋律は、吹奏楽版では木管楽器によって演奏されます。最初は小さい音量から始まりますが、コーラスなども加わり徐々に音楽が広がり、最終的には圧倒的な感動のクライマックスを迎えます。

 原曲や管弦楽全曲版とは調が異なりますが、管楽器がよく響く、より優しい響きの調になっています。

■収録CD

・浅田 亨指揮/浜松交響吹奏楽団 『天野正道 交響組曲第2番「GR」より』[CAFUAレコード CACG-0016]

 参考音源として紹介したYoutubeの吹奏楽版の収録CD。先日リリースされたApple Music Classicalでも聴くことができます。
 天野正道作品の「出エジプト記」も収録されています。

■最後に

 吹奏楽版のGRは今回紹介した作品の他にも「トレインチェイス・エディション」、交響組曲第3番「GR」より、「シンフォニック・セレクション」…などがあり混沌としていますが、どの作品にも違った良さがあるかと思います。
 ちなみに私はGRシリーズの中では「シンフォニック・セレクション」が一番好きな作品です。これはまた別の機会に作品紹介しようと思います!

 吹奏楽版の交響組曲第2番「GR」よりを取り組む際にはぜひオリジナルのサウンドトラックや管弦楽版の交響組曲第2番「GR」も聴いて原曲のイメージをしながら演奏して欲しいですね。


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