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肩車の寿命

子どもが生まれて首がすわったころ、
肩車をしてみた。

小さな、小さなその身体を落ちないように
しっかり支えて肩に乗せ、父親を実感した。

早いものでその息子も、
小学生になってしまった。

あの頃とは比べものにならないほどガッチリとした身体は小さいながらも重量がある。

「おとうさん。肩車して。」

前触れもなく求められた肩車は、
その重量感と、仕事終わりの疲れた身体には
面倒な作業に感じた。

あの頃は、あんなにも楽しくて、
肩に乗せられるだけで自分が何者かになったような幸福感が得られていたはずなのに、
気付けば面倒な作業と感じるなんて。

子どもが大きくなればなるほど、
担ぐのに心の準備がいる。

あと何回、
あと何年、
肩車なんて出来るか分からないのに
何をめんどくさがってるんだ!と、
肩に乗せてクルクルと回る。

赤ちゃんの頃と同じように笑っている
その声が、久しぶりに心地良かった。


最初に身の丈に合わない
大きな仕事を任せられると、
何者かになったかのような
幸福感が得られていた。

そんな仕事が続けば、
面倒な作業と感じるなんて。

大きな仕事を抱えられる期間は限られている。

今はまだ、
肩車することが出来ているけれど、
あっという間に大きくなりすぎて、
自分だけでは抱えきれなくなる。

抱えられるうちは、
その幸福感を感じながら、
精一杯、肩に乗せよう。

求められるうちが、
父親としての役割と幸せだ。

もう少し大きくなっても乗せられるように、
自分自身を高めておこう。

肩車の寿命を延ばすため、
父親も、日々成長。


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