もし私が生徒会長に任命された暁には、実現したいことが１つだけあります。

…って堅苦しく始めようとしましたが、信任だからどうせ受かるし、今日は好き勝手言いますね。

今、この体育館のステージ上から全校生徒を見下ろして思うことは、

やっぱクズばっかだな～（笑）

です。

生徒会長立候補者だからって、愛校心があるとでも思っていましたか？

こんな高校に愛なんかあるわけ無いでしょ。

私は高校よりも自分が大切なんです。

このままでは、私に一生ついてまわる「出身高校」の経歴が完全に人生の汚点になってしまうんです。

ロクに授業も出ないくせに体育祭のときだけ狂ったように団結したがるアホと同類だと思われたくないんです。

自分勝手だと思いましたか？でもみなさんも同じですよ。

今どき、治安の悪い高校を出ているということは一つもステータスになりません。
メリットはと言えばいくつか飲み会で話せるエピソードが増えるだけです。

このままでは私は、いやみなさんは、この学校を誇りを持って卒業することはできないはずです。

と言うことで私が生徒会長になったら実現したいことは、「治安改善のための、校則の厳罰化」です。

すごいブーイングですね。

みなさん、納得できないことにわめき散らすだけなら赤ちゃんでもできるんですよ。

自分の胸に手を当てて考えてみたらいいんじゃないですか？

今壇上に登ってきたあなた。髪の色が派手ですよ？校則違反です。

確かにこの高校の校則は今でも十分厳しいです。
しかしそれはみなさんが何も考えずに毎日を過ごしてきたからでしょう？
チンパンジーを飼うには頑丈な檻が必要なんですよ。

というか、そんなに校則に文句があるならあなたも立候補したら良かったじゃないですか。

ルールへの反逆を、そのルールを破ることでしか表現できない。やっぱり猿ですね。
その金髪の頭をもっと使ってみたらいかがですか？

自由がほしいんだったら、ピアスなんかよりも先に権力を手に入れるべきですよ。

そんな事もわからないで散々校則破った上で「母校に誇り」なんて、口が裂けても言うなよって感じですね。

言っておきますが、私はみなさんの容姿については何も批判していません。

「ルールを変える前にルールを破っている」ことがおかしいと言っているのです。

そもそも本当にオシャレして金髪にしたかったら、いっぱい勉強して服装髪型自由の高校に進学すればいいだけのことですよね。

その努力を怠っている時点で、あなた方はずっと順序を間違っているのです。

もしかしたら、みなさんがそれなりの誠意を見せて、署名でも集めて提出したら、校則はもっと緩くなるかもしれません。

凡人より元ヤンの方が心動かしやすいって知ってました？

私みたいな人が真面目にやるより、みなさんみたいな悪人が更生して勉強とかするようになった方が大人はイチコロで動いてくれると思いますよ。

しかし、あなた方はずっと自分で自分の首を締めています。
ずっとみなさんがこのままの状態でいるのなら、校則は厳しくなるばかりでしょうね。

あなた方はルールに縛られたくなくてやってるような行動も、私のような一歩引いた者の視点で見れば「もっとルールで縛ってくれ」と叫んでいるようにしか見えません。

もしかして、あなたたちは「ルールを破ること」に快感を覚えているのですか？

もしこの学校が服装髪型自由になったら、それはそれで萎えちゃう感じですか？

「金髪」じゃなくて「ルールを破った金髪」であることに意味があるんですか？

何が楽しいんですか？それ。

ということは、私がルールを緩めようがなんだろうが、そこにルールがある限りそれは破られ続けるということですよね。

失望しました。

そして、みなさんがただの猿ではないこともわかりました。

みなさんは何も考えていないわけではなく、「ルールを破りたい」という信念があって今までの悪行をこなしてきたのですね。

そこの勘違いは謝罪します。ごめんなさい。

いやあ、でも、私の今までの違和感が全て解決しました。
どうりでみんな校則に文句言う割に私しか会長に立候補しないわけだ。

校則に対する文句は、いわゆる「てい」だったんですよね。

まあね、カッコいいですもんね、レールに乗った人生は嫌だとか言える人。

しかし、そんな反社会的な団体と学生生活を共にしていたとは…

やっぱりこの高校に入ったことは私の人生の汚点になりそうです。

は？嫌ならお前が退学しろ？

それはこっちのセリフでしょ。

ルール守れる人間になってから人様に命令してください。

そこの方はブツブツと何をおっしゃってるんですか？

え？私の演説に感動した？

そうですか。

同士が見つかってよかったです。

あなたの一票さえあれば、私はもう十分です。

ただ、

演説中の私語はルール違反です。