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8cmから12cmへの移行期

1988年2月21日に日本に上陸した8cmシングル。
海外では3インチシングルと呼ばれ、アクセサリー感覚で販売されていたので、すぐに廃れてしまったようです。
日本で8cmシングルが広く普及した理由はよくわかりませんが、携帯電話で言うところの「ガラケー」の感覚に近いような気がします。
90年代は携帯電話を「ガラケー」と呼んでいたわけではなく、スマホの普及に伴い「ガラパゴス携帯」と呼ばれるようになったのです(よく考えるとすごいネーミングですね)。
ですから、8cmシングルというのは言い方を変えれば「ガラパゴスCD」と呼べるかもしれません。
つまり「ガラケー」も「8cmシングル」も日本特有の文化ということなのだと思います。

8cmから12cmの切り替え時期は、アーティストによってまちまちなのですが、1998年の年間チャートを見ると上位を占めている作品はまだ8cmシングルです。

☆1998年の年間チャート
1位 GLAY:「誘惑」
2位 SMAP:「夜空ノムコウ」
3位 SPEED:「my graduation」
4位 BLACK BISCUITS:「タイミング 〜Timing〜」
5位 GLAY:「SOUL LOVE」
6位 Kiroro:「長い間」
7位 L'Arc〜en〜Ciel:「HONEY」
8位 KinKi Kids:「愛されるより 愛したい」
9位 Every Little Thing:「Time goes by」
10位 KinKi Kids:「全部だきしめて/青の時代」

しかし、1999年の年間チャートを見ると、8cmと12cmが混在していることがわかります。

☆1999年の年間チャート
1位 速水けんたろう、茂森あゆみ、ひまわりキッズ、だんご合唱団:「だんご3兄弟」
2位 GLAY:「Winter,again」
3位 浜崎あゆみ:「A」
4位 坂本龍一:「ウラBTTB」
5位 宇多田ヒカル:「Automatic/time will tell(12cm)」
6位 宇多田ヒカル:「Addicted To You」
7位 モーニング娘。:「LOVEマシーン」
8位 GLAY:「BE WITH YOU」
9位 L'Arc~en~Ciel:「HEAVEN'S DRIVE」
10位 KinKi Kids:「フラワー」

10曲中、6曲はMAXIシングルで発売されています。
ちなみに、宇多田ヒカル「Automatic/time will tell」は8cmと12cmが併売されていて、モーニング娘。「LOVEマシーン」はDISCは8cmでしたが、短冊形とMAXIサイズのジャケットが2タイプ発売されていました。

☆2000年の年間チャート
1位 サザンオールスターズ:「TSUNAMI」
2位 福山雅治:「桜坂」
3位 宇多田ヒカル:「Wait & See 〜リスク〜」
4位 倉木麻衣:「Love, Day After Tomorrow」
5位 浜崎あゆみ:「SEASONS」
6位 SMAP:「らいおんハート」
7位 モーニング娘。:「恋のダンスサイト」
8位 B'z:「今夜月の見える丘に」
9位 プッチモニ:「ちょこっとLOVE」
10位 L'Arc〜en〜Ciel:「NEO UNIVERSE/finale」

2000年になると、サザンの「TSUNAMI」以外はすべてMAXIシングルのみで発売されたシングルだったということがお判りいただけると思います(プッチモニ:「ちょこっとLOVE」はディスクが8cm)。

90年代後半には、ケースはMAXI(12㎝Single)、中身8cmというCDが多く存在していました。

LOVEマシーン/モーニング娘。(1998年)
雨のMelody/to Heart/KinKi Kids(1999年)
恋のダンスサイト/モーニング娘。(1999年)
ちょこっとLOVE/モーニング娘。(1999年)
硝子の少年/KinKi Kids(1997年)

2000年に入ると、MAXIシングルの普及だけでなく、音楽シーンに変化が見られ、CDの売り上げにも影響が見られるようになります。90年代は、インターネットもそこまで普及していなかったので、CDというフォーマットはもっとも手軽な娯楽だったのかもしれません。
ちなみに音楽の売り上げのピークは1998年で、総売り上げは6000億円を突破していました。
つまり音楽バブル=8cmシングルの時代だったということがお判りいただけると思います。
MAXIシングルにフォーマットが完全移行した2000年以降、音楽フォーマットの変化に伴い、現在はCDよりも、ストリーミングや動画サイトで音楽を楽しむ人が大半を占める時代になっています。

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