渡辺八畳

起きて半畳寝て一畳、サブカル系詩人かつピンボールプレイヤー。詩誌『BONE』主催/20…

渡辺八畳

起きて半畳寝て一畳、サブカル系詩人かつピンボールプレイヤー。詩誌『BONE』主催/2018年『詩と思想』現代詩の新鋭 2021年・2022年岐阜県文芸祭U-30優秀賞など

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「銀行で吟行」やってみた

なぜアルミ缶の上にミカンを乗せるのか  突然だが、これは何だろうか。 そう、アルミ缶の上にあるミカンである。 読者の方々もアルミ缶の上にミカンを乗せた経験が一度や二度あるはずだ。 では、これは何だろうか。 これはスチール缶の上にあるミカンだ。 読者各位はスチール缶の上にミカンを乗せたことはあるか。おそらく無いだろう。 ただ缶の材質が違うだけなのに、なぜアルミ缶の上にはミカンを乗せ、スチール缶には乗せないのか。 答えは言わずもがな、ダジャレにある。 「アルミ缶

    • 【書評】小縞山いう『鼻毛』

      対象書籍 『鼻毛』 著者   小縞山いう 出版社  私家版 発行日  2022年5月29日初版 詩集は存在だ!小縞山いう『鼻毛』は第34回文学フリマ東京にて初売りされた「詩集」だ。詩集、としているが、一般的なそれとはだいぶ様子が違う。表紙は一枚のクラフト紙、その内側にある厚手の上質紙は表紙よりも天方向に長い。その内側には赤・青・黄の和紙の束が山折り――裁断される前のような姿だが内側に印字は無い――の状態で挟められている。三色の和紙は小口方向に飛び出ていて、天方向の長さは色に

      • 【書評】宇ノ倉なるみ『隕石にむかってゆく』

        対象書籍 『隕石にむかってゆく』 著者   宇ノ倉なるみ 出版社  私家版 発行日  2022年5月29日初版 透明な糸をつかむ予想外の出会いこそが即売会の肝だと思っている。なので2022年5月29日に開催された文学フリマ東京で『隕石にむかってゆく』を手に取ったときも、私はこの詩集と著者について一切の予備知識を持っていなかった。 表紙にはビル群と空に伸びる大きなキリンが一筆書きで描かれている。詩集に挟められた宇ノ倉氏の名刺には「詩/デザイン/ひとふでがき」の文字があった。

        • 【書評】最果タヒ『少女ABCDEFGHIJKLMN』

          対象書籍 『少女ABCDEFGHIJKLMN』 著者   最果タヒ 出版社  河出書房新社 発行日  2022年3月20日 購入はこちらから Aにも届かない最果タヒは名実ともに現代を代表する詩人であり、とくに若い女性から厚い支持を得ている。その最果氏の小説『少女ABCDEFGHIJKLMN』が今年3月に文庫化した。 収録された短編四点のうち三点は女子高生が主人公だ。しかし、SNSが今よりも発展していたり「誰かを殺すとその人を身籠る」という都市伝説が広まっていたり、薬品を使

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          【ポエケット25】ポエケットレポート

          ※「POEKET NEWS 24」(23.9.17 第25回TOKYOポエケットinにこわ新小岩)に掲載された記事の再掲です ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~  起きて半畳寝て一畳、渡辺八畳ですどうもどうも。  新型コロナウイルスの影響で2回の延期を経てのポエケット、2022年10月1日当日は最高気温が30度近く、夏に戻ったかのような晴れ日でした。  私のポエケット歴は2018年に一般参加、2019年・2022年にサークル参加

          【ポエケット25】ポエケットレポート

          現代詩お嬢様が「お嬢様」である理由

          ※「The Written」第1号(2022年12月)に掲載された記事の再掲です https://drive.google.com/file/d/1Z0y6yyrmVg8ly77NLkEcz6gzrUptRcVH/view ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~  野村宗弘の『とろける鉄工所』やパルコキノシタの『漂流教師』、そして板垣恵介の『我が青春の習志野第一空挺団』など、元々別の職業に就いていた作家が自身の体験を漫画化することは

          現代詩お嬢様が「お嬢様」である理由

          詩はレコードを目指すべき!

          何かが爆発的に流行すると、それの反動も大きくなるのが世の常だ。2022年には米国でのアナログレコード販売枚数がCDを上回った。1987年以来はじめてのことらしい。 背景に音楽ストリーミング配信サービスがある。SpotifyやApple Musicなどのサブスク(定額料金で聴き放題サービス)が普及し、音楽鑑賞という目的だけを見ればCDを所有する意味が薄れた。しかしだからこそ、所有しない・実物が無い・デジタル・手軽なサブスクとは正反対の、所有する・実物がある・アナログ・手間がか

          詩はレコードを目指すべき!

          ネット詩サイト「B-REVIEW」2017年~2023年の軌跡

          ※「月刊 新次元」第70号(2023年3月)に掲載された記事の再掲です https://gshinjigen.exblog.jp/30283875/ http://geijutushinjigen.web.fc2.com/70watanabe.pdf ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ 前置き(という名の単なる愚痴)詩人はIT・デジタルに弱い傾向がある。はっきり言おう、これは恥ずべきことだ。世界はweb3.0に突入しようとしてい

          ネット詩サイト「B-REVIEW」2017年~2023年の軌跡

          REIWA詩人パーフェクトFile⑥采目つるぎ

          ※「月刊 新次元」第37号(2020年6月)に掲載された記事の再掲です 再掲の際に一部を修正していることがあります https://gshinjigen.exblog.jp/29075007/ http://geijutushinjigen.web.fc2.com/37watanabe.pdf ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ さて、第6回になるREIWA詩人パーフェクトFileですが、今回で最終回となります。半年も連載してい

          REIWA詩人パーフェクトFile⑥采目つるぎ

          REIWA詩人パーフェクトFile⑤元澤一樹

          ※「月刊 新次元」第36号(2019年5月)に掲載された記事の再掲です 再掲の際に一部を修正していることがあります https://gshinjigen.exblog.jp/29028821/ http://geijutushinjigen.web.fc2.com/36watanabe.pdf ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ 今回は元澤一樹さんです。1996年生まれで第10回琉球大学びぶりお文学賞と第14回名桜大懸賞作品コン

          REIWA詩人パーフェクトFile⑤元澤一樹

          REIWA詩人パーフェクトFile④原島里枝、『詩と散文 人魚転生後BL&GLアンソロジー』

          ※「月刊 新次元」第35号(2020年4月)に掲載された記事の再掲です 再掲の際に一部を修正していることがあります https://gshinjigen.exblog.jp/28963058/ http://geijutushinjigen.web.fc2.com/35watanabe.pdf ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ いやはや、コロナ大変ですねコロナ。コロナウイルスは瞬く間に世界中へ広まり、今も終わりが見えない。私も

          REIWA詩人パーフェクトFile④原島里枝、『詩と散文 人魚転生後BL&GLアンソロジー』

          REIWA詩人パーフェクトFile③夢沢那智(无、もとこ)

          ※「月刊 新次元」第33号(2020年2月)に掲載された記事の再掲です 再掲の際に一部を修正していることがあります https://gshinjigen.exblog.jp/28869152/ http://geijutushinjigen.web.fc2.com/33watanabe.pdf ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ 一口に詩人と言えど、活動している場は多種多様です。『現代詩手帖』や『詩と思想』などの商業雑誌の常連で

          REIWA詩人パーフェクトFile③夢沢那智(无、もとこ)

          REIWA詩人パーフェクトFile②遠藤ヒツジ

          ※「月刊 新次元」第32号(2020年1月)に掲載された記事の再掲です 再掲の際に一部を修正していることがあります https://gshinjigen.exblog.jp/28824298/ http://geijutushinjigen.web.fc2.com/32watanabe.pdf ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ 詩の世界は他の界隈と比べると小さいものの、大小合わせてさまざまなイベントが現在でも開催されています。

          REIWA詩人パーフェクトFile②遠藤ヒツジ

          REIWA詩人パーフェクトFile①カオティクルConverge!!貴音さん

          ※「月刊 新次元」第31号(2019年12月)に掲載された記事の再掲です 再掲の際に一部を修正していることがあります https://gshinjigen.exblog.jp/28776519/ http://geijutushinjigen.web.fc2.com/31watanabe.pdf ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ ~ 起きて半畳寝て一畳、渡辺八畳ですどうもどうも。 どの業界も一定の人が同じ立ち位置に居続けるというこ

          REIWA詩人パーフェクトFile①カオティクルConverge!!貴音さん

          【書評】ケイトウ夏子『例えば鳥の教え』

          対象書籍 『例えば鳥の教え』 著者   ケイトウ夏子 出版社  ニシオギ製作所 発行日  2021年10月4日初版 価格   600円 購入はこちらから 静と動、スカラーとベクトル  著者のケイトウ夏子氏は、日本現代詩人会の投稿欄で複数回の入選を果たし、さらに近頃では各新聞の歌壇欄にも度々掲載されている、新進気鋭の作家である。そのケイトウ氏の第一詩集が『例えば鳥の教え』だ。 この詩集の特徴を挙げるとすれば、「豊かな比喩表現」だろう。「膨らみ続ける袋を担ぐ/名前が書かれすぎ

          【書評】ケイトウ夏子『例えば鳥の教え』

          【書評】シーレ布施『ネオの詩-やさしいこえ-』

          対象書籍 『少女ABCDEFGHIJKLMN』 著者   最果タヒ 出版社  河出書房新社 発行日  2022年3月20日 購入はこちらから 美しく、ゆえに脆い 作者のシーレ氏は各誌の投稿欄でまさに現在活躍中の詩人だ。ネオ、カルス、ゾイ、マリベル……この詩集ではいくつもの人名が現れ、「僕」と交わり合う。彼らがどういった人物なのかの説明はない。ネオや「僕」たちは古くからの関係であり、互いの間柄をいまさら説明する必要なんてないのだろう。つまり読者はネオたちを覗き見ているだけであ

          【書評】シーレ布施『ネオの詩-やさしいこえ-』