③『火星に住むつもりかい?』/伊坂幸太郎
概要「監視社会」
新たに発足した「安全地区」と「平和警察」。
そこでは住民がお互いを監視し、「危険人物」と疑われる人は排除し、
起こる可能性のある犯罪を未然に防いでいる、平和な世界。
日常的に起こる住民の密告、冤罪のもみ消し、「危険人物」の公開処刑。
そして組織に背く者は皆、「危険」とみなされる世界。
そんな中で現れる全身黒づくめの「正義の味方」。
世の中の不条理を容認するか、冷静に考えるか。はたまた火星にでも行くか。
【ルール作りは慎重に】監視社会/1984/思想・平和警察
あと数年もすれば、スマホはガラケーのような扱いになるかもしれない。
世界は日々急速に進んでいて、日本が先進国であったのも今は昔。
『火星に住むつもりかい?』を読んで、ジョージ・オーウェルの『1984』に出会ったときの恐怖を思い出した。
今(2019)から70年も前にあんな世界を想像して書けたことにも驚きだけれど(ドラえもん然り)、
この作品はさらにレベルアップして現代に近づいている気がする。
スマホも持たず全てが顔認証になれば、日常生活においてはすごく便利。
毎日の行動が記録され、過去も記録され、行動が予測されるようになる。
健全な生活を送っている人は何の心配もないかといったらそうではない。
もし記録が正しくないとしたら、もし誰かに書き換えられていたとしたら、
急に犯罪者として逮捕される可能性だってある。
『1984』では歴史を書き換え続け、『火星に住むつもりかい?』では相互監視を利用して自分に気に入らない人を冤罪で処刑した。
そして2つに共通して言えるのが、その決まった組織(ルール)に歯向かった(歯向かう兆候がある)時、排除されるということ。
プライバシーがほぼなくなる世界になったとして、それでも安心できる制度をつくるにはどうしたらいいのか。
今ですらグレーな部分はたくさんあるけれど、冤罪だけはなくしたいね。
自分はもちろんだれど、大切な人たちがそういう状況に陥ったら、悔やんでも悔やみきれない。
だからこそ最初の基準になるルールづくりは丁寧に、試行錯誤しながらも安心して生活ができるようなものになるといいな。
地球人全体の課題だね。中国に倣えではなく。
Ohana.
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