とある社内SEの独白/エンジニアの市場価値とか

しがない社内SEが自分の市場価値について考えてみました。

以下の Wantedly ブログで、自社事情も踏まえた社内SEのキャリア観の話を書いています。良かったらこちらもご覧ください。

職歴

この手の文章はどういう人間が書いているのかがわからないと文章の背景や意図が汲み取りにくいです。なので、さらっと説明します。

クラウド(AWS)に特化したSI企業で新卒入社し、今年で5,6年目になります。

本配属以降はだいたい以下のような経歴です。

・法人営業 ... 1年
・とある大型顧客の運用サービス事業における現場オペレーターとチームリーダー ... 1.5年
・自社運用サービスのサービス企画や監査対応等 ... 0.5 - 1年
・社内SE ... 1年ほど(今ここ)

色々物色しているようですが、ある程度は自分の中で方向性がありました。最初に営業に行ったのは営業活動がどういうことをしているか、どれほど大変なのかを身を以て体験するためです(営業に文句を言ってばかりのエンジニアになりたくないと思っていました)。

営業、運用と来て今開発の職務についているわけですが、少なくとも当面は開発方面(できれば運用保守に関われる場所)でコミットしていきたい考えです。私が目指しているのは今も昔も「エンジニア」なので。

導入

お金が欲しい。優れた文化を持つ会社で働き、優れた能力・人格を持つ人々と出会いたい。全力で仕事をして、趣味にも全力で没頭できるだけの時間が欲しい。 --- いろんな夢があると思います。

自分の能力開発に投資することは、それらの夢を実現するため、チャンスを広げるためにほぼ必要不可欠の要素でしょう。私の場合、それは今のキャリア選択や、プライベートの活動などで方向性を定めて色々やっていきます(やっています)。

今の会社はとても気に入っていますが、私もいずれ転職して、別の会社を渡り歩いて行くことになるでしょう(直近でその予定はありませんが)。そうなると、より高いところに行くために「自分の市場価値」なるものを上げていく必要があります。そのためには何を考える必要があるだろうか?...そういったことを考察してみます。

どのネタを選択し能力投資したらいいのか問題

この記事では、具体的になにすればいいのか、どんな技術を学べばいいのか、そういう具体的なアクションレベルの話はしません。人によるとしか言えないし、私も正解があったら知りたいです。...まあ、ただ、それではいささか不親切かもしれないので、自分なりの「選択」の指針について語ることにします。

能力投資の観点としては、基本的に好奇心をそそられるもの、自分の価値観を広げてくれそうなもの、そういうトピックを手当り次第物色したりしてます。

好奇心が自分の最大の原動力なので、最初に何選ぶかは基本シックスセンスです。魅力的なものはたくさんあるので、そこに対して目的意識の理屈付けをしています。たとえば「自分の価値観を広げられる」とか「実務上のメリット」とか「スキルセットに加えたい分野」「スキルセットではなくとも、エンジニアの教養として把握しておきたい分野」とかです。

エンジニアリングのトピックに限らず、ビジネス書とかメンタル的な本なんかも割と齧っています。そのへんも基本は好奇心ですが、教養を備えた、器の大きな人物でありたいという気持ちもあるので、そこらへんは趣味と実益兼ねて、って感じです。

数は多くないものの、ヒューマンスキル系の本も見てます。デール・カーネギーの「人を動かす」からはかなり影響を受けました。自己啓発に興味があれば、まずはあれを1冊だけ読んでおけば間違いないです。実務でも、交渉等の場面におけるマインドセットなど実益のある知識が得られます。おすすめです。

このように技術以外のことにも割と興味があるわけですが、ヒューマンスキルや自分らの周辺にある異分野への理解って大事だよねという実感もあって多少は意識的に学ぶようにしています。昔から色々なものに対する知識欲は旺盛でしたが、特に業務改善の社内SEをやるようになってからはその重要性の実感が大きくなりましたね。あれはトータルスキルの職だと思います。

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まとめです。「技術は好奇心ベースで選べばいい、ただし何のためにやるのかはできるだけ想像する」「いろんな本を読んで自分の世界を広げる」、私としてはそんな感じです。

ずいぶん好奇心ドリブンな感じですが、どうせ未来は予測できないのでこれぐらいのゆるさで丁度いいんじゃねーの?と思ってます。ただし、好奇心については多少例外になる部分もありますのでそれを補足して終わります。

システムの原理的な部分(特定の技術スタックについて、何をベースに動いているか。その仕組み)については、好奇心が持てなくても理解していく必要があるだろうと思います。応用技術はいつだってほいほい登場しては枯れていくので、それをただ追いかけ回しても疲れます。

だったら、応用技術の本質を素早く理解するための「基礎力」の訓練に投資しておくのが良い判断ではないかと思います。例えば、OSやN/W、DBあたりの仕組み、あるいはWebアプリケーションの仕組みとかですかね。あなたが籍を置く分野にとって、「本質的な技術」とはなんでしょうか。それを掘り下げてみると良いでしょう。

エンジニアの市場価値ってなんだろう

社外の世界から何かしらポジティブな評価を受けないことには、市場価値は高まらないです。市場価値が高まらないことには、キャリアを上げていくことも難しいでしょう。...では、市場価値はどうやったら高まるのでしょうか。

私なりの考えとしては、実力の側面と営業の側面、それらが本質ではないかと思ってます。

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「実力」とは何でしょうか。私なりの考えでは、単純な技術力だけの話ではないと思っています。よほど飛び抜けた技術力を持っていれば話は別でしょうが、少なくとも私はそんな一握りの一部ではありません。多くの方もそうだろうと思います。
となると、会社(または組織、プロジェクト)が求めているゴールにちゃんと寄与してくれそうな期待が持てる人、というのが「市場から欲しがられる人」の実力要件ではないかと思うのです。使える武器の熟練度が高いとか、種類が多いことが重要なのは間違いないです。その上で、商売の視点で評価できる成果が出せるかどうか?という観点が大事になると考えています。

このような考え方がベースになるので、自分の市場価値を高めるためには技術力 "だけ" を掘り下げる姿勢は不十分ということになります。求められるゴールに対してどのように寄与したのか。どのような要素において(技術力やマネジメント力など色々あるでしょう)自分は商売に貢献したのか。こうした観点をミックスしていく必要があるのだろうと考えます。

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「営業の側面」とは何でしょうか。これは、自分という「商品」の価値を、きちんと相手に伝道するという話です。

世の中たくさんコンテンツが溢れていますね。人材にしてもそうです。転職サイトの数も、そこに登録している技術者も大勢います。となると、魅力的なプレゼンとなる自分像がないことには、自分は目立つ人の陰にいる「その他大勢」に埋もれるしかありません。

界隈を見渡せば、自分以上の技術力を持つ人なんていくらでもいます。そのなかで、魅力的な企業とマッチングするためにはある程度「自分」という商品に対してインバウンドの需要(つまり社外からのニーズ)を獲得できるよう仕向けていく努力が必要だと考えます。そのために、積極的に外部のイベントに顔を出したり、勉強会の発表者側に立ってみたり、自分の手掛けたプロジェクト(業務・プライベート問わず)を積極的にアピールしてみたり、継続してブログを書いたり、そういった外向けのプレゼンスを向上する活動が大事になるんだと思います。

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外部へのプレゼンス強化、という観点も大事ではありますが、同じくらい「見せ方」も大事です。見せ方というと小賢しく聞こえる人がいらっしゃるかもしれませんが、まあ聞いてください。

自分で思うなにかしらの「自身の価値」があるとき、誰だってその「価値」の部分をちゃんと見て欲しいですよね。でも、数多の転職サイト・エンジニアがひしめく中で、それを間違いなく「自分が思う魅力的な企業に」届くようにすることって難しいのです。少なくとも無策では伝わる確率が下がるでしょう。多少なり意識的にやっていく必要があります。

先ほど、「会社(または組織、プロジェクト)が求めているゴールにちゃんと "寄与してくれそうな期待が持てる" 人」という表現を使いました。寄与してくれそう、というのがポイントです。実際の自分がどうなのか、これは言うまでもなく重要なのですが、外から見て同じように期待値を持ってもらえるかどうか、というのは別の話です。こっちも重要じゃね?というのが私の考えです。

価値のあり方も色々あります。目に見えやすいものだけが「価値」ではないです。ヒューマンスキルなんかはその代表でしょう。最近では、会社の文化的な側面のマッチングもそこそこ重視されてる感じがしますね。なので技術力以外の軸もそれなりに重要なのです。
職歴を列挙するだけじゃ採用候補者の人となりは見えません。そういう曖昧な価値も含めて、ちゃんと相手の目に留まり、かつ魅力的に映るような作戦が欲しい、ということです。

企業から見れば、採用候補者が本当に活躍できるかどうかなんてわかりません。だから、その人の職歴や人となりを知ることで、自分たちの求める人物像にマッチするかどうかの確度を推し量ることになります。こちら(求職側)としては、職歴だけでなく自分の人となりや考え方の価値観が伝わるような商材があればよりよいだろうと言えます。

自分を1人のエンジニアという商品に見立てた場合、これって「営業活動」そのものなんですよね。「営業」の側面と書いているのはそういう意図です。

最後に。
ここで言っているのって、確率や効率の話だと思っています。もちろん、受け身で待ってるだけじゃなく、自分の足で企業を探しに行っていいんです。でも、個人の見えてる世界には限りがあるし、自分が見えてない範囲にも魅力的な企業は山ほどあるはず。自分ひとりの力でアプローチしていくよりも、向こうから自然とやってくるように仕向けた方が素敵な出会いの確率が上がるし、効率がいいと思いませんか。

まとめ

市場価値の話だけでまあまあなボリュームになってしまった。

そして、ここで書いてることは私もまだまだ道半ばなので、実践が伴うように今後も活動していきます。

...さて、この記事をを通して私の人となりや考え方が伝わったでしょうか。これもひとつの「営業資料」ですね。駄文にお付き合いいただいてありがとうございました。

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