RIZIN LANDMARK 7 アゼルバイジャンの奇跡~奴隷は、二度指す~

皆様、前回の投稿からだいぶ時間が経ってしまいました。
マイペースに投稿したいと思っているので待っている人がいるのであれば気長に待っていただけたら幸いです。
ちなみに、元々ほぼ完成していた記事があったのですが、なるべくタイムリーに今回の話題について書きたかったので先出ししています。その完成間近の記事についても近々出したいと思いますので、もう少しお待ちください。
早速ですが、今回はRIZIN LANDMARK 7 in Azerbaijan大会のメインイベントについて話していきたいと思います。

アゼルバイジャンの奇跡 鈴木千裕が失神KO勝利で王座獲得! キックボクシングとMMAの二刀流王者誕生!

つい先日行われたRIZIN LANDMARK 7 in Azerbaijanのメインイベント、鈴木千裕vsウガール・ケラモフのRIZINフェザー級タイトルマッチで鈴木千裕選手が第4代RIZINフェザー級王者・ウガール・ケラモフ選手を相手に1RKO勝利の大アップセットを果たし、第5代RIZINフェザー級王者となったとともに、キックボクシングとMMAの両方でかつ同時に王座保持するという格闘技界では珍しい、歴史的な王者の誕生にもなりました。

ウガール・ケラモフ選手は、7月の超RIZIN.2で朝倉未来選手とのRIZINフェザー級王座決定戦で1R一本勝利を収め、フェザー級王者となっての今回、母国での初防衛戦ということでアゼルバイジャン国内ではとても注目されていました。一方の鈴木千裕選手は、6月のクレベル選手とのタイトルマッチで敗れるも、緊急参戦した超RIZIN.2でBellatorフェザー級王者・パトリシオ・ピッドブル選手を相手にKO勝利という大アップセットを果たし、今回敵地に乗り込んでのタイトル戦というかなり環境やムード的に厳しい中での挑戦になりました。

試合は、ケラモフ選手がパンチを当ててからのテイクダウン、グラウンド状態で上を取り、試合のペースや主導権を握ったかに見えました。しかし、鈴木選手が三角締めを狙ってガードポジションから右足をケラモフ選手の首をかけようとして、それを嫌ったケラモフ選手の顔に狙いすました右足のかかとがヒット。全身の力が抜けたところに肘と膝で下から連打し、レフェリーストップとなりました。この試合に関しては、ケラモフ選手は母国での大会、ましてやメインイベントという大役を任されたわけで、打撃の展開も最低限付き合いつつ、あくまでグラウンドの展開で勝負し、盛り上げる場面を作りつつもあらゆるリスクを避けた戦い方はできたはずですし、そういう戦い方で手堅くいくのかと思っていました。ただ、ケラモフ選手はこの試合で誤算と致命的な選択ミスを犯しているのです。

ケラモフ選手の誤算と致命的なミス

ケラモフ選手の誤算は、「鈴木選手のグラウンドテクニックのレベル」です。実は、この試合でケラモフ選手はかなりいいタイミングでテイクダウンに入って体勢としてもポジションが取りやすい状態でした。しかし、鈴木選手はサイドポジションへのパスを許さず、テイクダウンで掴まれた左足をケラモフ選手の左足に引っ掛けてすぐ両足でロックした後に、右足を腰に引っ掛けて左足と腰を使いガードポジションまで持っていきました。ケラモフ選手はテイクダウンを取った段階でサイドポジションにいける自信があった中でのガードポジションまで持っていかれたのは誤算だったと思います。
この後、ケラモフ選手はガードポジションから少し立ち上がり、邪魔な足をどかしながら上からパウンドを放とうとしますが、これが致命的な選択だったように思います。
まだ1Rの序盤で焦って攻める場面でもなければ、あの状態でパウンドを打つには少々手間がかかる上に、蹴り上げや足関節、カウンターの腕十字固め、三角締めなど警戒するポイントが多く、意外とリスクを伴う状態にあるのであの場面でのパウンドを打つ行為は悪手だったかなと思います。個人的には、あの場面は一度組み付いて展開を落ち着かせつつ、組み付いた状態でボディや顔へパンチを当てていき、様子を見てグラウンドの展開を進めるのがベストの選択だと考えます。

ますます混迷を極めるRIZINフェザー級

今回の勝利によって、ますます混沌と化したRIZINフェザー級。
RIZINフェザー級王座が設立してから間もなく3年が経ちますが、実は防衛戦で勝利した王者は牛久絢太郎選手のみで、それも斎藤裕選手とのダイレクトリマッチの1度で他の王者は初防衛戦で王座陥落しており、絶対王者がいないのです。
更に現在、選手の位置づけや評価もかなり難しく、ランキング制度もないので個人によって様々な順位付けや評価があるような状態にあります。ランキング制度があったほうが見やすくて、評価や強さが可視化されていいと思うのですが、個人的にはこういった混沌とした状態を様々な視点で見たり、流動的な動きを楽しむ乙なものになっていて、これはこれで良いのかなと思います。
この絶対王者が不在のフェザー級ですが、これからまだまだ混迷を極めるのではないかなと思っています。
鈴木選手も過去にクレベル選手に敗れていますし、まだ金原選手や朝倉選手、斎藤選手、牛久選手といったトップ戦線にいるファイターとの対戦もないのでそこら辺とも戦わないといけないですが、鈴木選手もまだ粗削りな部分が多いので他のファイターが王座獲得するチャンスも十分ありますし、トップ戦線同士の戦いも横並びに近い状態なので誰が誰に勝ってもおかしくない状態にあります。加えて、ライト級の武田選手がフェザー級に転向したり、フアン・アーチュレッタ選手がフェザー級タイトルへの挑戦表明をしたりと新たなファイターがフェザー級に集まってきているので、より混沌と化すと思います。
この混沌と化したフェザー級で絶対王者になるのは誰か、見どころです。

最後に

久しぶりの投稿になりますが、今回は比較的早めに投稿できるようにしようと書いたのもあって、今回の記事は前回よりもかなり短めになって気軽に見やすいのかなと思います。ただ、ほぼ完成している次回投稿予定の記事はかなり長くなっています(笑)
後、今回の記事のタイトルにある「奴隷は、二度指す」ですが、これは漫画やアニメの「カイジ」の名言の一つで、Eカードでカイジが利根川の心理戦の強さと洞察力の高さを利用して勝利する中で出たセリフです。
鈴木選手が前回に続いて今回も大アップセットを果たしたという意味やケラモフ選手が三角締めを警戒したが、それを見据えて蹴り上げをしたという部分からピッタリかなと思い、採用しました(笑)
個人的に今回のアゼルバイジャン大会に関しては、試合の盛り上がり的には良かったと思いますが、やはり日本国内の注目度や視聴数は国内開催に比べて劣っているように感じています。もちろん、時差があって夜遅くのLIVE配信になる点が大きいとは思いますが、日本人選手を軸に海外勢とうまく組み合わせる事で注目度も国内開催と同じほどになるでしょうし、海外勢と日本人選手が組むことで経験も重なるので国内のレベルを上げていく上でも大事になると思います。
課題はまだ山積みですが、今後もアゼルバイジャン大会は開いていくのはアリだと思いますし、海外進出・大会規模の拡大という意味でもやっていかないといけないことなのではないかなと思うので、今後も注目したいですね。
では、次回の記事でお会いしましょう…。



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