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助手席の異世界転生【毎週ショートショートnote】

僕と老師の乗った車は日中の割と混雑する時間帯の交差点に進入した。助手席は僕が最近弟子入りを果たした老師だった。このお方は見通せないものはないという特殊能力で評判だ。老師は交差点を抜けると対向車に注意を向けさせた。

「あれを見るが良い。あの助手席のメイクばっちりの30代の女性だが元はシロクマだったんだ。しかもそれは今の地球と似て非なる世界でやはり温暖化が叫ばれていたが実際は寒冷化が進んでいたんだ。一面氷世界が広がり餌となるアザラシやイルカが生態圏にいなくなり餓死してしまった」

「シロクマですか…」

「そう。そしてあろうことかこの極限の魔界とも言うべき人間界に転生したのだ。南無阿弥陀仏!まったくこれ以上の不幸はないぞ」

老師と僕は再び別の対向車に注目した。

「あの助手席の女子高生だが元は温泉だったのだ。人気の温泉地の銘湯だったのだがその地域の乱開発が進んでとうとう枯れてしまったのだ」

「温泉ですかっ?」

「そうだ。そしてこの無間地獄ともいえる人間界にJKとして転生したのだ。枯れてしまうのツラいがこの世界に転生というのも悲劇だぞ……」


そう、そして老師の話に集中してしまい運転が一瞬おろそかになってしまっていた。

目の前には一台の大型トラックが迫っていた。

あっと叫ぶ間もなく僕は避けきれず正面から車ごとつっこんでしまった。


目を覚ますとやはり僕は運転をしていた。

あれ?さっきの出来事は幻覚だったのか?


助手席を見るとなんと老師ではなくペッパー君だった。

「老師!」

そして僕は老師からミーガンと呼ばれる存在になっていた。

いやAIに転生かよ!しかも自動運転…

(669文字)


たらはかに様の毎週ショートショートnoteに参加しました!

二週連続でペッパー君にお世話になってしまいました。ペッパー君ありがとうございましたm(_ _)m

そして異世界転生ものは読んだことがなくて、ネットでしらべて人気作品の設定を参考にさせていただきました。こちらも感謝致します。

(どちらでも良いとは思うのですがラストchatGPTからミーガンに変えてしまいました)

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