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推しが活動休止になったオタク vs DIALOGUE+ LIVE2022 「puzzle」

DIALOGUE+ LIVE2022 「puzzle」が幕を閉じた。

9月に大阪。10月に東京で開催された、今最も勢いのある声優ユニットとも称されるDIALOGUE+の、2022年のワンマンライブ。

大阪公演はひとりが活動休止中のため欠席し、7人での開催。
東京公演は更にもうひとりが急な体調不良により欠席し、6人での開催。

ちぐはぐかつ凸凹。
フルメンバーが揃うことが1度も無く、「puzzle」というタイトルが皮肉な形にも見えるこのワンマンライブが、10月9日に幕を閉じた。


素晴らしいライブだった。


筆者は、DIALOGUE+では薄ピンク担当・内山悠里菜さん推しである。
この内山さんこそが6月から体調不良により活動休止となったメンバーなのだが、そんな内山さん推しのオタクから見ても、このライブは素晴らしいライブだった。
今回はそんな「推しが活動休止になったオタク」が、9月・10月にDIALOGUE+と繰り広げた戦いの記録のお話しである。

下の記事の続きなので、先にこっちを読んでもらった方がいいかもしれない。

ちゃんと、ハッピーエンドな話なので安心して読んで欲しい。

それでは。


9月11日。

内山さんの活動休止発表から70日以上が経っていたこの日、僕は「puzzle」大阪公演に参加するために新幹線に乗り、東京から大阪へ向かっていた。

「今日のライブ、楽しいものになれば良いなあ」という気持ちを抱きながらも、その一方では「新幹線、乗っちゃったな~~~~~~~~」という気持ちで、その翌日に行く京都観光の計画を立てていた。

モチベーションは低空飛行のままだったのだ。


正直な話として僕の心はとっくに折れていたのだ。
活動休止中の推しについて嫌でも目に入って来る憶測や怪情報に加え、推しがいなくても進んでいくユニットの活動。他担のオタクの楽しそうな様子。
矛盾しているように感じるかもしれないが、「復帰を待っている」、「きっと彼女は戻って来る」と思っていながらも心は折れるのである。

こんなの、しんどすぎるだろ~~~~~~~~とグッチャグチャに折れた心を、意地や見栄や社会性でなんとかごまかし、心が折れてないふりをして僕は9月を迎えたのだ。

大阪・梅田駅に着いて真っ先に向かったのが「アイドルマスター シンデレラガールズ」の巨大広告と、内山さんが出演している「コクドル」の投稿企画用の国道1号の撮影だった。


「ライブのついでに観光」では無く、「観光のついでにライブ」なのだと言い聞かせるかのような状態だった。


会場に着いて「なんとか楽しむぞ~~」と思いつつも、自分の中では変な形の緊張感があった。
座席に座ったら、右隣のふたり組が内山さんの話をしているのが聞こえてくる。(主に、これからどうするのかという話だった)

「おいおい、キミらの左隣にいる奴、薄ピンクのメンバーカラーTシャツ着てるんだが~」と思いつつも思うだけにし、開演を待った。大人なので。


そんな形で参加した「puzzle」大阪公演なのだが、



めちゃくちゃ素晴らしいライブだった。



散々あーだこーだ言いながらなんだその感想は、と言われそうだが、めちゃくちゃ素晴らしいライブだった。
7人でありながらも全力でパフォーマンスをするメンバーたち。
ステージから届くモノに思い思いに熱狂する客席。
やっぱり僕はDIALOGUE+のライブが好きなのだなあとあらためて感じた。

特に印象に残っている曲は「大冒険をよろしく」か。
あの曲のパフォーマンスと客席の盛り上がり方を見て、「今日のライブは楽しいモノになりそうだ」と確信した。
このタイミングで聴く「好きだよ、好き。」で色々な想いが溢れ出しそうになったし、アンコールでの「あたりまえだから」ではもうぐちゃぐちゃに泣いてしまっていた。

そして、MCでの村上まなつさんの言葉。
DIALOGUE+の「現状」と「未来」の話。
村上さんの言葉とメンバーの様子を、会場で聴いて、観ることができたのはとても大きかった。
このMCの最中の緒方佑奈さんの表情は強く心に残っている。

終演後、いちばんに出てきたのは「来て良かった~~~~」という感想だった。
「推してるメンバーは出れなかったけど、今日のライブを東京から大阪まで観に来て良かった」と素直に感じることができるライブというのはとてもすごいことだと思う。
それだけ素晴らしいライブだった。


と、この大阪公演を観たことで、僕の心はどこかすっきりとした所があるのだが。


それと同時に、内山さんのことについて考えることが増えてしまった。

6月下旬に活動休止が発表。
大阪公演が終わって、活動休止から3ヶ月が経った。
どこの何が悪くて活動休止になっているのかは一切公になっていない。
しかし3ヶ月という長さから、そうそう簡単には復帰できるものでは無いのだろうということは察することができた。

DIALOGUE+の意志。そしてメンバー7人の意志は大阪公演でしっかりと伝わった。

では、内山さん自身の意志は。


3ヶ月、というのは文字だけを見れば短く感じるかもしれない。
しかしDIALOGUE+にとって、この3ヶ月は非常に密度の濃い時間だった。
3ヶ月休んでいた人間が、その間もバリバリに活動していたユニットの中に戻るということは、オタクが想像する以上に大変なことだと思う。

戻ってきて欲しい、という気持ちはあったが、彼女自身に大変な思いはあまりしてもらいたくないという気持ちもあった。
周りの大人には、どうかしっかりと彼女のことをサポートしてあげてもらいたいと思った。


大阪公演から東京公演の間に、友人と久しぶりに会う機会があったのだが、その時の会話でも内山さんとDIALOGUE+の話をした。
ふたりで色々なことを話したが、「どんな結果になっても、内山さん自身にとって良い形のモノになって欲しいよね」というまとめになった。

そして、「東京公演での内山さんの出演がどうなるのかのお知らせ、さすがに遅くない???」という話も出た。


この日は10月2日。東京公演の丁度1週間前。
なんと、この時点で東京公演に内山さんが出れるのか出れないのかのお知らせは一切出ていないのだ。

正直言って、この頃には僕はもう内山さんが出れるかどうかについての「覚悟」は出来ているのだ。
とは言え、そうなった場合には悔しがったり悲しくなったりするはするので、「お知らせ」の発表からライブ当日まではなるべく時間が欲しかった。

翌日。月曜日になってもお知らせは出なかった。


お知らせが出たのはその更に翌日。
10月4日の18時過ぎ。


東京公演の、内山悠里菜さんと、緒方佑奈さんの欠席が発表された。


8人でやれるのか。それとも7人でやるのか。と思っていたら6人でやることになってしまった。


いや~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~。


その日は、色々なことが口から出そうになるのを押し止めるのに必死だった。
もうこうなったら仕方ないので、これ以上何も起きずにライブが終わってくれと思うまでにちょっと時間がかかった。

しんどいことが続くなあ。

ここから東京公演まで5日。
欠席となった2人ももちろんだが、残った6人がこの5日をどんな気持ちで過ごしたのかを考えると胃が痛くなる。
とてつもないプレッシャーのかかる時間だっただろう。


かくして、ちぐはぐと凸凹が極まった状態でDIALOGUE+ LIVE2022 「puzzle」の千秋楽となる東京公演は幕を開けることになった。

不思議な話かもしれないが、大阪公演の前はモチベーションがグダグダだったというのに、今回の東京公演は「いや普通に行きますけども」という感じで会場へ向かった。
慣れてしまった部分もあったのだろうか
こんなもの慣れたくはないのだが。


閑話休題

幕を開けた「puzzle」は明らかに大阪公演とは空気が違っていた。
それは、7人でやっていたものが6人になったことで魅力が減ったとか、盛り上がりが減ったとかいう意味ではない。
ステージ上のメンバーの熱量の高さ。客席の熱量の高さ。明らかに大阪公演よりも高かった。

東京公演だから。
千秋楽だから。
会場が大きいから。
もちろんこれらも理由ではあるだろうが、これらの中にいちばんの理由は無いと思う。

執念か意地か、

「絶対にこのライブを『良いライブ』にする」

この思いが会場の至る所に渦巻いているライブだった。

そりゃそうだろう。
ライブが終わった後、
「メンバーが揃わなくて残念だったね」
「やっぱり全員揃ってないとね」
なんて言われたらたまったものじゃない。
メンバーたちも、会場に集まったファンたちも。

ちぐはぐにして凸凹。
それでも、やるとなったらそのライブは絶対に「良いライブ」でなくてはならないのだ。

この日のMCの中で村上さんが語った言葉がそれを象徴していた。

「来て良かった。また来たい。そう思ってもらえるライブにします」

そう宣言し、それを実現するというのはとてつもなくすごいことだと思う。


DIALOGUE+ LIVE2022 「puzzle」東京公演は、最高に素晴らしいライブだった。


やっぱり、このユニットは良いユニットだなあ。
DIALOGUE+のライブは、いつも「音楽は楽しい」ということを教えてくれる。
不安。緊張。悔しい。寂しい。そういったモノをなんとかしてくれるのは「楽しい」という気持ちなのだろう。
今回のライブも、めちゃくちゃ楽しいライブだった。


そんなめちゃくちゃに楽しいライブの中にあった、ひとつの大きなサプライズ。

それは、内山さんからの映像コメントだ。

アンコール明けのMCで、
「ゆりにゃからの映像コメントを貰ったので、ご覧ください」
という言葉を聴いた時は本当に驚いた。

そして、その映像を見るのが、今の彼女の姿を見るのが怖い、と一瞬思ってしまった。

内山さんが活動休止になってから3ヶ月以上。100日以上が経っていた。
前にも書いたように、どこの何が悪いのかは一切公になっていない。

100日以上ぶりに見る、今の彼女。


スクリーンに映された映像には、

僕のよく知っている内山悠里菜さんの姿があった。

よく知っている姿。
大好きな声。

それだけでめちゃくちゃ安心して涙が止まらなかった。

泣きすぎて彼女からのメッセージのほとんどを覚えていなかった。
ダメなオタクにも程がある。
幸い配信アーカイブのおかげでこのメッセージは何度も聴くことができた。

メッセージの内容も良かったな。
復帰に向けてポジティブな表現で語りながらも、「頑張っていきます」、「頑張ります」という言葉は使わなかったことにも安心した。
(こういう状況で「頑張る」というのを本人が言葉に出して意識してしまうと、オタクはどうしても心配してしまうので……)


アンコールは「あたりまえだから」というメッセージ性の強い曲と、MCでの内山さんからの映像コメントが続いたのだが、ラストは「20XXMUEの光」と「ダイアローグ+インビテーション!」というひたすら楽しい2曲。
どこまでもDIALOGUE+らしいライブだった。

「ダイアローグ+インビテーション!」曲頭の宮原颯希さんの煽りは、この「puzzle」というライブの〆として完璧なモノだった。


「人生!!色々!!あるけど!!これからもDIALOGUE+をよろしくね!!!!!!!!」


人生は色々あるのだ。
色々あるのが人生なのだ。

悔しいことも、悲しいことも、嬉しいことも、楽しいことも、生きている限り色々なモノを背負っていくのが人生。

なんてことを明るく元気に投げかけて、楽しくライブを終わらせる。
「puzzle」の、そしてDIALOGUE+のライブとして完璧だった。


こうして、DIALOGUE+ LIVE2022 「puzzle」は幕を閉じた。


実は、「puzzle」が終わった後に、DIALOGUE+に対して所謂「燃え尽き」の状態になってしまうのではないかとちょっとだけ心配していた。
推しが活動休止の中でのワンマンライブへの参加。
「推しへの義理立てはしたし、これで一旦距離を取るのもアリかな~」という未来もあったと思う。

だが、実際には全然そんな気持ちにはならなかった。

村上さんがMCで宣言した通り、「来て良かった。また来たい」という気持ちで胸がいっぱいだった。

すごいユニットだ。
推しが活動休止になったオタクとDIALOGUE+の戦いは、見事にDIALOGUE+の完全勝利だった。

ありがとうDIALOGUE+。
次のライブが楽しみで仕方ない。



と、そんな「推しが活動休止になったオタク」の推しだが、ライブからわずか2日後の10月11日に活動再開の発表があった。


長い長い戦いが終わった。

活動休止から丁度108日目だったらしい。
煩悩の数かよ。
笑い話では無いのだが、笑い話として良いオチができたので、気がおかしくなりそうな程にのたうち回った日々も笑い話になればいいなあと思う。


僕が思っているよりもずっと、彼女は強い人だったようだ。

これから先、彼女はまた、たくさんの楽しい光景を見せてくれるのかな。
たぶん、この約100日の空白もすぐに埋まるぐらいの楽しさをくれるんだろうな。

内山悠里菜さん、戻ってきてくれて本当にありがとう。


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