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デレマス10thライブ愛知公演に「10年間の終着点」を見たオタクの話

アイドルマスター シンデレラガールズ10周年記念ライブ愛知公演に行ってきた。
当初、2021年9月に開催される予定だったものが昨今の諸々によって開催延期となり、年末の12月25日、26日に開催されたライブだ。
そのライブで僕は、この10年間の「ひとつの終着点」を見た。


あらかじめ断っておくと、この記事はアイドルマスター シンデレラガールズの城ヶ崎莉嘉担当Pとしての感想では無く、とあるアニメ作品と城ヶ崎莉嘉役の山本希望さんのことが大好きなオタクとしての愛知公演の感想である。


僕は山本希望さんのファンだ。
山本さんのファンになったきっかけは、2011年10月から12月にかけて放送されたアニメ「UN-GO」にハマったことだ。
この話については以前に記事を書いたので、詳細を知りたいという人はそっちも読んでほしい。

「UN-GO」という作品で山本さんと出会った僕は、彼女の魅力に取りつかれて熱心に応援するようになった。それから紆余曲折を経て、2021年11月25日に彼女のファンになって10年を迎えた。という話である。

そして、僕が山本さんのファンになった3日後、2011年11月28日にサービスが開始されたのが「アイドルマスター シンデレラガールズ(デレマス)」だ。

このデレマスに、僕は山本さんをきっかけに触れ、そして見事にハマった(山本さんが城ヶ崎莉嘉のCVを担当するのはサービス開始の翌年からなので、僕が曲を聴いたりゲームに触れたりするのは2012年以降だ)。

2021年。デレマスが10周年となるこの年に、それを記念したライブツアーが開催されることになった。
ツアーの開催が発表されたのは5月27日。同日に、ツアー初演となる9月開催の愛知公演の出演者も発表された。その中に山本さんの名前があった。

なんとしても行かなくてはならない。

こう思った最大の理由は山本さんが出演するからなのだが、もうひとつ、愛知公演になんとしても現地参加したいという理由があった。
それは、白菊ほたる役の天野聡美さんもこの公演に出演するからだった。

山本希望さんと天野聡美さんは、同じ声優事務所「VIMS」に所属する先輩後輩の関係である。
だが、このふたりには単なる「事務所の先輩後輩」という関係だけではない、「それぞれの人生」に関わる繋がりがある。

僕が山本さんにハマるきっかけとなった「UN-GO」。
この作品で、山本さんはアニメ初レギュラーを飾った。
そして、この作品を見て山本さんの演技を聴いたことで、天野さんは声優になりたいという夢を抱いたのだ。

「UN-GO」の放送から7年後の2018年。天野さんは見事に夢を叶えて声優になる。山本さんを追いかけ、同じ声優事務所に入所した。
翌2019年1月、天野さんがデレマスの白菊ほたるのCVを担当することが発表された。山本さんと天野さんはこの作品で初共演を果たした。

山本さんと天野さんは2019年9月に開催されたデレマスの7thライブ幕張公演に一緒に出演している。
デレマスの大型ライブに初出演となる天野さんを、山本さんは様々な面でサポートをしていたのだが、ステージ上での絡みはほとんど無かった。
7thライブにおける、僕の数少ない心残りがここだった。

10thライブで、この忘れ物を回収できるかもしれない!!

そういった期待もあり、なんとしても愛知公演に参加するぞと意気込んだ。

夏。チケットは公演両日ともに無事に確保。宿泊先も確保。あとは開催日を待つだけとなっていた。


そんな中、昨今の諸々の影響を受け、愛知公演の開催延期が発表された。


8月27日のことだ。開催日まであと1週間というタイミングだった。

この時の僕の心境や、いつ開催されるのかわからない延期公演を待つ日々については、何をどう語っても楽しくも面白くもならないのでここでは書かない。

こうして、2021年9月4日・5日にツアー初演として開催される予定だった愛知公演、「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 10th ANNIVERSARY M@GICAL WONDERLAND TOUR!!! CosmoStar Land」は同2021年12月25日・26日に、ツアー3ヶ所目の公演として開催されることとなった。

正直、早くても翌年(2022年)の春頃だろうなあと思っていたので、年内に開催されることに驚いたし、キャストも当初の予定通りのメンバーを揃えてくれたことがとても嬉しかった。


今度こそ無事に開催された愛知公演。無事に現地まで行くことができ、無事にライブを観ることができた。

素晴らしいライブだった。


僕自身、デレマスのライブに現地参加するのは約2年ぶりだったし、なにより延期を経てのライブであったので、キャストのパフォーマンス、披露される楽曲、演出、声を出せないながらも様々な形でステージへ応援を送る客席の人々と、すべてに対しての感慨もひとしおだった。

そんな最高のライブの中で、僕の2年前の忘れ物も回収された。

デレマスのライブを締めくくる曲、「お願い!シンデレラ(おねシン)」でのことだ。

ライブ2日目の「おねシン」の1A。ステージ上手側では山本希望さんが客席へ手を振っていた。
その、すぐ後ろに、天野聡美さんがいた。
曲が1Bに入ろうとする時。天野さんは自分のすぐ目の前に先輩がいることに気づき、客席から見てもわかるレベルで山本さんの様子を窺う動きをした。


「気づけ!!!!!!!!!!」


きっとあの瞬間、あの会場にいた山本さんと天野さんの関係を知るそれぞれのオタクは、全員山本さんに向けてそう念を送っていたと思う。

オタクの念が届いたのかはわからない。

けれども、山本さんは自分のすぐうしろに後輩がいることに気づいた。

ふたりは横に並び、目の前のカメラに向けて手を振った。

ステージ両サイドにあるスクリーンには満面の笑みで手を振る先輩後輩の姿が映っていた。

「魔法が解けないように」の歌詞の所だった。


長く長く続いたアニメの、最終回のような光景だった。


僕にとって、天野聡美さんという存在は「救い」なのだ。
僕は数多の若手声優の中から、アニメデビューを果たしたばかりのひとりの新人声優の魅力に取りつかれ、彼女は絶対にすごい役者なのだと信じて推し続けた。
彼女の力を目に見える形で証明してくれたのが天野さんだった。
救われた気がした。
自分が信じた人は、他人の人生に大きな影響を与えるだけの力を持った役者だったのだ。
これまで応援してきて本当に良かったと、あらためて思わせてくれた。

信じて応援してきた声優と、その人に憧れて同じ道を選んだ声優がステージで並んで「お願い!シンデレラ」を歌っている。

日付は2021年12月26日。

縁というのは不思議なもので、公演が延期されたことで愛知公演の開催日は「UN-GO」の放送が終了してから丸々10年が経っていた。
僕の大好きな「アイドルマスター シンデレラガールズ」が誕生してから10年が経っていた。
僕が山本希望さんのファンになってから10年が経っていた。
天野聡美さんが山本希望さんの声と出会ってから10年が経っていた。

10年の時間が経ち、こんな所まで来たのだ。

僕のこの10年間のひとつの終着点が、ステージの上に存在していた

ライブが終わった時には涙で顔はグチャグチャになり、マスクもびしょびしょになっていた。
会場を出ると外は大雪でおもわず笑ってしまった。

本当に最終回みたいな状態だった。

素晴らしい最終回を迎えることができた。そう思う。
最高のライブだった。

ありがとう山本希望さん。
ありがとう天野聡美さん。
ありがとう「UN-GO」
ありがとう「アイドルマスター シンデレラガールズ」

最高の10年をありがとう。




このライブで山本さんと天野さんが一緒に歌った曲の中で、観れて特に嬉しかったものが「おねシン」の他にもうひとつある。

「BEYOND THE STARLIGHT」だ。

「誰よりも光れ!」と歌うこの曲は、アイドルの覚悟だったり宣誓だったりが詰め込まれている。

人生という次元で繋がっている山本さんと天野さんが、この曲を歌うメンバーの中にいたのがたまらなくエモかった。

ふたりは普段、お互いについて特別に語ることはしない。
それぞれがそれぞれに仲の良い仕事仲間がいて、それぞれがぞれぞれの役者としての道を歩んでいる。
ベタベタ可愛がることもベタベタ甘えることも無い。
しかし、ふたりの根底に特別な関係があり、お互いを特別な存在として見ていることは確かなのだ。


ふたりのその絶妙な距離感が僕は大好きだ。
ふたりは今は同じ声優として生きている。
誰よりも光ることを目指して、進んでいってほしい。

ふたりの関係を知っている者が、その合間の一瞬に物語性を見出していくのだ。

これから先も、楽しいことがたくさん見れると信じている。

次の最終回を迎えるのはいつになるだろうか。

それが再びデレマスのステージだったらとても嬉しい。
全く別の場であってもとても嬉しい。

ふたりの未来が、今から楽しみで仕方ない。


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