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フットサルコラム♯7:人口5万人の街からF2リーグ参戦 ポルセイド浜田の一歩一景~アグレミーナ浜松戦マッチリポート~

アグレミーナ浜松がパワープレー返しで5-0とリードを広げた直後の後半14分、ポルセイド浜田はパワープレーを続行し、道岡(♯11)が右サイドの角度のない位置から鋭いシュートでネットを揺らした。

意地の一発で、駆けつけた浜田サポーターから歓声があがった。結果は7-1で浜松が実力を見せつけたが、浜田も後半は見せ場を作った。

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前半は浜松がスペシャルなフィニッシュでリード

9月29日、神戸市のグリーンアリーナ神戸で行われたFリーグDiv2第8節。浜田は前節にデウソン神戸に2-1で競り勝ち、昨シーズン果たせなかったF2リーグ初勝利を挙げたばかりだ。8チーム中7位で浜松戦を迎えた。

一方、浜松は昨シーズンにF1で最下位に沈み、入れ替え戦でもF2首位のボアルース長野に敗退し、F2に降格。7節終了時点で5位に位置しており、巻き返しを狙う。

両チームともにピヴォを置く「3-1システム」でスタートした前半、ペースをつかんだのは浜松だった。2分に右45度から日永田(♯20)がドリブルでの揺さぶりで、マークのズレを生じさせて素早くシュート。正確にコントロールされた高めの弾道がゴールに吸い込まれた。

浜松は前からの強いプレッシャーをかける守備で、浜田を前進させずにチャンスを次々につくる。8分にはパスカットした浜松の山元(♯13)がミドルレンジからの強烈なシュートで2-0に突き放す。よく止めていた浜田のゴレイロ・中田(♯1)でも、チャンスがないフィニッシュでアリーナを沸かせる。

15分には浜松の松浦(♯9)がファー詰め、2分後には中央付近からのフリーキックを須藤(♯16)が低い弾道でゴール。高めのシュートを次々にはじいていた中田に対応した判断だった。前半は浜松が4-0で折り返す。

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後半は浜田がリズムをつくって反撃

フィールドプレーヤー(FP)7人で戦う浜田は後半に躍動する。ゴレイロのロングスローや、底辺からのロングパスで、高い位置でセットプレーを得てシュートシーンが増える。

後半1分に浜田の布田(♯9)が、浜松のゴレイロ・伊名野(♯2)と1対1でシュートを放ったが、伊名野が好セーブでガッツポーズ。U-20日本代表でアジアチャンピオンに輝いた若手ゴレイロが立ちはだかる。7分にも浜田の岡本(♯13)が中央をドリブル突破しシュートに持ち込んだが、1点が遠かった。

残り7分になり、浜田はパワープレーを選択したが、浜松の日永田がパワープレー返しで5点目を挙げる。浜田は道岡が1点を返したが、その後も浜松の松本(♯8)のパワープレー返しや、中村(♯11)の芸術的なループシュートで計7得点を挙げた。浜松のシュート精度が光った試合だった。

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人口約5万人の地方都市で奮闘する浜田

ポルセイド浜田は、2016年にF準会員に申請して承認され、17年にはFチャレンジリーグ(7位)に参戦した。18年のF2初年度には、1分13負と1勝を挙げることができなかった(8位で最下位)。

今シーズンは、元デウソン神戸監督の山本尚希を監督に招いて体制を強化したが、FPの人数不足もあり、もがいている最中だ。

今回、浜田の試合を観戦したかったのは、ある選手のプレーを観たかったからだ。その選手は霜出聖也(♯3)。デウソン神戸から昨シーズンに浜田に移籍してきた。興味を持ったきっかけは8月25日のボルクバレット北九州戦で、プレーイングタイム40分をフル出場したことだった。

フットサルはサッカー以上にスプリント回数が多く、交代が何度でもできるため、「セット」と呼ばれるFP4人組を2、3パターンつくる。プレーイングタイム3~5分程度で交代していくのが通常。都道府県リーグではフル出場する場合もあるだろうが、僕は強度の高いFリーグの公式戦でフル出場を目撃したことがない。

浜田はFPが少ないという事情はあるが、チームの大黒柱で「フィクソ/アラ」のポジションを担う霜出をピッチに欠くことはできない判断だったのだろう。北九州戦でも後半に1ゴールを挙げており、浜松戦でも安定した守備と後方から攻めあがるスピード感で存在感を示した。

霜出は「昨シーズン自身の3ゴール8アシストを超えることがチームの勝利にもつながる」と意気込むが、フル出場が及ぼす身体のダメージは大きかったという。

浜田は島根県浜田市に本拠地を置くクラブで、浜田市は人口約5万人の地方都市。同じ中国地方でF2のクラブ「広島F・DO」の本拠地である広島市は人口約120万人、対戦した浜松の浜松市は人口約80万人で、浜田市はF2クラブの本拠地では圧倒的に人口が少ない。

周辺エリアを含めてもフットサル選手や企業の絶対数は少なく、選手やスポンサーの獲得、観客集めには、他地域より苦労が生じる。もちろん、彼らはそれを言い訳にしないだろうし、大都市では様々なスポーツクラブが存在するため、競争が激しい背景はあるだろうが、浜田がF2で戦う姿は応援したい。

山本監督は「浜田には都会のJクラブ下部組織でもまれた経験や、学生時代に全国の舞台で活躍してきた選手はまだ少ない。技術を高めるのはもちろん、Fの舞台でどんな場面でも力を出し切れるメンタルの部分も鍛えていく必要がある」と話す。

山本監督自らSNSで有力選手を募っており、9月には関東リーグ2部から本橋(♯17)が新たに加入。まずは力のある選手をそろえて、体制を整えてほしい。

神戸での浜松戦では、浜田サポーターや選手の家族らと試合観戦させていただき、雰囲気良く楽しませてもらった。そして浜松のサポーターも太鼓を響かせた応援でアリーナを盛り上げてくれた。

浜松 vs 浜田は7‐1、同じ会場であったY.S.C.C.横浜 vs デウソン神戸は8‐2で横浜が圧倒し、2試合とも接戦にはならなかった。F2の中で実力が拮抗し、より魅力的なリーグになることを願っている。

浜田の次戦は5日午後2時半から、ホームの島根県立体育館で横浜と対戦する。タイトルの「一歩一景」は、歩みを進めるごとに違った景色が広がっていくとの意味だ。この言葉をポルセイド浜田の歩みと重ねて。

(了、文中敬称略)

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F2に関しては6月に以下の記事を書いています。合わせてご覧いただければ幸いです。それでは、また!

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