48時間のしあわせ

48時間のしあわせ

8月15,16,17日の二泊三日で彼女が遊びに来ました。

七夕の日にだけ会うことの出来る織姫と彦星――ほど綺麗なものではありませんが、彼女とは滅多に会うことが出来ないので、とても楽しみにしていました。

とても楽しみにしていたのだと、気がついたんです。

8月の第二週なかばまで、彼女は「8月14日」から遊びに来る予定でした。帰る日付はそのまま17日で「三泊四日」の予定だったんです。

しかし、直前で彼女に仕事が入ってしまい、15日の午前中だけ出社することになりました。

その結果、彼女は15日の午前中に仕事を済ませて、昼食をとってからこちらへ遊びに来ることに――

そのことを聞かされたとき、ぼくは彼女に対してちょっとイラッとしてしまいました。

断ることもできたはずだ、と思ったんです。

しかしそのあとすぐ、この感情が「苛立ち」でないことに気づきました。

「ああ。イライラしてるんじゃないや。ガッカリしたんだ。彼女に会えるの、楽しみだったんだ」

ぼくは彼女と会えるのを「楽しみに」していたんです。

楽しみにしていたものが遠ざかったことに、ガッカリしたんですね。

ぼくはポジティブな感情にひどく鈍感で、楽しいとか、嬉しいとか、そういう気持ちを感じ取ることが上手くできません。

だからそのときも、自分は怒っているのだと解釈してしまったんです。

しかし、実際には楽しみにしていたものが遠ざかったことにガッカリしたのだと気づくことができたので、1日とちょっと短くなってしまいましたが、残された48時間を目一杯楽しもうと、考え直すことができました。

そんなわけで、およそ48時間、彼女にべったりくっついて思う存分に癒やされて来ました。

二泊三日ずっと部屋にこもりっぱなしの特殊なカップル――かもしれませんが、ぼくらが大満足ならそれでいいのだ。きっと。

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