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週刊ユグド通信Vol.72『ユグド世界の信仰の話をしよう2』

 前回は世界の起源から聖王国の信仰までを解説しましたので今回は聖王国の外の信仰の話をします。



4.ユグド大陸諸地域の信仰

 前回は聖王国の信仰について解説しましたがユグド大陸全体の信仰状況はどのようなものでしょうか。過去のストーリーを参考にしながら可能な限り各地域の信仰について検証してみましょう。

1.賢者の塔

賢者の塔は独立した学術研究機関(無宗教)なので特定の信仰を推奨することはありません。アリーチェ篇11-4には救済教団を支持する『救済同好会』が出てきますが、あれは学生のサークル活動な上に教義の上澄みをすくっているだけなので信仰とも言い難い代物。近隣の領主達については特に言及されていませんが地理的に近い聖王国の聖人信仰を汲んでいそうです。

2.迷宮山脈

迷宮山脈の土妖精達が信仰するのは山の精霊、他には氷や土の精霊の活動が活発ですね。神殿もありませんし種族的にそこまで信心深い訳でもないのですが、古くからの慣習を大切にしています(※)。火妖精の集落はまだ新しいコミュニティであることから伝統的な儀式があるのかは定かでありませんが、迷宮外伝にて族長のロロが火妖精独立の立役者の像(?)を作ったので将来的に信仰の対象になりそうです。

信心そのものよりも礼儀知らずに怒っていますね。

(※)チェンスト『7.海風の方舟』参照

3.湖都

 湖都の民衆のほとんどは砂漠の守護者を信仰する竜の民。数千年前から砂漠の守護者である竜の加護を受ける為に過酷な砂漠地帯で生活してきました。一方少数民族の黄金の民は古来より‘’原始の子‘’と呼ばれる存在を信仰しており、竜の民とは長年に渡って対立してきました。更に近年は竜の血肉を喰らうことで守護者の力を得ようとする『竜教団』(※)という過激派が台頭。教祖や司教を始めとする幹部の多くは戦死するか捕らえられましたが、未だ一部の残党が活動を継続しています。(『伝承アシュリナ伝』では刺客を送って来ています)

子供の姿をした神様。

(※)竜教団の詳細は『湖都外伝』『エシャル篇第4章』を参照

4.精霊島

精霊島の森妖精は長寿故か或いは鷲獅子ヴォルクリスという存在に圧倒されたのかあまり信仰心というものは無い模様。一応精霊信仰という概念は存在しますが千河や海風の様相を見るにあまり信心深くはないようです。

5.九領

 九領には他地域とは一線を画す寺社仏閣があり、義勇軍にも坊主のエンクウや巫女のオリョウ、アオイがいます。アオイは火山を鎮める山の神に仕える巫女ですが、他の僧侶や神職が何を信仰対象としているのかは定かではありません。九尾のイナミなんかは自らを守護霊獣と称していますので妖怪や精霊に対する信仰があるのかもしれません。

5.外海の信仰

 ユグド大陸の外側ではどんな信仰が盛んでしょうか。各地域毎の特性が色濃く反映される一方、罪、薄命、年代記に就いては以下の理由で割愛します。

1.罪、薄命、年代記に信仰がない訳

 罪の大陸の住人はほとんどが余所者になります。義勇軍にも神官のエリシャや僧侶のヴィリヘルムがいますが、二人が何処の国で何を信仰していたのかは定かではありません。(ただしエリシャの故郷は異教徒の国と戦争をしていたそうです)

 薄命には司祭のトアがいますが、彼女の役割はどちらかと言えば信仰というより死者の弔いに軸が置かれているので信仰という概念がないのかもしれません。

 年代記の大陸には書架の一族しかおらず、その中に聖職者はいなそうなので特に信仰はないと思われます。

2.夜明けの大海

 夜明けの大海は土地柄、船乗り、海賊、漁師が多いことから海神信仰が盛んです。海賊なんかは信仰と無縁なチンピラも少なくありませんが、信心深い海賊もいるようです。マールやアラーツィも海神信仰の巫女やシスターになります。他に信仰対象に近い存在としては渦潮の魔導師ヘリシティーがいます。

マールに力を貸してくれていた神様の正体は意外な相手(※)

イングリスやミラベルの信仰する神様はどのような存在なのでしょう。イングリスの教会は彼が司教を務め始めてから拝観者が激増したそうでなので古くからある教会であることが窺えます。一方ミラベルの教会は本部の強硬派から異端扱いされたこともあるのでかなり大きな宗派であることが窺えます。ただこの二人の宗派が海神信仰を生業としているかは定かではありません。

(※)詳細は『絆の軌跡 大海篇』参照

3.ケ者の大陸

 ケ者の大陸には複数のカミサマがいます。大神イノデウス、マナを司るチョウチョリアス、空の神ソラトリウスが代表的な所ですが、鉄拳ヴァリー(※)も闘いのカミとして慕われています。ケ者のカミサマというものは肉体と精神を分離することで世界を俯瞰的に見守る存在。実際の所イノデウスの生前はイノシシですしソラトリウスは鳥なのでその概念は精霊の上位種と位置付けられそうです。

人並み外れた能力を神の力と解釈するケースもあります。

(※)罪の大陸の囚人

 カミサマの力が及ぶ範囲は概ねケ者の大陸内に限られるようですが、大陸内の事柄であればクロニクルよりも事細かに把握している模様。普段は神域や聖地にいることが多く直接姿を見ることは難しいですが、狐尾族の精霊使いの頂点に立つ族長キララネならカミオロシの儀を行うことでカミサマを憑依させて一体化することが可能です。(他の精霊使い達は精霊の声なら聞ける)

 ではカミサマは如何にして生まれるのでしょうか?
これにはイケニエの儀を執り行う必要があります。慣習としてはイケニエの儀で首を落とすことで魂と肉体を分離することでカミに成れるそうです。(イノデウスもガジジナの先代が儀式を執り行ったとのこと)本能の魔神スクロロンも元々はカミサマの候補生として育てられた巫女でしたが、黒の軍勢の襲撃でカミではなく魔神と化してしまいました。

ケ者のカミサマは実質不老不死な反面不変の存在という訳ではありません。特に大神イノデウスは黒の軍勢に神域を荒らされて消滅しかけていましたので古いカミサマの力が衰えた(信仰を失う等した)場合には新たなカミを迎え入れるのが大陸の慣わしなのかもしれませんね。因みに『第2部』でピリカが誤解からイケニエされていたら世界が滅亡していた可能性もあります。(※)

 (※)ピリカと世界根源の話は前回参照

4.鉄煙の大陸

 鉄煙人にとっての価値観は身体の機械化率に左右される部分が多いことからあまり信心深い人はいない模様で聖職者や神殿の話はとんと聞きません。だからといって鉄煙に神話がないわけではありません、それが空の女神の伝説。ハプス(※)はセレステの名前を聞いて直ぐに空の女神を連想していましたしジークルーンが持っていた本にも妹が二人いることが書かれているのでセレステで間違いないのでしょう。

黒化の影響で従妹とセレステを混同しています。

(※)改造の魔神ハプス

 ここまでのまとめ

 少々長くなってしまったので今回はここまで。次回は外海全般とまとめの話をしたいと思います。

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