解散が発表された翌日の朝。

いつもなら休日はお昼まで寝ているくらい寝ることが趣味な私は昨日はなかなか寝付けなかったはずなのになぜか7時半に目を覚ました。本当は少しでも現実から目を逸らしていたかったのに。夢の中にいさせてよ。
昨日泣いたせいで目は腫れ上がり二重幅がおかしくなっていた。私の心模様とは裏腹に今日の天気は快晴。開かない目に差し込む太陽の光がいつもより鋭く眩しい。




あぁ夢だったらな




私は何度もそう思った。

まだ寝ぼけている頭でTwitterを開く。下ちゃんの解散報告のツイートは残ったまま。私はまだいいねを出来ずにいる。いいねを付けられる日は来るのだろうか。前向きになれる日は来るのだろうか。
一夜明けて"嘘でしたー!皆のこと騙してごめーん!!!しまってこー!!!"とかいういつもの口調でのツイートがされてないかなとか頭の片隅で考えていた私はまた落ち込んだ。

そんな私のTLをスクロールする指はコウテイの歌詞動画で止まった。
サムネを見る。そこに映るのは黒色のスーツ、青色のシャツ、赤いネクタイを身に纏ったまだ若かりし頃の下田真生と緒川拓文。そこには光沢のある臙脂色のスーツを着て髪の毛をワックスを半分使いとにかく上へと立ち上げる男とジェルで整えた完璧な八二分けの男は存在しなかった。


まだ"コウテイ"になる前の"コウテイ"だった。


私はそんな彼らの姿を見るなり視界がぼやけてしまい2秒足らずでその動画を閉じた。

今の私はコウテイのどんな姿を見ても涙を流してしまうだろう。過去の姿を見ればこの時からコウテイは始まっていたと思い涙を流す。最近の姿を見ればこの時の2人はお笑いに対して何を考えていたのだろうと過剰に想像をしてしまい涙を流す。

コウテイのコンビ名の由来には身長差の高低の他に自分達の漫才を肯定する、お笑い界の皇帝になるという意味も込められているという。



コウテイというジャンルを作って自分達を肯定してお笑い界の皇帝になってよ。

朝の快晴から一転。外を見ると雪がぱらついてきた。
私の心を温めてくれるのはコウテイだけだよ。


まだ夢を見させて。

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