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ちょうど良いバッグが私の心を守ってくれる気がした



その日、私は疲れていた。

それは旅疲れによる体調不良のせいもあったかもしれない。

もうすぐ家を出ようというのにバッグに迷っていた。

夏服に関しては、旅行でひと通りコーディネートを組んでいたこともあり、ある程度完成していたので、服はあまり迷わず決められたのだけど

そういう日、バッグについては、いつも悩んでしまう。

(旅行に持参したのは、防犯を想定したTPO限定のつもりで買ったプチプラのもののため、日本で使いたいかと言われると違っていた)

以前こちらのnoteでも記事にした超超お気に入りのバッグは持っているのだけど、何も入らないこともあり、そういう時には選択肢にも入らない。(もはやアクセサリー感覚)


それ以前に買った自己紹介バッグは、今年の夏の制服と合わせるイメージがつかなかったのもあるけど、デザイン性も相まって、選ぶにはパワーがいる気がして、そんな時はいつも今日じゃないなと思う。

旅先でベーシックカラーのトートバッグを手に入れ、そちらがカジュアルなシーンには使い勝手が良く、旅行中から活用していたのだけど

その日の予定としては、カジュアルな和割烹的なお寿司やさんに行くことになっていたので、トートバッグだけで行くのはなんとなく憚られた。

近しいシーンの時にいつも選ぶのは、約3年前に自問自答ファッションを知ってから、早めに手に入れた好きなモチーフと色で選んでみた水色のバッグか白のバッグ。

買った当初はお気に入りだったのだけど、自問自答を進めてバッグについて考える時間が増え拘りが増すうちに、理想のデザインとは言い難くなっていたし

機能的にも気になる部分もあって、消去法で選んでいる自分に気がつくのが、地味にストレスだった。

結局その日は、用途による消去法にて、白のバッグで行った(気がする)。


なんで私の手元には最高にエモーショナルなバッグがあるにも関わらず
痒いところに手が届くバッグはないんだろう。

過去のバッグを買ったことに後悔はないのだけれど、自問自答ファッションの制服化のメリットのひとつである選ぶ時に"迷わない"から抜け出せていないことを改めて自覚して、ちょっと落ち込んだ。


今まではバッグを一つに絞ると思うと、お気に入りのアイテムまで手放さなくてはいけないと思い思考停止していた私だったけど

秋冬服は1セットの制服を選び抜きたい!と思っていたこともあり、バッグも含めて制服化したとしたら、その時持ちたいバッグはどんなものなのか?を考え始めた。


そこでまず1番最初に浮かんだのはmarniのMUSEOバッグ。
バイカラーが可愛く革のツヤがポップでアンニュイという感じで、普段使いしやすく、どんなシーンにも扱いやすそう。
自問自答ファッションレポートにも乗っており、初期からずっとバッグ候補として浮かんでいて、試着したこともあるのだけれど、ホームページを見る限り、マイカラーと確信できる色合わせが今出ておらず保留に。

あとは昨年くらいからこのバッグに似た模倣品と思えるデザインが他のファッションブランドでもたまに見かけるようになって寂しさを感じていたから、以前より今!バッグ!という想いが薄れてしまっていた。
(マイカラーと思うものができたら欲しくなると思うけど)


次に思い浮かんだのはMM6のジャパニーズバッグ。こちらも以前の試着旅で店頭で見かけて大変好みに刺さり、その場で試着させてもらっていた。
素材が好きなサテン生地で、軽く直立すること、しっとりしつつショルダーのリボンがかわいい、色はマイカラーのひとつのミントグリーン
100ランク上のサブバッグとして旅先で免税で手に入れられないか悩んだくらいに気になったが、旅先では店舗に行くことが叶わなかった。

ただ最初の発端であるちょっとだけかしこまった場所に持っていくイメージがつかず一回保留に。欲しいけど。


次がいつか買うバッグとして今1番熱いpipatchara。伊勢丹のPOPUPで出会って、アートとエシカルの融合というコンセプトと、デザインが本当に好み。こちらは肩紐の長さが自由自在でハンドにもショルダーにも調整できるし、薄いけど意外と入る。

以前試着した際に、1番合わせやすく似合ってたこちらの色でアイテムを検討したけど、他のシリーズにも惹かれていて、このバッグと色単品でコンセプトを感じられる気がしないのと、単品が無理なら併用して🌧️を持つというのもイメージがつかないことから保留。というか試着のためのポップアップがあるまで我慢。欲しいけど。
(今回ではなくまた別予算がある時に)



という感じで、3大候補が保留となってしまったので、もういっそ予算度外視なら、機能やコンセプト、見た目、オールクリアのものが存在するのか、一旦探し始めた。


Valextraイジィテ、Maison Margiela グラムスラム5ac、DIORブックトート、GUCCIダイアナ・ホースビット・オフィディア、LOEWEフラメンコ、FENDIピーカブ、BVLGARIセルペンティ他

以前から気になってたもの、今回のテーマに合いそうなもの、それ以外にも初めてみたものなど、色々調べてみて、いつか欲しいと思えるステキ過ぎるものには出会うことができた。


ただ、ある程度今使いたいかと想像すると、例えば予算が許したとしても、疲れてる時の私にとってハイブランドは色々とハードルが高いことがわかった。

・ハイブランドのブランド力
・老舗ブランドの持つ歴史と信頼

これらは自分が足りないパワーを補って変えられることもあるので、時と場合に寄っては、力を借りたいし活用したいのだけれど

そういう時に持つバッグを今求めているわけではなかった。
どちらかというとそういうことから解き放たれたい。でも好きも手放したくない。

改めて、疲れた時に選ぶバッグについて、今持ってるものの中でそのアイテムを選ぶときの理由と躊躇する理由と、検討したバッグを見てて思ったことからから要件を考えてみた。

⚫︎機能面
・自立する
・軽い
・間口がある程度広め
・深さはものを探すほどには深くない
・困らないレベルには物が入る(ペットボトル小が入る、チケットや封筒が入る)
・厚みがあり過ぎない or 大きすぎない
・両手を空けられる
・持ち手を腕や肩にかけてもキツくない
・雨の日でも多少は気にせず使える

⚫︎デザイン
・好きな色
・どの服にもある程度合わせやすい
・デザインや色に重厚感がない
・ショルダーが主張しない(ありの場合)
・模倣品ではないオリジナル
・できたら🌧️のサブバッグにもなれる(デザインや色に親和性がある)

⚫︎ 情緒面
・好きなモチーフの要素がある
・ブランドコンセプトが好き
・ブランドに憧れ要素がある
・ブランドバレしづらい(知る人ぞ知るレベル)
・デザインや価格に圧がない(メンタルが疲れてる時も持てる)
・自信を持ってステキと思える


そして、特に重要なのは、自分の普段の行動範囲

推しの前でも、コンセプトを知って下さってる自問自答ガールズの前でも、友達の前でも、試着旅でも、家族の前でも

好きなものとして気後れせずに安心して持てるということ。


そんな私の痒いところに手が届く"ちょうど良い"ものが世の中なや存在するのか?と思ったのだけど、ふと考えると1つだけ心当たりがあった。


それはnori enomotoのバッグ。

私の推しのyoutubeクリエイター あさぎーにょちゃんをきっかけに知ったバッグと小物のブランド。

ブランドデザイナーのnoriさんはあさぎーにょちゃんのブランドのパタンナーさんも兼任されている。

ブランドコンセプトは『絵になる衣服。小物』で、ウェーブモチーフのデザインが特徴。
デザインは曲線で柔らかさもあるのだけど、規則性のある形、金具にはシルバーを合わせておりちょっとパキッとモードな印象もある。

デザイナーご本人のファッションも大変ステキで、インナーカラーへの熱が再熱したりしたするほど、今の私にとって私のファッションアイコンのおひとり。


ただ一つ問題なのは、ブランド店舗はなく期間限定しか基本販売はなく、通販は一瞬で完売。
ポップアップストアは毎回長蛇の列。

買うことを決意して、1年ほど前から通販チャレンジをしていたが、毎度敗退していた。

バッグは迷えるほどには数を持っていたので、後半は今年必要と考えていたポシェットの購入へ一度シフトしたけど、そちらも敗退。


今回旅行が終わって、仮でもポシェットは手に入れていたこと、しばらく東京のポップアップの開催はなく試着が叶わなそうなこと、
持ってる🌧️バッグと白色バッグとmardi matinはちょっと印象が被ってることから、無意識に今回の候補から外していた。

それほどの人気のアイテムで、私にとっても憧れの詰まったアイテムに、"ちょうど良い"と言うのは表現としては不敬レベルなのではと思うのだが

どう考えても、上記の複雑な条件に、このブランドのmardi matinのバッグは、あまりにも"ちょうど良く"当てはまっていた。
なので、あとは買えるかどうかと、ホンモノを見れてないのに買うかどうか。


あとは強いていえば色に悩んでいた。
最初に一目惚れしたのはあさぎーにょちゃんがたしか最初に持っていた、持ち手の革のベージュ色も好きなアイボリーだった。

でも今回コンセプトやら、TPOやらを意識して悩むのはオールホワイトコーデがホワイト。か、ちょうど良い色味を足せるけど疲れない水色。
手持ち服とも相性良さそうでちょっとだけアクセントになりそうなグリーン、コンセプトカラーとしてマイブームカラーの赤、制服だと定番カラーの青も悩んだ。

多分挙げた全カラー、全部好きな色だし、基本的には制服と合うはず。

ただやっぱりどんなに気に入っても原色は、疲れている時に億劫になりそうだなと思ったり。

ホワイトと水色も絶対使うし気にいるだろうけれど、ホワイトは黒の服と合わせるとコントラストが強いこと、水色は白い服と合わせるとほっこりしそうな気がして、やっぱり初志貫徹のアイボリーに決めた。


通販は4日後に控えていた。
買うと決めたけれど決意は揺れていた。


自問自答ファッションでは大事な試着ができていないこと、似たアイテムなら持っていること、ポジティブな色選びでないこと、推しと全く同じアイテムを真似することになるということ、ハイブランドのパワーに頼らないということ、そもそもバッグ買いすぎなこと、
そして周りの目を気にしてバッグを選んでいるという事実。


憧れる人がデザインしたブランドで、私が好きなモチーフの固まりみたいなデザインで、私のワガママな機能面への条件にも応じてくれて、推しがステキに持っていて、値段も予算内だし比較検討からして申し分ない、こんなにも最高なバッグが見つかっていることを確信しているにも関わらず、なぜ悩むのか。


それは今まで自問自答してバッグを買う時、人の目を気にしない、媚びない、という"なりたい"を優先してきたからだと思った。

それなのに、結局購入してから、自己紹介であるバッグを使い分けている自分がいて、それが八方美人で人に合わせて顔を使い分けている自分を表しているようですごく辛かった。

そんな周りの目を気にしてばかりの自分を乗り越えずに、この万能過ぎるバッグを買っていいのかということだった。
(それ以前に試着ができていないというのはあるけれど)



通販の当日は、家族とご飯に行く予定となっていた。

家族と食事の間話しており、その時感じたのは、色々複雑な事情はあれど、自分はそれでもきっとすごい恵まれているなということ。

ただ同時に思ったのは、この家族にも本当に感謝しているし、私のことも考えて想ってくれていると感じても、価値観の違いが見えてしまうということ。

なので、コンセプトに合っている強強のハイブランドや尖ったバッグを買ったとしても、この家族の前に持っていくと言うと多分持っていかないだろうなと思ってしまっていた。

そもそも、この家族の前ではコンセプトの面があることを見せたいとさえ思えていないなということだった。

ハイブランドについてはどちらかというとみんな肯定的な人たちなので、ハイブランド自体をが嫌煙されるとも違うのだけど

今の家族の関係性もあり、ハイブランドのバッグを見せることで私の価値観を誤解されることが怖いこと、でもそれらを踏まえて彼らにも認めてもらえるようなハイブランドのバッグを1セットとして、清水の舞台から飛びたいとはどうしても思えない自分がいた。

私は家族みんなの幸せを心から願っているけど、私に関しては、正直放っておいて欲しい。
どうしてもそう思ってしまうのだ。

もしかしたら、私の選んだコンセプトのハイブランドのバッグを見せても、普通に受け入れてくれるかもしれない。もしかしたら喜んでくれるかもしれない。
でも例えそうでもそうしたいとは思えていないのだ。
少なくとも今は。


ただそれでも家族と疎遠になるという選択肢は私にとってはなく、家族のおかげで自分があると思っているし、理解しあえなくても、できなくても、困っていたら力になりたいと思う。

ということは、このまま形は変われど、適切な距離感を模索するなどして、自分はこの家族との関係もありながら、今後も生きるつもりであるということも感じた。


なので、引き続き、この家族にも無理なく会える、私にとって"ちょうど良い"バッグは必要だと思ったし


相手に合わせて、そういう仮面を被ってしまう自分でも良いと、いい加減受け入れて生きていこうと思った。
(このバッグを家族が気にいるかはわからないが)




その日、結果試着はできなかったけど、通販にて無事にバッグを買うことができた。


今までの自問自答して清水から飛び降りるつもりで買ったバッグ達のことを、演歌だと聞かれても、個人的にはそう思えず、はっきりとそう答えられなかったのは

自分と向き合っていないわけじゃないけど、そういう私の現実から目を逸らして、エンタメの世界でのなりたいを追求していただけだったから。それはとても大事な経験でそれが必要だった。


でも今回は、店舗試着まで辿り着けなくても、自分を貫けない自分でも、この万能で痒いところに手が届くバッグでオール解決しちゃお!!!!

そういう気持ちで買ったせいか、今まで1番湿っぽく、演歌みたくなった。


(このnoteを書いてても1番メソメソ泣いてる)


9月上旬に届くということだったが、思いの外早く発送通知があり、運良く、お盆休みの前日に受け取ることができた。

普段ならそれを卸す日について、とっておきの機会にしようなどとするのだけど、今回はそれこそデイリー用として買ったこともあり、この好機に合わせて、次の日に早速卸した。

当日、複数の予定で別の日と会うのが重なっていて、急遽予定が変更になったりもしたのだけど、バッグのことを考えなくて済むのも楽だったし

そもそも機能面としても洗い出して選んだこどあり、どのシーンでも痒いところに手が届く感じで使いやすくノーストレスだった。

もちろん憧れではあるんだけど、疲れないをテーマに選んだため無理してる感がない。
そう、少しだけ背伸びした感覚。


(アイテムを卸した日、そのデザイナーさんがインスタストーリーで私の好みど真ん中の☁️ファッションに、私の買ったアイボリーのバッグを合わせており泣いた…私もいつか真知子巻きしたい🥲)


その後、早速、ジュエリーを見に行く時、オシャレな展示空間に訪れる時に、一緒に連れて行ったのだけど

少なくともバッグに関しては、気後れせずに堂々いられたので、自信になった。


もしかしたらハイブランドで私のコンセプトで、痒いところにも手が届くバッグを根気強く探したら、より素晴らしい"上等なもの"や"ステキな出会い"があるチャンスや得るものは多かったのかもしれない。

実際のところ何も解決していないのかもしれない。


それでも、私自身がこのバッグと選んだ自分に誇りを持っているので、人に恥じることはないのだと思えた。


おしまい

長期的な何かに還元したい🧧❤️‍🔥