見出し画像

漢字とひらがなとカタカナを引っさげる日本

私はタイピングがかなり好きです。

タイピングとは文字通りパソコンのキーボードをカタカタすること。

確か小学校2年のときに、我が家に初めてノートパソコンがやってきて、キーボードを一切見ないでブワーッと文字を打つ姿に憧れ(当時は「ブラインドタッチ」という言葉も知らないほど幼かった)、小学校3年に上がる前にはほぼほぼタイピングの基礎はマスターしていたと思う。

最近だと、去年の12月頃から「文字起こし」を始めた。「文字起こし」とはラジオや講演会で人が話した「声」を「文字」に書き起こすことだ。
でも人が話すのを聞きながら文字を打ち込むのはなかなか簡単なことではない。お陰様で最近のタイピングスピードはさらに上がったと思う。

そうはいっても、一字一句正確に打ち込めない時もある。スペースキーをちゃんと打てていなくて、変換されない時がある。変換されないとどうなるか。当然、そこにはひらがなしか存在しない。

西嶋が、ぱかっと口を開き、「その気になればね、砂漠に雪を降らすことだって、余裕でできるんですよ」と断言した。 伊坂幸太郎『砂漠』より

せっかくなので私の好きな小説『砂漠』(作:伊坂幸太郎)から好きな一文を引用(この『砂漠』に出てくる西嶋が大好きすぎるのだけど、これについてはまた今度)。

にしじまが、ぱかっとくちをひらき、「そのきになればね、さばくにゆきをふらすことだって、よゆうでできるんですよ」とだんげんした。

たまにこうやってほとんど変換されなかったとき、改めて自明の真理に気付く。

読みにくすぎる。

やっぱり日本語は漢字があって、ひらがながあって、場合によってはカタカナを使った方が読みやすいわ!
そこで私はまたはっと気付くのです。

そういえば1つの言葉の中でこんな複数の種類の文字を使う言語って日本語くらいなのでは?

漢字だけといえば中国語/台湾語。
おとなり韓国はハングル文字が一般的(名前に漢字を用いるけど、漢字はそこまで常用されない)。
英語はアルファベット26文字を。
EU加盟国にあるようなヨーロッパ諸国も、それぞれ発音こそ違いはあるものの、同様にアルファベットを基本的に使う。
ロシア語はキリル文字が存在する。

1つの言語を習得し使いこなすのに3種類の文字を使う国って日本だけなのではないか??他にもそういう言語あるのかな。

こう考えると日本って、良くも悪くも融合・調和が本当に得意な国だなあと思う。

バレンタインデーもクリスマスも、日本にはもともと縁のないイベントだったけど、今ではそれぞれ一大イベントとしての地位を確立している。
ラーメンは中国の麺料理にルーツをもつが、今や中国のラーメンとはまったく別物と言わしめるほどラーメン大国になった。
外来語もいってみれば融合の結果だろう。

歴史的に見ても他にもいろいろあるんだろうけど、漢字・ひらがな・カタカナも融合して使っているのも、その一例なのかな。
日本語を外国語として勉強している人の中では、ひらがなのみならずカタカナも覚えなければならず、漢字にいたってはもはや先が見えない、と言っているのはあるあるだ。

これだけの文字を融合させているからこそ協調・調和の文化が発達し、これだけ文字があるからこそハイコンテクストな文化も成立し、日本人というアイデンティティーが確立されていったのだろうか。

最近の日本は、一言で言うと「やばい」と表現されるのをよく見かけるようになった。
日本、実は世界からだいぶ遅れてるぞ。
あの高度成長期ウンヌンはもう過去のことだぞ。などなど。
なんだか暗くなるコラム・批判をよく見るようになったけど、それでも自分が育った国として、日本のいいところは忘れずにいたいなと思う。

やっぱり、日本ならではの表現だったり、それこそ文学だったり、日本語から生まれる芸術だったり、そういうのがやっぱり好きだと思うし、大事にしていきたいと思う。

reinakb

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?