mika

co-founder / 小説 / Jazz / 映画 / interior

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    買い付けや出張で飛び回って見つけた穴場スポットやお得情報を載せて行きます◎

最近の記事

私を救うものたち

さっきまで酷く憂鬱で胃の中から這い上がる地獄の底みたいな重たさに当てられてぐったりとしていたけれど寝付く前に本を読んだんだ。本当に久々に。読みたいシーンだけだったり、一小節だったり、セリフだったり。単にそれだけなのに心が落ち着いて自分の芯のようなものを取り戻せたように感じました。 今聴いてる曲はTHE BACK HORNの「桜雪」荒々しいけれど切実な歌声と歌詞に何度も救われている。しんしんと心の奥底に降ってくるように染み渡って呼吸ができるようになった。 実は昨日、久々に心

    • 優しい人

      リョウさんが仕事に行ってしまった後も、いつものたわいないお喋りをしていると不意に、ももちゃんが口を開いた。 「ねぇ、みんなって今恋人いるの?」 「私はいないよ」 別れた元彼の顔が頭をよぎったけど本当のことだ。拓也さんは私とももちゃんの顔をちらりと交互に見てから答えた。 「…僕もいないです」  「なんだぁ…つまんないのぉ。好きな人とかもいないの?」 冷たいミルクティーの入ったグラスに刺さっているストローを指でもて遊びながら、ももちゃんが口を尖らせる。 「今はそういう人もいない

      • こんな日も悪くない

        結局、本屋に着くまで3人でたわいもないことをお喋りしながら歩いてきた。それはそれで楽しかったので、まぁいいかと思えた。 着くと、新しくできた大きな本屋さんということもあり見応えのありそうな広さだった。施設中にはカフェやレストランも入っており何時間でも過ごせそうでお気に入りのスポットになりそうだ。 「どうする?各自でみたいコーナーを見てから集まる?」 「そうしましょうか。」 「ねぇねぇ、それならさっき見えたカフェ行こぉ!」 ももちゃんの提案で各自で見たいコーナーを見終わった

        • 気になる男とのデートは秘密にしなさい

          あの後、拓也さんに聞いてみたけど「僕はそんな事聞いてないです。」と言われて困ってしまったけど何とか誤魔化しておいた。 悪気はないかもしれないけどモヤモヤしてしまっている自分がいた。 それでも良い事も起きるのが人生だ。 実はリョウさんの勤務してる美容室の近くに新しく出来たオシャレな本屋があって、仕事の時間までなら時間あるからと一緒に行けることになったのだ。 デート、…ではないかもしれないけど限りなくデートに近いお出かけにワクワクする。 カフェモームでコーヒーを飲みながらリョ

        私を救うものたち

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        記事

          ひとりぼっちと孤独の違い

          目が覚めるとすっかり昼間になってしまっていた。昨日は原稿で疲れてしまってぐっすり眠り込んでいたようだった。学生みたいに昼過ぎまで眠ってしまったけど週末だし休みだし、たまにはいいかなぁと思う。 溜まっていた洗濯物を干して掃除機をかけて一息つく。昨日の疲れが少し残っていて今から食事を作る気にもなれなくて一階のカフェモームに行くことにした。昼間に行くと真っ白なカーテンから柔らかい日差しが差し込んで店全体が暖かい空気感で溢れている。夜とは違って明るい曲調のジャズが流れてドアを開ける

          ひとりぼっちと孤独の違い

          鳴らない電話とひとりの夜

          2週間くらいが過ぎてようやく新しい部屋にもだいぶ慣れてきた。今日は締め切りが近い原稿に集中することにした。本当は渚さんのカフェMaugham(モーム)でお昼食べながらやりたいけど、集中し過ぎると時間を忘れてしまうし長居は迷惑になってしまうから自分で適当に作ったサンドウィッチを摘みながらパソコンに向かう。 今連載しているのは「復縁」をテーマにした話だ。ちょうど書いてるシーンは、学生の頃からくっついたり離れたりを繰り返してるカップルが別れて別の恋人と付き合ってる時に、互いを思い

          鳴らない電話とひとりの夜

          運命のいたずら

          昨日は渚さんと、希美子さんと、拓也さんとリョウさんに会う事が出来て本当に良かった。 少し前まで、失恋と同時に住む場所も失ってしまい精神的にかなり苦しかった。元彼には「もし君が大丈夫なら、そのままここに住んでも良いんだよ。」と言われていたのだけれど、彼との5年間の思い出が染み付いた場所で彼なしに生活するなんて到底無理で、新しい部屋を探したのだけれど不安は付き纏っていたのだ。だけど良い人ばかりが住んでいて安心した。目が覚めて見慣れない新しい天井でも心が落ち着いていてホッとした。

          運命のいたずら

          出会いは突然やってくる

          あれから暫く話した後、拓也さんは会社のシステムにエラーが現れたからと呼び出されたらしく、私の分も会計してくれた後に「ごゆっくり。」とひと言残して行ってしまった。 なんとなくそのまま帰る気にもなれなくて紅茶を注文して渚さんとお喋りをしていた。渚さんが淹れてくれたのはカモミールティーで私もカモミールはお気に入りなので盛り上がっていた。 「七瀬ちゃんカモミールの花言葉って知ってる?」 「んー、知らないです。」 「逆境の中で生まれる力、あなたを癒す、辺りが有名だな。カモミールはね

          出会いは突然やってくる

          腹が減っては恋はできぬ

          渚さんという優しいおじさまがオーナーをしているアパートメントの1階に入っているカフェ『Maugham( モーム )』は昼と夜はカフェだけど深夜になるとバーになるらしい。 今は夜なのでまだ夜カフェの時間だ。 拓也さんと一緒にモームに入る。 ぶっちゃけオタクっぽくてタイプじゃないけれど、せっかくのご好意だしお隣さんだから仲良くしたいしと思い晩ご飯を一緒に食べることにしたのだ。  「お!七瀬ちゃんと拓也くん。いらっしゃい。」 手招きされてカウンター席に座る。 「なんだ、もう一

          腹が減っては恋はできぬ

          恋はタイミングを選んでくれない

          希美子さんから言われたからってわけじゃないけど部屋に戻るとドレッサーの上にユリから引っ越し祝いとして貰った香水が目に入った。 …そう。それはまさに希美子さんの言っていた私が今まで使ったことのないようなタイプの香りなのだ。 でも私はもう恋には生きない女。仕事にバリバリ燃えるって気力はメラメラ燃えてる。 それでも少し気になってしまっている自分が少し癪だった。心の中で、これはユリからの贈り物で、せっかくプレゼントしてくれたのに使わないのはユリに悪いじゃん!と言い訳しながら、さっそ

          恋はタイミングを選んでくれない

          恋は諦めた頃にやってくる

          ひとしきりカフェのオーナーさんとお喋りをした後に部屋へと向かう。挨拶周りは昼後くらい行こうと思い部屋で少しだけ休む事にした。 新しい部屋でごろりと横になって少しぼんやりとする。彼と別れた痛みはまだ消えてない。思えば昔から彼氏が出来ると周りが見えないくらい夢中になり別れると何にもできないくらい落ち込んでしまう。心がぽっかりと空いてどうしたら良いのか分からなくなってしまうのだ。 もう良い年だし、新しく部屋も借りたし、気持ちを切り替えてこれからは仕事に打ち込もう…。大きな会社で

          恋は諦めた頃にやってくる

          失恋と朝とカモミール

          朝陽を受けた明るいキッチンでカモミールティーを淹れる。柔らかくて穏やかな香りが湯気に乗ってふわりと部屋に漂って爽やかな気持ちになれた。 彼と一緒に住んでいた部屋は別れた後に解約してしまい、今は一時避難として実家に帰っていた。そうなのだ…。悲しいけれど、現実は待ってくれない。毎日泣いても彼は戻って来ないし新しく住む家を見つけなければいけないのだ。 インスタや様々なアプリで住みたい部屋を探した。そこまで高い部屋には住めないし、だけど駅から遠いのは嫌だ。会社から程よい距離で近く

          失恋と朝とカモミール

          愛なしには生きれない女たち

          彼とふたりでいた頃は楽しかった夜もひとりっきりになるとこんなにも辛いものだと思ってなかった。失恋したことを誰にも言えなかった。だってあんなに幸せだったから。知られたくなかった。そして改めて彼と別れてしまったことを認めてしまうのが怖くて避け続けていたのだけれど、とうとうある夜に孤独に耐えきれなくなった。そんな時に私が連絡出来るのは、数々の私の失恋を隣で見てきては、良質な合コンや良い男がバーテンをしてるBARに連れ出してくれたり、マッチングアプリで様々な男を渡り歩く恋愛好きの中の

          愛なしには生きれない女たち

          私を捕らえる彼の瞳

          彼の瞳に見つめられると息が止まるような感覚になった。色素の薄い瞳は彼の性格がそのまま現れたような優しさと慈愛に満ちたかがやきを持っていた。その瞳がキラキラとするのはいつもふたりで行った伊豆でサーフィンをしていたが一番だと思う。子どもみたいな無邪気な笑顔で海へ入る彼のかっこよさは多分、世界で一番だと今でも思うよ。 太陽が反射して宝石みたいに波がきらめく。毎回、上手く波に乗れない私に怒るわけでも呆れるわけでもなくあっけらかんと笑う少し低めの声や長い睫毛についた水滴、どんな波でも

          私を捕らえる彼の瞳

          もう戻れない恋のこと

          もう何時間泣いていたのだろう。時間の感覚なんてとうに消え去ってしまった鈍い頭でぼんやりと考える。起きていると、どうして彼が隣にいないのか訳がわからなくなり涙があふれて力尽きるまで泣き続け、力尽きて眠ると楽しかった時の記憶ばかりが溢れ出て、目が覚めると隣にいない彼の事と、さっきまで夢の中で傍にいてくれたはずの彼の温もりを思い出してまた泣けてくる。 どうして終わってしまったのだろう。本当にもう終わってしまったのか、もしかしたら彼に縋りつけばやり直せるんじゃないか、なんて馬鹿な事

          もう戻れない恋のこと

          雨の夜と夜中の飛行機

          ふと思い立って少し書いてみる。 この前の大雨の日、運転していた車を停めて暫くショッピングモールの駐車場でぼうっと時間を潰していた時がある。 雨粒が窓を叩く音うるさいくらいなのに何故だか妙に心地よくて、あれ、これ何処かで体験しなぁなんて思ってた。 そして分かった。私の中での解釈がぴしゃりと来た。とある作家さんのエッセイを読んでいてピンと来たんだけど、私は海外に行くことが多くてよく長時間のフライトをする事がある。大抵は昼間とかなんだけど、たまに夜のフライトに当たる事がある。なん

          雨の夜と夜中の飛行機