ホンネ


誰かに吐き出すと少し楽になれた。
SNSで同じ境遇の人を探して記事を読んだり、強がって「生きてやる!」っていうと少し楽になれた。
わたしを失意のどん底に沈めた神様にざまぁみろって言ってやる!と意気込めるようになれた。


少しずつ現実を噛み砕いて咀嚼する。そして少しずつ飲み込む。

太陽の出てる時間帯は「なんとかなるか!今後の人生は楽しいことばかりだろうな!」なんて考えられるが
太陽が沈み夜になると「転移してたらどうしよう」「子ども産みたかったな」「好きな人と結婚したかったな」とメソメソ。
そんな一週間を過ごすしかなかった。


ガンで死ぬかもしれない、が怖いのではない。
子宮を取ってしまうのが怖いのだ。
女性の象徴でもある子宮を摘出するということは、妊娠出来ないし、子どもが産めなくなる。ということ。
子宮を取れば絶対助かる、でもないこと。

それなりに夢があった。将来こうなりたい、と。
それが全部なくなってしまった。

中学に上がる前に月経が来始め、生理不順ながらも時には苦しい月経に寄り添ってきて、たったの16年で私はその機能を失う。
妊娠するための、子どもを作るための、子どもを体内で育てるための生殖器を私は失ってしまうのだ。

完治する可能性が高い代償に子どもを一生産めなくなる。こんな残酷なことがあるか。

取ってしまうことは簡単なんだ。
でもこの不安でどうしようもない気持ちはきっと同じ立場の人しかわからない。
分かってもらいたいなんて言わない。けど怖いのだ。

治れば仕事復帰も出来る、友達とも遊べる、恋人も出来るかもしれない。やりたいことも挑戦できるようになる。
そんな当たり前のような幸せな日常を送れるならいいじゃないか、と思う私と、子どもが産めないって理由で結婚できないかもしれない。結婚出来ても子どもが産めないからやっぱり離婚してしまうかもしれない。という不安な私。

お母さんに孫抱かせてあげたかった、とか。
お兄ちゃんに、私の娘を可愛がってもらいたかったとか。
どうしようもない感情。
どうしようもない不安や色んな心配が押し寄せてくる。

出来るだけ太陽の出ている時間に行動し、最低でも5分は外に出る。こんな簡単なこともできなくなるほど不安定なのだ。
お腹は鳴るが常にお腹の中は6分目くらいな感じ。食欲はあんまりないが、食べれなくもない。そんな感じ。
脱水症状は流石に怖かったので頑張って水分は取る。今なら食べれるかもって時に少しでも食べておく。


SNSをずっと見ているとまたメソメソしそうなので適度に離れつつ出来るだけ心の安定を保つ。

出来る時にやれることをやる。
これは本当に大切。できない時に何をやっても何も出来ない。

そもそも普通に耳にするけど「ガン」ってなんぞや?
「子宮体がん」とはなんぞや?と足りない知識を埋める。



24歳で上咽頭がんステージ4になった知人のブログに
「学ぼうとする姿勢は戦おうとする姿勢だ」と。
この言葉に何度励まされたことか。
24歳でがんになった。

無理をしないで、と口では簡単に言えるが実際に無理はしてしまう。実戦はそんなに簡単じゃない。
だから肩の力を抜いた。無理はしてしまう、だけど深呼吸は出来る。肩の力は抜ける。


張り詰めた気持ちが緩むと人は涙を流す。

宣告され、どうするかを考える数日で消費したティッシュの量を考えるのを辞めて、シャワーを浴び最後にそこで泣いた。答えを出さないといけない前日に全て水に流して、気持ちを固めた。

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