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アダルトボードゲームフェスに参加してきた話

これは 謎解きクラスタによる謎以外 Advent Calendar 2018 の記事として書いています。

こんばんは田中太郎です。自己紹介は省略。
(気になったら過去の記事を読んで雰囲気をつかもう!)

当初は同人誌における修正基準のことでも書こうかなーと思っていたのですがいい感じにネタになりそうな出来事が降って湧いたのでテーマが変更されました。
題して「アダルトボードゲームフェスに参加してきた話」。

突然ですが、みなさんアダルトボードゲームフェスというイベントをご存知でしょうか。おそらくほとんどの方は知らないと思います。私もイベント当日まで存在すら知りませんでした。
まあ、文字通りアダルトなボードゲームのイベントです。公式Twitterはこちら。

アダルトボードゲームフェス2018 TOKYOが開催されたのは11月23日。国内最大のアナログゲーム展示即売会であるゲームマーケット2018秋の開催前日であり、駒場祭の1日目と同日でありました。

この日はまだ初日なのでAnotherVision駒場祭公演『君と魔法の懐中時計』チケット当選倍率もそこまでひどいことにはならないだろう。
そう踏んで朝から駒場祭に足を運んだわけです。まずは新作持ち帰り謎3種とStoGを買いにテントへ向かい、次いで整理券配布場所へ。
……正直笑っちゃうほどの大行列ができており、この時点でほぼ敗北を確信します。
それでも一応整理券番号の入ったリストバンドを受け取り、さて発表時間までどうしようかと『ゼロワンウォーズ』受付の前あたりでおすすめの屋台でも探そうとしていたその時でした。

偶然見かけた某ちょっと危ない犬の人に話しかけてしまったのです。
「来週ニチョバスですね」、と。

会話の中でこんな話を聞かされます。
「アダルトボードゲームフェスというイベントがあり、そこで5つのみ販売があるらしいPOKKIというゲームが気になっている」
さて、アダルトとかそういうワードが大好きな私はさっそくイベント名で検索をかけます。会場は阿佐ヶ谷ロフトA、イベント開始時刻は12時30分。キミノグラフの抽選結果発表は11時50分。
なるほど、抽選に外れた瞬間に駒場東大前から電車に乗ればギリギリ間に合う時間です。
これまでの度重なる同人誌即売会参加経験から、限定数5なので列ができてたらまず買えないだろうとは思いながら、抽選に外れた場合はこちらのイベントに行ってみることを決意します。

さて、では一番ロスなく最適な行動を取る方法を考えていきましょう。
キミノグラフの抽選結果は会場前及び公式Twitter上で発表されます。つまりこのまま会場前で待機する必要はまったくありません。
ではどこで発表を見るのが適切か。駒場東大前駅の改札前だと発表を見た瞬間に改札をくぐれます。しかし、改札をくぐったところですぐに電車がくるとは限りません。駒場祭開催に伴う臨時ダイヤのおかげでこの日は時刻表が当てにならないからです。
また、もう一つの条件として、抽選結果が発表になってから公演受付けまでは25分の猶予があります。
ここから導き出される最適解は、11時35分を過ぎてから最初に出る電車に乗りながら50分に抽選結果を確認し、当たっていたらいいその時点で途中下車してすぐに引き返す。これです。

なお、抽選は当たり前のように外れました。
もうこれ以降抽選に挑んでも時間をドブに捨てるだけなのでは?ということで落選直後イープラスでチケットを取りました。なんとまだどの回でも買える状態でした。なるほどこれが正解って感じ。

さて、電車で移動しながらアダルトボードゲームフェスの情報をもう少し詳しく調べてみます。
この時点である違和感に気づきました。イベント紹介の部分に「登壇者」という項目があり、その下には「ワークショップ」の文字が。
どちらも普通の即売会ではなかなか見かけない単語です。しかも入場料が前売り2000円、当日2500円。これも即売会としては高い。赤ブーやYOUのイベでもせいぜい1000円台なのに。もしかしてこれはゲームマーケットのような即売会イベントとは違うものなのではないか? そんな疑念が頭に浮かびます。

ビンゴ。
なんか地下にあるアングラな場所で受け付けを済ませて会場に入ると、そこには椅子とテーブルがずらり。会場前方にはスクリーン。その前には登壇者用のステージ。トークイベントにありがちな配置です。
(阿佐ヶ谷ロフトAという場所が初めてだったこともあり会場のことをまったく知らなかった)
座席につくとお店の人が飲食のオーダーを取りに来たのでジュースを頼んでしまいました。500円以上のオーダーが必須で、ジュース1杯500円。対して軽食はかなり種類があって安いのだと300円くらい。後から思えば完全に選択を誤っているぞ……。

なんと会場の席は相当埋まっている状態。60人くらいいたんじゃないかしら。開始時刻を迎え、ステージ上に顔も名前も知らないお兄さんたちが3人現れました。ボードゲーム業界では有名なのかもしれませんが正直全く知らない世界です。
それぞれ簡単な紹介があり、講演が始まります。詳しい内容は割愛しますが、それぞれ「アダルトボードゲームの現状」「もしアダルトボードゲームを作るならどんなものを作るか」「ゲームマーケットにエリア出展でちょっとアダルトなゲームを出してみた話」の3本。
ざっくりまとめると、今のところゲームマーケットはファミリー向けイベントとしてエロやグロ、過激な暴力表現、ホラーなどR18要素を含むゲームの出展が認められておらず、そのため国内にアダルトボードゲームを作っている人はあまりいない。もしいても試遊や販売をする場所がない。世界中のボードゲーム情報がまとめられているサイトには約1000件ほどアダルトジャンルの掲載があるが、その大半は海外製である。ただし、日本に輸入したとしても日本のボードゲーム好きが何度も楽しめるほど面白いゲームはあまり存在せず、どれも単純に下ネタの勢いだけで攻める一発ネタのような感がある。「タブーを破るときにイノベーションが生まれやすい」という言葉もあるし、いまよりもっとボードゲームの可能性を広げるためにも、日本のゲーム制作者がこれまで培ってきたスキルでこのジャンルを開拓していくのアリじゃない? という感じ。
ついでに、下ネタ一発で攻める感じは何度も遊べるボードゲームには向かないかもしれないけど、そもそも一度しかプレイできないタイプのレガシーゲームや謎解きゲームなんかとはむしろ非常に相性がいいかもしれない、との発言もありました。

で、3人の登壇者が話してイベント前半は終了。ついに販売イベントのターンがやってきました。
参加の最大のきっかけであり今回の目当てである『POKKI』。
一切の下ネタが禁じられたアクメリカ合衆国シモネタ州の住人となり、警察の目をかいくぐりながら新たな隠語を生み出しては珍宝山の神に儀式をしてささげる正直いってどうかしてるゲームです。なおゲームの勝者はムッツリ―ニ大統領に直々に指名手配を受ける名誉つきという設定。価格はいいナニにちなんで1172円。

会場の約半数が購入希望者でした。

必然的に発生するじゃんけんタイム。出せる手はグーとパーのみ。パーはグーに勝つけれど、勝者が限定数である5人を超えてしまったらそのときの勝者は全員脱落の変則ルール。おお、ゲーマーたちの集いっぽい。内容はマジでアレだけど。前方スクリーンなんて全面にモザイク修正かけないととてもネットには上げられないことになってるけど。
1回目、約半数が脱落。2回目、勝者が2人。残り3枠。残っている人数をざっと数え、枠が減ったことによる脱落のリスクが高まったこのタイミング。攻めるなら今だろうか。そして運命の3回目――。

勝ちました。

圧倒的勝利。勝った瞬間全身に震えが来るじゃんけんなんていつぶりか。他を全部スルーしてたった1回に賭けた結果勝利した5月5日以来?
じゃんけんの持つコンテンツ性のすごさを改めて実感しましたとさ。

その後、イベント後半はアダルトボードゲーム制作ワークショップでした。
時間は30分。座っていた場所の近い6人で1チーム。それぞれチームで新しいアダルトボードゲームの制作を行います。
過去のイベントで作られた作品、『ゴールドフィンガー』というゲームはその後ブラッシュアップされもうすぐ製品化するとのこと。イラストが描かれ穴の開いた衝立の前から手を入れて、裏にいる人が喘ぎ声のみで裏に貼られた正解のスポットに手を導くという怪作も紹介され、実物が置かれた壇上はさらにアブない状態に。

私の参加していたグループでは時事ネタや儀式要素を取り入れたいという流れから五輪には穴が5つあることに気づき、輪っかに適当に入れたキーワードからベン図のように3つが重なった部分に入る事件の真相を推理する謎のゲームが生まれました。題して『3ワード淫靡デント』。なんだろう一切伝わる気がしない。
他にも障子に穴をあけ反対側に置かれた2つの人形のポーズを覗きそれが四十八手のどれに当たるかを答えるゲームやら、手から順に触っていってどこからが胸なのかを知ることによりセクハラを未然に防ぐというそもそも初手からアウトなゲームなどなど、よくもまあこの短時間で……と唸るような作品も多数ないいワークショップでした。
最後に登壇者から講評をもらい、一日を振り返ってイベントは終了。
次回からは少しイベントの形式を変えて試遊卓も設けるかもとのこと。次がいつかは知らないけれど。ゲームマーケット大阪の前日とかかしら。

アダルトボードゲームフェス、終わってみたらなんとも真面目なイベントでした。現状分析と今後の展望、新規制作者の育成まで。
謎解きでいうなら謎解きイベントカンファレンス(最近開催されてないけど)の直後にイベント初売りのレア持ち帰り謎の物販があり、続けざまに謎解きイベントワークショップ(初心者向けのやつ)が開催されるようなイメージ。

めちゃくちゃ楽しかった。正直キミノグラフの抽選外れててよかった。

なお、このイベントのことを教えてくれた某人はその後キミノグラフもゼロワンウォーズもすべての抽選に外れ続けたそうです。お疲れ様でした。

長々とお付き合いありがとうございました。
以上、アダルトボードゲームフェス2018 TOKYO、参加レポートでした。

最後に告知。

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