ゼロコ The Writer みた

The Writer感想



・ガッチガチにネタバレありなので未見の人は読まないで。

・プレビュー公演の感想、というかメモ。自分語りが入ってくる。最低でももう一回(もっと増やすか迷ってる)見るので、また追記します。

・もっかい言うけどネタバレあるから気をつけて。













・誰かが真剣に作った作品を観れる喜び。感想が溢れる喜び。人と語らえる喜び。これは当たり前じゃないのだ。ありがたい。

・「ライター」なので書いてるシーンがメインなのかと思ったら、実際に二人が机に向かって何かを書くシーンの分量はそんなに多くない。

・いい意味で散漫だった。シーンごとの脈絡があんまりないので、何が起きていたか思い出すのに苦労する。でも、なにかをつくろうとするときの頭の中ってそんな感じだよなっていう。無駄に思えて捨てたものがあとで生き返ったり、死んだと思ったものが別のものと組み合わさって蘇ったりする。これは、「クリエーションするぞー!」と生み出した作品やアイデアだけに限らず、人生のあらゆるすべての経験、体験がそういうものだと思う。(「人生に無駄なことなどひとつもない」というと胡散臭いけど、「嫌なこともムカつくことも全部あとでネタにしてやる」という気持ちで生きてるので、そういう感じ。)ごみ箱に入ったままの紙くずも、時間が経つか、新しく生まれた紙くずと合わさるか、何かしらのきっかけで生き返るんだと思う。

・照明、美しかった。いままでの作品でも壁は使われていたけど、今日は黒ではなく明るいグレー…だったっけ?青と赤の光で怪しくホラーチックな雰囲気になるし、オレンジ色の光でノスタルジックな夕方のような空気になる。ドラえもんのポケットみたいな扉、面白かった。モノノメのような、ひとつひとつ伏線を回収していくスタイルではなく、何が出てくるかがわからない扉。冒頭に書いた「脈絡のなさ」はここでも強調される気がする。

・あの!靴臭いんだったら、片足だけじゃなくて両足分脱臭しないと意味なくないですか!!!!(真面目)

・自分はデジタルで絵を描く人間なので、ボツにしたものはそのままデリートされて残らない。彼らが、何かを、ごみ箱から掬い上げることができるのは羨ましいなと思った。脳内のごみ箱でそれができればいいのかもしれないけど、そんなにうまくはいかないよね。

・そもそも「紙に書いたものを丸めて捨てる」という行為。ゼロコの二人は、これを日常の振る舞いとして採用したのか、一種の古典表現として扱っているのかが気になる。自分は紙ゴミが出たら、広げて重ねてビニール紐で束ねて資源ごみに出すの。丸めてごみ箱へ…っていうのはしないのだ。(なんてことを、つくりかけ室やフライヤーを見たときには考えなかったけど、今日の公演を観て初めて考えた。)

・わたしはゼロコのつくる「こわいもの」が観てみたい、ゾッとさせられてみたい、と言っていたのだけど、今回ちょっと叶った。お二人がどこまでそのつもりだったかわからないけど、ゾンビのシーンが、というか角谷さんのゾンビがマジで怖かった。ゾッとした。ゾッとさせてもらえてうれしい。角谷さんの表情は、片目が飛び出してたように見えた。ぴろーんって。濱口さんの、撃たれまくるゾンビはキャッキャッて見れたけど、角谷さんのはマジで怖かった。マジで。

・一番最初、角谷さんが伸ばしたラジオのアンテナを最前列のひとたちが避けていった。観客を巻き込んでいくタイプの作品なのかなと思ったらそうでもない…と思ったら拍手を求められたりもする。心の置き場所というか、自分の立ち位置の把握がむずかしかった。たとえばさいれんとしーんずの「裏と表」では、わたしたち観客も作品の一部になる。そしてそれがすぐに理解させられる。今日はいつどっちになるか分からなくて、どっ、なん、どうなんだろう。意図的なものだろうか。

・濱口さんはパントマイマーでパフォーマー、角谷さんは役者、という感じがした。角谷さんの振る舞いは人間そのまま、濱口さんは薄皮一枚隔てているような印象を受けた。あでも、角谷さんのそれは眼鏡の着脱で切り替えられていたのかな。どうだろ。

・今日はプレビュー公演の初日なので、その場にいる人が誰も何も知らない状態で、ゼロコの新作を一番に観た。すごくすごく嬉しく思う。一方で、つくりかけ室で観てきたもの、大道芸で観てきたものがたくさん散りばめられている。どうしても「あっ、これは!」と意識はしてしまう。全てのネタを一切知らない状態で観たとしたら、どんなふうに見えるのかな、と考えた。

・最後のゾンビ化していく角谷さん(文字にすると面白い)が走るシーン、なんかぐっときてしまったんだけど、ぐっとくるのは合ってるのか…?という混乱。直前まで爆笑してたのに、急に違う方面に気持ちが引っ張られる。そして、その先がどうなるのか、わからないまま、書き手の二人のシーンで終わる。どうなるのか見せてもらえないまま終わる。こちらに委ねられてしまったような。もやもやを残したまま終わる。

・最初机に向かっているときはお互いのことは見えていない感じ?でも最後はお互いのこと見えてたよね?これがまだよくわかってない。同一人物なのかなんなのか

・最後、拍手で戻ってきた角谷さんが、あえて眼鏡を机に置いて残して去る。

・つくりかけ室ではシャーペンを使ってた気がする。鉛筆になってた。鉛筆のがいいなって思った。

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