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フィアース5の再演みた。

フィアース5の再演みた。

演目や演出に触れているのでネタバレになり得るし、個人的な解釈ばかりなので、まだ観てない人とか、自分の解釈を大事にしたい人には読んでほしくない。















・2階から見ると、強い照明が健斗さんの赤を反射して空間が赤くなるのが見えて良かった。
・危なっかしいように見える演技、演技力のほかにテクニックも必要なはずで、やってのける…2年間の努力を想像して舞台上の景色と重ねる
・暗い中浮かび上がるエアリアルフープの反射が客席までキラッと照らしていて綺麗だった

・健斗さんの足元(ロープ)、目黒さんのジャグリングを切り取るライトがかっこいい

・スパイダー、印象がかなり違う。個人的な感想だけど、まゆむさんver.はかなり悲壮感を強く感じて、降りてきた時も胸を撫で下ろす気持ちだった。浅沼さんのはロックでファンキーだった。
・「七転び八起き」が元になっているとの話だけど、チームワークの大切さとかは謳っていない。よね?たしか?それはもちろん大切だろうけど今回のメインはそこじゃないというか。
・先述の、2年前に悲壮感の印象が強かったことと関連すると思うのだけど、吊られるまゆむさんを観ているのが本当に本当に辛くて息ができなくなりそうで目を逸らしたくて、ハーネスに繋がったロープを持った5人に対して「つめたい!ひどい!」みたいな気持ちがちょっとよぎった。一方今回は、甘やかしたり馴れ合ったりするのではなく、お互いをリスペクトして尊重し合っているからこその距離感なのだなと受けとった。みんなの顔は真剣で、しっかりと圭さんを見ている。冷たい印象はなかった。

・終始、仲間はいるけど孤独だよな、と感じた。基本的にみんな相手を見てるようで見てない感じにみえる。自分のことは自分しかわからない。でもそれでいいんだとおもう。
・全員で代表者(?)と同じ動きをする場面がままあるけど、なんか結局自分のことにしか意識にない、みたいにみえる。

・初演を観ていない友人が今回初めて観てくれた。終演後感想を聞いたら、第一声が「これは社会風刺か?」と言っていた。ポストトークを聞いてところどころ腑に落ちたみたい。
・友人、「自分の精神状態や状況によって感じ方が全然変わりそう」とも言っていた。わたしもそう思う。他のいろいろでもそういう側面はあるだろうけど、現代サーカスの投げかけてくるものが「答え」じゃなくて「問い」なんだったら、それはより一層そうなるよね、きっと。

・言ってる人ちょこちょこいるけど、短く感じた。テンポがいいからかな。

・初演と比べてセカンダリーキャストの安本さん、山本さんの存在感がアップしている。初演のイメージがあるからか、初日は山本さんが強すぎてじゃっかんびっくりして引いてしまった。二日目は慣れた。初演からクラウンみたいだったから、そうか、クラウンになったんだね、というかんじ。ラファエルさんは山本さんのこと大好きなんだろうな。
・あさみさんの初演の印象は「クールな人」だったんだけど、今回もクールなんだけど、加えてあったかさを感じた。お母さん…とも違うんだけど、なんだろうな。物理的にも精神的にもみんなを支えている人というか。わりとずっと険しい顔をしているんだけど、一番最後、衣装を着て並んだ5人に対してだけ見えるような角度で、この作品ではじめて笑顔を見せたような気がする…んだけど眩しいのもあって気のせいかもしれない。わたしの中で笑ってほしかったからそう見えたのかもしれない。明日もう一回ちゃんと見るけど、そこでどうだったかは言及しないことにする。
・所作や走り方が凛としていてかっこいいである。

・舞台を横切るように伸びた照明が手前から奥へ移動していくとき、スモークのおかげか立体的に奥行きがみえて綺麗だった。
・暗い中で一人一人を順番にぱっぱっと照らしていくところ、ぴた!ぴた!と的確に人間を照らすことができるのすごい。どうやってるんだろ
・↑のシーンで、順番に照らされていくんじゃなくて、左から2、1、3、4と照明が当たるのがすき。つたわる?
・↑のシーンで、照明の当たっていない人の動きは、2階からだとうっすら見えるけど、1階からだとあんまり見えなかった。2階からだと照明が切り替わっている感じで舞台っぽい。1階はカメラが切り替わっているような、映像っぽい。

・圭さんがいちばん人間くさいと感じた…んだけど、もしかしたら一番共感できるキャラクターだったのかも。
・ロックでファンキーと言ったけど、かわいらしい?無邪気?ほっとけない?感じも…うーん適切な表現が見つからない。少女っぽさ。でも、スパイダーのときはけもの。噛みつかれそうだもん。

・愛実さんの「うまくすわれない」演技、前回もすごかったけど今回さらにすごい。視界に鼻の頭が入ることに気づいて気になって仕方ないときとか、眠るときに舌をどこに置いておいたか忘れちゃってウワーってなるときとか、そんな瞬間を連想する。これを自然にできる愛実さんも、こんな表現を思いつくラファエルさんも凄いと思う。

・アンブローズさん、初めて見るけどもしかしてめちゃくちゃハマり役だったんじゃ。峻さんのときは若干の「サイコパスみ」を感じていたんだけど、アンブローズさんはなんかこう、純粋な残酷さみたいなものを感じた。似てるようでちがうの。そのうえで、なんか演技をしてる感じがしなくって、本人を少し誇張してるだけなのでは?くらい自然に見えた。ポストトークで少し伺えたお茶目なキャラとすごく似合っていた。
・しかし身体能力がエグい。もんのすごい綺麗。ストラップのところだけじゃなくて所作とか姿勢とかずっと美しい。美しすぎてふふってなっちゃいさえする。健斗さんとは別の国の王子様なんじゃないかな。
・今回、初演よりもたくさん声を出して会話をしているのだけど、アンブローズさんは基本的に中国語(かな?)を話しているのがいいなと思った。たまに日本語のフレーズも聞こえた。

・目黒さんのキャラクター、なんかずっと違う軸にいる。混ざってるようで馴染んでない。圭さんと踊るシーン、腕しか興味ないんだよなー(という自覚もなさそうな)的な演技が、なんかすごくジャグラーっぽい(偏見)感じがして。怖い。褒めてる
・馴染んでなくて浮いてるけど、他の人に話しかけて「あーはいはい」と逃げられる率がダントツで高いの切ないけど、なんだかんだ集団の動作のキッカケになることが多い。最後、砂の円の中に一番に入っていくのも彼なんだよなー。

・回転しながら地面に落ちるタルク、きれい。初演はもっとカーテンみたいだった気がした。

・目黒さんがズボン脱ぐシーンは二日目の方がウケてた。(追記:千秋楽はもっとウケてた)

・隣の人が「息を呑む」のお手本みたいなリアクションを繰り広げていて良かった。

・他を下げるのは良くないけれど、「出てる人は何も悪くないのに…」って思わされる公演ってほんっっっとに多いから、演者さんたちとここまで向き合って高めて魅せてくれてそれが観れるのとてもとてもとっっても幸せです。もともとあるものを深掘りして、まだないところを広げていまいるところから違う場所へ連れていっている感じがする。ラファエルさんトリスタンさんありがとう。日本版でやってくれたことも再演してくれたこともすごく意義があると思う。

千秋楽みて追記 

・勝手なイメージだけど、千秋楽は何かが解放されたのかなと思った。なんというか…2日目のほうが予定通り進むことができたけど、作品としては千秋楽の方が魅力的だったんじゃないかしらと想像した。ほんとに予定通りだったかはもちろん知らないし根拠はない…
・客席の空気は千秋楽の方が良かった気がした。初日も集中力が高い感じで良かったけど、千秋楽はリラックスしていて、でも張るところは張って、メリハリがあった気がした。なんとなくです。

・大鶴義丹の曲、圭さんすごく似合っている…
・じつはターザンみたいになってるあさみさんがかっこいい

・今日見て思い至った、山本さんに対する印象は「あざとい」だ。山本さん、最強に恵まれた声質だとおもう。一言二言でも爆裂存在感だから、今回台詞が増えて強くなりすぎた印象。初演では笑いが起きていたはずの最後の「はやくー!」、千秋楽のゲラみたいな客席がしんとしたまんまだったので、おなかいっぱいかも…って感じた人他にもいたんじゃないかな…わかんないけど…。(スパイダーのあとで圧倒されてただけかもしれないしね)他のキャストが客席を意識しない中、彼だけがわたしたちを認識していて、「こういうの好きでしょ?」と迫ってくる感じがした。嫌いなわけではない、むしろ好きなのだが。ごめんなさい…

・パイプ椅子に座っている愛実さんの脚が揃って上にシュッて伸びるところが好き、愛実さんをみているといつも人体の不思議を感じる
・みんなが止まっている時に安本さんが音はめでロープを巻くところが好き
・愛実さんに突き飛ばされた後の健斗さんのなんともいえない表情が好き
・アンブローズさんは椅子に座る動作の美しさを競う大会があったら優勝する。あと投げキッスが似合いすぎている。普段からたくさん投げてそうなくらい自然。
・鋭い照明がシュッて伸びてて、低音がぼいーぼいーぼいーぼいーぼぼべべってなるのすき。浅沼さんの背筋がうぞうぞするの、かっこいい。
・光の道を光源へ向かって這う

・目黒さんと圭さんが椅子に座っているところ、圭さんの声がすごくよく聞こえた。しっかり笑いが起きていた。
・まゆむさんの時はどちらかというと目黒さんに対してただただ迷惑そうなのかなと思ってたけど、圭さんのセリフを聞いたら思ったより楽しんでた。
・だんだん明るくなって他のキャストが見えてくると、あまりにも無の感情が漂っていて温度差になんとなくヒュッとなる。二人はこんなに楽しそうなのに。
・目黒さんが圭さんをくるくる〜って回すところとか、目黒さんのジャグリング投げ始めとか、いちばん流れがスムーズだった気がした。
・その後、健斗さんが目黒さんの方へボールを投げ、目黒さんはそのボールを見てハッとする。「腕よりボールがいい」だと思ってたけど、なにも初めてボールを知ったわけではないよな?解釈をまだ迷っている。健斗さんはどういう気持ちでボールを寄越したんだろう。

・5人で椅子に座るところ。4人をさんざん引き留めておきながら、自分はそそくさとどっかいっちゃう。そんなジャグラー。

・自分の専門じゃない種目に対するアドバイス、親切心もあるだろうけどどこか無責任。しかもことごとくあまり活きないかんじ。サーカスの人って孤独なのかも。
・愛実さんがセンターの時かな?上に伸ばした手をばっと掴んで引き戻す動作。みんなシンクロしてるけど、あくまでも意識は内へ内へ。でも、シンクロはする。なので、孤独だけど孤独ではなくて、でもやっぱり孤独なのかな、と思いました。文章にするのは、むずかしい。

・スモークを切り取る照明、やはり良い。

・最後、フラテリーニさんのサーカスの衣装を着るところ。お互いに協力し合っているのに目黒さんのことは誰も助けてくれなくて(健斗さんの声で「それどころじゃない」っていうのが聞こえた気がする)、じゃあ誰がってなったときに安本さんが手伝ってくれていて、そういう立ち位置の安本さんが好きだ〜
・安本さんは5人にすごく近いところで、でも過剰に入れ込んだり奪ったりせず、絶妙な距離感で併走している

・全員サラッと混ぜ込んでくるピルエットがまーきれい

・スパイダー。上でもさんざん言ったけど、悲壮感て感じじゃない。千秋楽はより一層ワイルドに振り切ったようにみえた。客席に向かいながら「助けて!」と叫ぶのだけど、逞しさが見えて、誰の助けもいらないのではと思った。毎度情緒を掻き乱されてしまっていたのだが、最後はしっかり見つめることができた。初演ver.も再演ver.も、ほんとにかなり違うけど、どっちも好きだ。

・千秋楽の最後は号泣しちゃうんじゃないかと思ったけどそうではなく、「鳴呼わたしはこの作品が大好きだ!」という充足感でひたひたと幸せだった。また観られて本当にうれしい。うれしい!めちゃくちゃうれしい!!うわーうれしい。関わった人たちが全員末長く幸せに暮らしてほしい。

適宜追記するし消すしそんな感じです。


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