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父の日にパーを、おもう。



ザ・昭和の九州男児。


わたしの父の印象は本当これに尽きる。
早寝早起きの仕事人。超真面目。
長女のわたしと妹が悪さをすればゲンコツが落ちるし、母も父の声ひとつで動く。4人家族をまとめる完全なる亭主関白。完全なる一家の大黒柱。
お笑い番組もアニメも「しょーもない。」と言ってあまり見せてもらえなかったし、母とはなんでもかんでも話す仲だが、基本的に無言の父とは雑談などあまりしたことがなかった。

こわい父。

のイメージが膨らみすぎて、中学生にもなれば父が帰宅すると同時に自分の部屋に引きこもっていたし、休日の家族でのおでかけも、行きたくないなあ、なんて思うこともあった。(でも一緒にお出かけはしたよ。)


我が家は転勤族です。
父の仕事の都合で、中学3年の春に京都から東京へ。
そして落ち着く間も無く更にまた別の地方へ転勤が決まった父は、わたし達を東京に残して、単身で地方へ飛んだ。
そうなると、もうますます父との時間が減った。
そして完全なる思春期無敵モードが爆発するわたし。
日々、母にきつくあたってたんだと思う。
家族には大変申し訳ないのだが、ぶっちゃけた話、その当時のことは断片的にしか覚えていない。妹から「お母さんとのケンカ凄かった。」とだけ聞いている。わたし個人の感覚としては、「え?そんなにキツイことしてた?」ぐらい。とはいえ、そんなことを聞いては、母には申し訳無さすぎてその当時のわたしがどんな様子だったのかはきけないよね。
ただ、「わたしの勝手でしょうるさい部屋はいってこないで関わらないであっちいけうおおおおおおああああ(ドアばーん!!)」というのは覚えている。
(充分酷いか。ごめんなさい。ほんとうに。)
そんな状態のわたしの様子を母から聞いたらしい父は、久しぶりに単身先から家に帰ってくるなり私の部屋に来て、

「お母さん、大切にしてんのか?」

ときいてきたことがあった。
このことは鮮明に覚えている。
突然のことになにも答えられずにいると、

「頭、出しなさい。」

と父は続けた。
これを言われたらもう頭出すしかないよね。
素直に、頭、出したよね。
だってさ、母にきつい態度である自覚はあったのだから。
悪態ばかりついて大切にはできていなかった。と思う。
わたしは無言で頭を出す。父も無言。
目をぎゅっとする。握られた大きい拳。食い縛る奥歯。

落ちてくる、ゲンコツ。
しかも、ちゃんと拳の角を当ててくるタイプ。ぎゃ。

脳天から足のつま先まで痺れるようなやつ。
アベンジャーズのソーが放つ稲妻くらいの衝撃はあったんじゃないかな。うん、絶対そう。ソー!(!!!!)
目の奥が一気に沸騰してボロボロぼろぼろ勝手に出てくる涙。
痺れるような感覚の中で聞く、父の声。

お姉ちゃんなんだからちゃんとしなさい。
お母さんを大切にして、お母さんを助けてあげなさい。
わかりましたか?


この時はゲンコツが痛すぎて痛すぎて、痛すぎて、ただ頷くのが精一杯。
その時の言葉がどれだけ母への優しさと愛溢れたものか、気付くのはだいぶ先のこと。

母のこと大切に思ってないと、この言葉は出てこないよね。
こわいけど、優しい。


そんな、パパ。


(なんかそれらしく「父」とか書いてるけど、普段はパパ呼びなんだよね。)
現在、両親は福岡にいます。これも転勤で。
しばらくの単身赴任期間を経て、わたしが学生のうちに父は東京に戻ってきた。
その間も、思春期は脱したものの、そんなにたくさん会話をした記憶はない。
挨拶とか軽い日常会話くらい。その日の出来事とか、面白かった映画の話とか、そんな会話はなかったように思う。
そして6年くらい前に福岡への転勤が決まり、それと同時にわたしも家を出ることにして一人暮らしを開始。
いまは、月に一度くらいの頻度で出張で福岡から上京してくるので、その時に一緒に食事をしたり、長期休暇の時にわたしと妹が福岡に遊びに行ったり。
一緒に暮らしていた時よりも向かい合わせで話す時間が増えました。

実は、今日もこれから父と食事です。
しかも今回は、東京に来る前に、妹カップルが福岡へ行き、
かの有名な、

「娘さんを僕にくだいさい!!」

をやりにいってます。うひょう。
そんな後の東京出張ふたりごはん。
最近わたしも籍を入れたばかりだし、娘2人が一気にお嫁に行くとなればパパもちょっと寂しかったりするのだろうか。わたしは、籍を入れるまでは、名字もかわっちゃうし寂しいのと嬉しいのとでわけが分からなくなっていたよ。ね、どうかな?

あの時、

落ちてきたゲンコツは、いまはふわっと柔らかく広げられ、その大きくて分厚いパーは、やさしくやさしく、わたし達の頭にのせられます。
それはきまって、別れ際に。

がんばれ、見守ってるよ。

言葉数少ない父からのスキンシップは、心の言葉がたくさん詰まっているようで、その優しさにいつも泣きそうになる。
目の奥が一気に沸騰するし、じんわりあったかいパーはじゅわじゅわと脳天から足のつま先まで広がって心が解けていきます。すごい。これは、魔法。

いまになって、学生の頃避けていた時間を埋めたい衝動に駆られています。
定番の、離れてからその大切さに気付く、というやつ。
こわいからって避けずにたくさん会話して、近況報告して、とすれば良かった。なんて無駄な時間にしてしまったんだろう。


思春期だからって理由で大切にできなかった時間を、
これからは、いま、その時の最高の気持ちでずっとずっと大切にしたい。



1日遅れの父の日。
パパ、いつもありがとう。



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おもう、ちから!

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おもう

ただ日々思うことを、好きなように書いてみたかったのです。 寝相イラストばかりのインスタ、はじめました。 https://www.instagram.com/nezouiroiro/
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