見出し画像

20231010、下書き供養

引っ越すときに一番に考えたことは、今住んでいる所から近い事、そして部屋が狭い事であった。
その望み通り、私は徒歩一分の所に12畳のユニットのワンルームいう所に落ち着いた。
下見のつもりで行った不動産屋でそのまま内見をし、一件目で決めた。当時の私は何かを考える余裕も、何件も内見をする体力もなかった。

私の年齢と同じ築年数なだけあって、少し手を入れてあるとは言えあらゆるところに年齢を感じるが、その分家賃も信じられないくらい安く、私が人生を反省するための部屋としてはじゅうぶんであった。どうせ誰も呼ばない。平日は眠るだけの部屋だ。

前の家から持ってきた大きすぎるダイニングテーブルとベッド、タンスや本棚などの家具を入れて部屋は更に手狭になった。

ベッドの縁を背もたれにして、布団を頭から被って丸まる。
真っ暗であたたかく、息苦しく、心地よい。

前の住人がタバコでも落としたのか、フローリングには焦げてクッション材が剥き出しになった跡が丸く残っている。
焦げた縁の部分の少し硬くなった部分を指でなぞる。

この焦げ跡のように、もう直すことも叶わない。
いや、全部張り替えればきれいになる事を考えると、このクッションフロアのほうがどうにかしようがある。
しかし、この部屋に住み続ける限り私は、この焦げ跡と暮らしていくのだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?