双胎がしんだのは、

そこは宇宙に建つ施設のように見えた。
SFで見たような白灰色の長い廊下と、取っ手の無い無数の扉。

ただひたすらに、彷徨い歩いた。
詳しくは覚えていないけれど、誰かに追われているような脅迫感を覚えていた。

赤いランプがつき、僕が寝床から脱走したことがその施設内に知られてしまった。
僕は反乱者として追われていたのだろう。
焦りに焦って、あるひとつの古い扉を見つけた。
その扉には取っ手が付いていて、所々が錆び付いていた。
その扉を必死に叩いて、中の誰かに助けを乞う。
少しして、扉は開いた。

中から出てきたのは、人と言うにはあまりにも奇怪で、右目は金に輝き、左目は皮膚がなく剥き出しの状態で瞳は赤かった。
皮膚の無いそのプラスチックのような白色を見て、その者がロボットの類であると理解した。
その者は何も言わずに僕を匿ってくれた。
僕はその者に覚えがあるような気がして、見た目への若干の怯えはありつつも、何故か頼っていいのだと直感していた。

数時間か経った頃、外の景色は宇宙から地上へと落下していた。
赤と金の瞳をしたロボットは、「守り切れそうになくてすまない」と謝った。
僕は理解出来ないまま、外の景色に不安と安堵を覚えていた。
漂うだけの、逃げ場のない宇宙空間からようやく地球に帰ることが出来た。
そんな気持ちが自然と胸に湧いていた。

扉の先は脱出用の小型飛行機になっていたようで、翼を広げてその飛行機は地上へと落下して行った。

大きな音がして、僕とロボットの彼は地上に激突し、機体は衝撃で破壊された。
落ちた場所は廃工場で、周りへの被害は家事のボヤ程度だった。

その廃工場へ息を切らしてやってきた、もうひとりの僕がいた。
正確には機体が落ちた瞬間に、僕の意識はその身体へと移っていた。
煙舞う瓦礫の中を、誰かに反対されながら進んでいくと、中心にふたつの死体があった。

ひとつは白いロボットの身体で、もうひとつの身体は人の子で、両足がちぎれて無くなっていた。
ロボットは人の子を抱きしめて守るようにして、腕と頭だけが残っていた。
人の子は脚以外は切り傷程度で、気を失っていた。

僕はその人の子が、"先程まで自分だった"
とはっきりと自覚した。
僕は何かに絶望して、その人の子に駆け寄って、そのロボットごと抱いて泣いた。
共に来ていた誰かは、それを見て申し訳なさそうに立ち尽くしていた。

僕は、僕の中の何かを失った。

____

そうして目が覚めた。
僕何を失い、その為に何が生まれ変わったのだろう。






何故この夢には、
言葉も音も存在しなかったのだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?