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ドヴォルジャーク: /テルツェットOp.74 B148/ミニアチュア(バガテル)Op.75a B.149



 今でこそ大作曲家として有名なドヴォルジャークも、若い頃は苦労しました。彼が作曲家として初めて成功をしたのはようやく1873年、32歳になってからです。それまでのドヴォルジャークは劇場のオーケストラのヴィオラ奏者として活動し、または教会のオルガニストを務めたりしながら、演奏されるあてもない作品を書き続けていました。彼は室内楽に多くの優れた作品を残しましたが、幼少時から弦楽器に親しみ、オーケストラのヴィオラ奏者として活動していた彼にとって、弦楽器を中心とする室内楽は、心の内面を素直に表現するのに最も適したジャンルであったと言えるでしょう
 ドヴォルジャークは作曲だけで食べていけるようになっても、しばしば友人たちと室内楽を楽しんでいました。ある日、音楽愛好家の2人の友人と室内楽を楽しんでいたドヴォルザークは、ヴァイオリンを弾いていた友人が技術的に四苦八苦しているのを見て(素人さんですから...)、もう少し簡素ですぐに楽しめる曲を書きました。それが1887年に作曲された2つのヴァイオリンとヴィオラのための2つの三重奏曲、「テルツェット ハ長調 Op.74」と「バガテル(ミニアチュア) Op.75a」です。しかし、念のため言い添えておくと、これはまあ「素人さんでも技術レベルの高い人にとっては簡素」、という程度の話であって、誰でも即弾けるように簡単なものではありませんので念のため...。ドヴォルジャークの友人たちはかなり腕の立つ人たちだったでしょう。プロのヴィオラ弾きのドヴォルジャークと一緒に室内楽を「楽しむ」にはそれなりの技術が必要です...

2曲ともチェロを欠く、ヴァイオリン二本とヴィオラによる三重奏です。これらの作品は、鑑賞するだけでなく「演奏する喜び」に満ちているのが本当に素敵だと思います。




「バガテル(ミニアチュア) Op.75a」は4楽章構成で、各曲にカヴァティーナ、カプリッチョ、ロマンス、エレジーという標題が付されています。第1、3曲の素晴らしい旋律、第2曲の奔放さなど、どこをとっても魅惑的な作品ですが、やはり全曲の核心は、深いメランコリーの中でヴァイオリンによってくり返される「溜め息」のような音型が印象的な第4曲(エレジー)でしょう。なお、その直後、ドヴォルジャークはこの作品をヴァイオリンとピアノ用に編曲、「4つのロマンティックな小品」op75として出版しました。今ではこちらのヴァイオリンとピアノのヴァージョンの方が人気があってよく演奏されます。

👆の動画、スークとフィルクスニーとゆー組み合わせなのが素晴らしすぎる。おれは90年代にドイツでフィルクスニー独奏のメンデルスゾーンの協奏曲を聴くことができた。ギリギリ間に合った....それ以来、おれはフィルクスニーの録音を愛聴するようになった。チェコのものはもちろんだが、独墺系の作品もフランスものも本当に素晴らしい!


1887年とゆーことはあの超名曲ピアノ五重奏曲Op81と同時期の作品。1888年には交響曲第8番が誕生する。つまり、まさにドヴォルジャーク絶頂期の直前の時期の作品なのだ。悪かろうはずがない。

1887年には「ミサ曲ニ長調」Op.86も作曲された。あまりポピュラーとは言えないが、最初から最後までひたすら敬虔で感動的な音楽だ。有名でよく演奏される「レクイエム」や「スターバトマーテル」よりも短く編成もリーズナブルだし、もっと演奏されて然るべき名曲だと思う。

これは管弦楽版も作られた






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