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鏡の後ろの電気

 実家は築30年弱になって、洗面台のやり直しが為された。どのような話し合いでデザインが決定されたのかは分からないが、鏡の後ろ側からフワッと光るように間接照明がついた。そしてこの間接照明は蛍光色と白熱灯色の切り替えができる。久々、実家に帰ってくると急に洗面台がラグジュアリーになっていて配電盤に(色の切り替え用に使うため消灯している状態だと)押しても何も起こらないスイッチがあったので驚いたことを覚えている。洗面台の隣には洗濯機があるため、出来上がった洗濯物は先ずこの部屋で洗濯ハンガーにかけられる。あるよく晴れた日、電気をつけずとも十分な光量が窓から差し込んでいた。母が洗濯ハンガーに洗濯物を干しているその部屋に入ると、例の鏡の後ろから光る間接照明がつけられていた。「なんで明るいのにつけてるん?」という私の問いに母は「好きやねん。つけたら嬉しくなるねん。」と楽しそうに答えた。洗濯物を干しながらラジオを聴いたり、音楽を聞く人もいるだろう。それが母にとっては鏡の後ろの電気だということか。

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