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タイでケガしてエマージェンシーに搬送され、海外で人生初手術した話。

こんにちは、あゆみ(@ayumiueda_)です。

これは最近あった出来事の中で、自分的にはパンチがあって結構気に入っているエピソードの1つなんだけれど、書いてみたら割と地味だったので、上手く伝わるか、そもそもこれを読んで楽しい人がいるのかどうかとても心配です。

ラオス篇で「松葉杖をついていた」と書きましたが、その怪我をした頃、今から2ヵ月前の話。


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4月末でマニラの仕事を辞め、5月のチェンマイのマッサージ修行を無事に卒業し、みんなとお別れしてチェンマイを離れました。

次なる目的地は、タイ北部の瞑想寺、ワットタンムア。

まず、チェンマイからバスで経由地のパーイという小さな町に向かいます。

パーイは、バックパッカーの聖地として旅人に有名な、チェンマイからバスで確か3時間半程度の町。

バス旅も快適で、上機嫌でパーイに到着した私。

ちなみに泊まった安宿は、ベッドの代わりに部屋の中のテントが割り当てられるという、ユニークな宿。一泊200バーツ以下。

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荷物を整理した後、バス停へ明日の朝のパーイ行きのバスの確認に行きがてら、夜の町を探索して夕飯を食べてこようと、新しい町にワクワクしながら宿から外へ一歩踏み出した時でした。

下からザクッという音が聞こえた気がして足元を見ると、宿の入り口のドア重く、その角が鋭くて、ドアが閉まる時に足のアキレス腱の辺りを切ってしまったようです。

あ、いけない絆創膏、絆創膏。。。と宿の中に戻ろうとしたけれど血が止まらず、宿を汚してしまうといけないので困っていると、良いタイミングで現れる宿のオーナーさん。

私「ちょっと大きめの絆創膏ないですかねー?」

オーナーさん「1◯◯バーツだよ」

私「おっけ、ちょっと切っちゃって血が止まらないから、後払いでもいい?」

そして、私の足元の血溜まりを見たオーナーさんは何も言わずに救急箱を持ってきて、オーナーさんの奥さんが応急処置をしてくれました。

偶然宿の奥さんは現役ドクター。

そして怪我の様子を見て、深く切れているから病院に行って縫った方がいい、と助言されました。

私は病院に行くほどの怪我とは思っていなかったし、お金もあまり余分に持っていないので渋ったけれど、オーナーさんがお金は出してあげるから行った方がいい、とまで言い出すので、とうとう折れて大人しくエマージェンシーへ連行されました。
(もちろんお金は遠慮しました)

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奥さんの職場である夜のパーイ市立病院へ着いて、自分以外に外来者のいない待合室で待ちながら「人生初手術がタイってなんか面白い展開だな!」と逆にワクワクしてきた私の余裕は長くは続きませんでした。

ベッドで横になって、麻酔打ちますねーと看護師さん。

打たれた瞬間、私は日本語で「いたーーーい!!」と夜の病院に響き渡る声で叫んでいました。

あの麻酔は、今までの28年間の人生で5本指に入る痛さだった。。。足を切った時の10倍は痛かった。

そして麻酔の痛さに私がぐったりと死んでいる間に,、いつの間にかちゃっちゃと裁縫は終わり(5針縫われていた)、最後に破傷風の予防接種を受けました。

東南アジアルールか分からないけれど、手術をする時は、破傷風の予防接種をした事がない人は必ず受けるらしい。

そして、手術代は予想より安く、予防接種込みで900バーツ程度でした。

奥さんは、病院へ連れてきたせいで仕事を頼まれたのか分からないけれど、近くで亡くなった人がいると言って病院を抜けてまた戻ってきました。

この件で助けてくれたり迷惑を掛けた宿の夫婦にもお礼に500バーツ払い(ちなみに宿代は一泊200バーツくらい)、私の持ち金のタイバーツはここで一気に半分に減ってしまいました。やれやれ。

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そして帰りにコンビニに寄ってもらって、手当用品のガーゼ、包帯、テープ、消毒液、手当用の水、大きい綿棒を買って、深夜過ぎに宿に戻りました。

本当は「しばらく毎日、消毒とガーゼを替えに病院に来てね」と言われたのだけれど、旅の途中で帰りの日も決まっている私はここにとどまる時間はなく、オーナーの奥さんに必要な物とやり方を聞いて、毎日セルフ手当をすることにしたのでした。

ちなみにそれから2週間ほど、シャワーを浴びる時はビニール袋で足をラップして上に上げてお湯がかからないようにして、シャワーした後に傷口の周りに大きい綿棒で消毒液を塗って、傷口に手当用の水をかけて大きい綿棒で洗って、ガーゼを貼って包帯で足を固定し直して。。。

というのを毎日やっていました。かなり面倒くさかった。

怪我した右足をちょっと曲げるだけでも痛い上に、しかも一日中酷使した左足で片足でシャワー浴びるっていうのは、なかなか骨が折れます。

今は、普通に両足でシャワーを浴びることができて、消毒の面倒さから解放されているだけで、毎日が最高に幸せ。

しかしアキレス腱とかが切れていなくて本当ラッキーだったなぁと心底思います。
今はこうして普通に歩けているわけだし。

こういう時、5年くらい前にツイッターで見かけてからいつも私の心にある言葉、「死ぬこと以外かすり傷」が頭に浮かんできます。

1ヶ月程度で元に戻れるのなら、こういうことは経験としてありだと思うのです。

ここでケガをしていたからこそ、この後の旅が、人の優しさを感じる特別な旅となったのでした。(苦行でもあったけれど)

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そして次の日、麻酔が切れた縫ってある箇所のあまりの痛さに、さすがにここで数日大人しくしていた方がいいよな。。と理性的にもなりつつ、それでもじっとしていられない私は、やっぱりバス乗り場へと向かうのでした。

もう右足は少しも地に付けることが出来ないので、宿の空いているロッカーを借りて、マニラで仕事を辞める時に代理店のフィリピン人のみんながくれたスーツケースの中身を移して軽くし、スーツケースに掴まりながら片足で移動する事にしました。

見かねたオーナーさんがバス乗り場まで車で送ってくれました。


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初めて見た日中のパーイは、やはり噂通りカフェがたくさんあって、のんびりしていてお洒落な山の田舎町。

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しかし、到着したバス乗り場でお寺へと向かうメーホンソン行きのバスについて聞くと、「早朝の一便しか出てないよ」と言われ、しばらく途方に暮れます。

実は昨日、宿の人はメーホンソン行きのバスはたくさん出てるから大丈夫と言っていたものの、念のため自分でバス乗り場に確認しようとして出掛けようとした矢先に例のケガで、それどころではなくなってしまっていたのでした。

しかし、このケガでこの猛暑で宿に戻る気力もないし、明日まで待っていたらお寺に少ししかいられない事になってしまうし、それは困る!と、泣き落とし(?)の作戦に入ります。

と言うのも、どうやらパーイ発のバスは1便だけれど、チェンマイ発メーホンソン行きのバスは午後にもう1便あるらしく、そのバスはいっぱいだと言われたけれど、東南アジアではこういう時はだいたい本当は本気出せば何とかなるという事を私は経験上知っていました。いや、もはや勘。

そしてお願いし倒して、折れてくれたチケット売り場のお兄さんに感謝しつつ、午後2時半発のメーホンソン行きの席を手に入れたのでした。

本当はせっかくのパーイの町を探索したかったけれど、片足ケンケンでそれどころではないので、大人しくバス乗り場のすぐ隣のカフェへ。

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バナナシェイクを飲みながら時間を待ちました。

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ここの犬さんがとっても人懐こくてかわいくて、包帯を巻いた私の足元に寄り添ってきてくれる優しい子なのでした。。。

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チェンマイで散々犬に吠えられた後なので、この子が優しくて泣きそう。

そして2時半のバスで、このケガした思い出しかないパーイという町を無事に脱出。


しかし、この後もまだまだ試練は続くのでした。。。(続く)


※本当は1記事にまとめるつもりだったけれど、長くなっちゃったので切ります。


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いやぁしかし、タイの人々は優しかった。

パーイでお世話になった宿の夫婦も、病院の人たちも、ケガしたからこそこの優しさを感じる事ができたと思うと、あのケガは無駄ではなかったなぁと思うのです。

フィリピン人の優しさとは種類が若干違い、少しわかりづらいところもあるけれど、でもやっぱり芯は優しいなって思いました。

あ、ちなみに、このパーイというタイの町は、ケガ人が異常に多い事で有名です。

でもほとんどみんなモーターバイクでよそ見運転して、転けてケガして松葉杖ついたり腕吊ったりしてるので、ドアで切ってるようなアホは私くらいだと思います。

パーイに行く方は、くれぐれもケガにお気をつけください。

ではでは。

あゆみ

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