大人とカワイイもの


いい大人のくせにとか、歳の割にとか、〇〇歳にもなってとか、年齢を理由にして色んなことを馬鹿にしてくる人が嫌いだと、最近思うようになった。いい歳してキャラもの好き、いい歳してバンドが好き、いい歳してアイドルが好き。全部自分のことだ。年相応でいろとかクソ喰らえと思う。自分より遥かに年齢を重ねた女性がゴッテゴテのよくわからない服を着てても、そういうの好きなのかないいなと思えてきたし、ライブハウスでライダースを着て缶ビール片手に踊ってるグレイヘアのお姉さんを見てあんな風になりたいと、目標が出来た。酒は飲めないけど。いつ死ぬかは知らないが、生き延びてたら70くらいまでライブハウスが遊び場のヤツでいたい。
キャラものは、すみっコぐらしが好きだ。何がきっかけかは忘れたけどネガティブで幸薄そうでかわいいなと思って眺めているだけだった。その内色々買うようになって、その年の誕生日は家族からすみっコぐらしのグッズをたくさんもらった。いつの間にか手のひらサイズのてのりぬいぐるみが増えて、しまいにはでかいやつにも手を出した。でっかいもーちもちのしろくまはもうなんだか薄汚れてしわしわになっているけど、愛着がある。多分一生一緒だ。所謂推し、はしろくまだけど、最近はやまの魅力に気づき始めてしまった。基本的にすみっコぐらしの世界は喋らなくて文字で表現されるが、やまは文字すら無くて無表情、たまにニコニコしたりするけどあんまり表情は変わらない。やまは、富士山にあこがれている山、と言われても設定がよくわからない、でもこのよくわからない感じがとても好きでハマる。そしてやまは何にでもなれる。春の京都に行けば桜色のさくらやまになるし、夏は緑色になってなつやまになるし、冬は雪に覆われて真っ白になってマフラーを巻く。プリンにもなるし、最近はサーティワンのポッピングシャワーにもなった。分からない人に言ったら絶対に理解できないと思うが、あの分からなさが色んなもの通り越して可愛くて愛おしくなってくる。あるシリーズで、やまがたくさん牛乳を飲んで富士山のように大きくなりたいとにこにこしながらぐーんと伸びをしている絵があったけど「うんうん、たくさん牛乳飲んで大きくなりたいんだねそうなんだね」と実際あり得ないけど母性なのか分からない何かをくすぐられてしまった。牛乳飲めるの、君。
すみっコぐらしのマーケット的に幼児から児童向けなんだろうけど、映画の影響もあって大人たちにも広く知られるようになったようだ。魅力については調べればたくさん出てくるから割愛するけど、すみっコぐらしはネガティブなキャラクターがメインで大人たちは自分に当てはまるようなメインキャラクターを好きになるらしい。子どもは子どもでねこやしろくまのような分かりやすいメインキャラクターが好きになるらしい。メインキャラクターとは逆のポジティブなみにっコたちも人気がある。ポジネガが存在するすみっコぐらしの世界は可愛くて優しい理想的な社会の縮図でもある。実はすみっコぐらしはネガティブなすみっコとポジティブなみにっコのペアで大体成り立っていたりする。すみっコが悲しんでいたらみにっコが笑わせてくれるし、みにっコが困っていたら優しいすみっコが助ける。すみっコぐらしの世界も、ひとりじゃ生きていけないらしい。すみっコぐらしの世界にお金があるかどうかはわからないけど悪いヤツは居なさそうだから一回くらい住んでみたい。あの映画の灰色のモブのやつでいいから入ってみたい。

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