僕が2世帯を諦めようと思ったのは

約半年間、2世帯を建設するために動きました。しかし、トラブルが色々と発生し、半年も掛けた割に、計画はほぼ進んでいませんでした。そして、2世帯を建てると決まった当初はテンションが上がって色々なことが見えていませんでしたが、遅々として計画が進まなかったことで、冷静に考える時間ができました。


以前も書きましたが、僕は元々2世帯に不安を抱えていました。と言うのも、僕と妻は共に2世帯で育っています。そして、「母と父方の家族が不仲で苦労した」という点で共通していたからです。僕は小学生のときに、2世帯で生活することになりました。我が家の場合、希望してというよりは、不可抗力的なきっかけによるものです。いざ2世帯で暮らしてみると、割と早々から両親と祖父母の間でトラブルが頻発しました。そして、その度、家の中はピリピリしました。直接揉めているシーンを見ていないときでも、子どもながらにそんな空気感を敏感に察知するようになりました。偶然かもしれませんが、2世帯で生活をし始め、父と兄が立て続けに入院しています。今思い返してみると、各々、精神的なストレスが大きかったのだと感じています。そんなことも踏まえ、両親としても水回りや玄関も分ける「完全分離型の2世帯」を希望していました。しかし、僕の実家でも、途中で完全分離型にリフォームしています。分離させ、若干改善されたものの、解決には至りませんでした。もちろん、2世帯で仲良く暮らしている人たちもいます。そんな経験をしてる両親だからこそ、うまくやろうと努力してくれるかもしれません。しかし、考える時間が長くなるほど、僕の場合は不安が大きくなっていきました。


また、僕は「いずれ地方移住したい」と思っています。2世帯の場合、自分の家族(僕と妻、生まれたとしたら子ども)の意思だけで決めることが難しくなります。移住するとなったとき、もしローンが残っていたら、家を貸してその賃料をローン返済に充てたいと僕は思いますが、年老いた両親が「他人が住むこと」を嫌がることは想像に難くありません。また、介護が必要な状態にでもなっていたら、移住自体を猛反対されるでしょうし、僕自身もそんな状態で移住を決断できるかわかりません。


一方、僕の場合、2世帯で住むことの金銭的なメリットはすごく大きいです。調べるうちに「こだわり」が生まれてしまったこともあり、2世帯を選択肢から外すと、「今の会社で通勤が負担にならない地域で希望の家を建てる」ということは、宝くじでも当たらない限り、僕の給料では厳しいということもわかっていました。


リスク込で「理想の家」に住むことを選ぶか、リスクを回避して「理想の家」に住むことを断念するか。悩みました。しかし、これまで書いた2つの懸念はどちらも降って湧いた問題でもなんでもなくて、初めから考えられたことなんですよね。それが見えなくなってしまうくらい、「理想の家を建てることができる」ということは僕に取ってテンションの上がることだったと今はしみじみ思います。「恋は盲目」と言いますが、なんだか恋愛に似ているかもしれません。


そして、ふとしたきっかけで「2世帯を諦めよう」と決意しました。そのきっかけは家とは全く関係ないことでした。そしてそれを恐る恐る妻に話すと、意外にも二つ返事でオッケーしてくれました。てっきり「あれだけ工務店巡りした時間は何だったんだ!」と怒られると思いました。実は妻にも引っかかるものがあったようです。計画がなかなか進まなかった時間が、「自分の人生、もっと冷静に考えろよ」という神様からのメッセージだったと、今では思うようになりました。こうして2世帯を諦めることにしましたが、一度走り出すとなかなか止まることはできず、家探しは継続していくことになります。

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