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美しき景色、どこから来るのか?

文ワイケーツー(Yukako Horikiri)

こんにちは、その国のらしさはどこから来るのかを考えているワイケーツーです。

色彩を尊いと思った瞬間はありますか?

今年の4月、少しばかり旅に出ていました。その道中で1つ、忘れがたい風景に出会いました。

マレーシアのチャイナタウンのカフェでみた赤提灯です。長屋の箱庭に中くらいの赤い提灯が3つ吊るされていました。

壁一面に植物が茂り、湿気った空気をぼんやりと照らす赤い光。

なぜそのような美しい光景が生まれるのか。

1、鮮やかという価値

化学染料が生まれる以前、主な染料は植物によるものでした。ただ、植物による染色は褪せやすく、また、濃い色を発色させるのに大量の原料が必要なため、鮮やかな色は貴重なものとして扱われていました。

日本の伝統色に淡い色が多いのは、限られた材料や技術の中で染色を行っていたからで、平安時代には身に纏うことを禁止される色もありました。
日本語には色を表現する言葉が豊富です。美しく自由な色が憧れの対象であったことが伺えます。

その土地によって手に入る鉱物や植物は異なり、よって貴重な色、尊いとされる色も違ってくる。それが国や街のアイデンティティを作っているのです。

2、空気が作る光
湿度が高いアジア諸国では夜の光がぼんやりと灯り、色彩たちが踊っているかのようです。
同じ色であっても空気によってその質は異なる。

私がマレーシアにいた時はちょうど雨季に入る頃で雨が降っていました。湿気た空気が赤色を鮮やかに発色させ、美しい光景を作っていたのです。
ただの気候現象が、色を伴う光を放ち文化を作っていくのです。

街の風景をつくる色には、歴史や思想があり、それは土地や気候に繋がっている。切っても切れない縁で色の歴史は紡がれていることに気がつきました。

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