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初日の出

2023年、前半は碌なことがなかったが、暖かくなるにつれ穏やかな日々に変わり、憎むべきは労働だけになった。反動で実家に帰ってどんどん雀魂のランクを上げることに専念している。


誰か一人を愛するのではなく趣味を増やして連絡を待ったほうがいい、みたいなアドバイスみたいに、憎むものも1つだと良くないような気がする。




実家に帰る高速バスが混んでいて、私は窓側に座れず通路側でおじさん越しに窓の外の景色を見ていた。

樹は、冬がいい。12歳のときからそう思っている。骨だけになって、影がきれいだ。こうやって死ねるのが嬉しいよ。

美しい山に差し掛かると、おじさんは座り直して背筋を伸ばした。私も、伸ばした。


おじさんと私は、今日会ったのに、友だちともなかなかできないことをしている。


しかし斜め前の座席、通路側に座ったおじさんが、「すみません」と言いながら勝手にカーテンを閉めている。

このおじさんを憎むと決めた。


そしてそのおじさんは下車するとき、自分が開けたカーテンをきちんと閉まってから降りた。


バカなのは私だ。

憎むことなんて、ずっとできない。





しかし、

短歌ブーム、身内でワイワイやってる飲食店、なんかコンサルが介入している銭湯、テレビを見ながらグダグダ芸能人の顔や体型に文句をつける男、避妊しない男、ブロックはしないが既読もつけない男、二股をかけている男、借金、


これらは、おそらくずっと嫌いでいられるだろう。


あんまり変わってない、私は多分どう頑張ってもずっと最悪なので、なんとかたまにカーテンを閉めたり、憎みたいものを憎みながら生きていきたい。愛するものを信じたい。愛する人が愛するものは、信じない。



好きでも嫌いでもないのは、意外にも紅白のけん玉。





よいお年を!

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