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「涙」の価値は?

自分が「涙脆い」と自覚した時っていつだったのでしょう。

友人に励まされて「涙」し、本を読んで「涙」し、映画やドラマを観て「涙」し、音楽を聴いては「涙」して生きていました。

今回はそんな「涙」のお話です。

映画館にて

付き合い始めた頃は、良く2人で映画を観に行っていました。彼女はそんなに映画好きでは無い様でしたが、映画好きな僕に合わせて付いてきてくれていました。

元々僕の映画の好みは、どちらかと言えば偏りが無く、アクション、ホラー、サスペンス、ヒューマンドラマ、歴史、SF、恋愛、等々基本的には何でもカモン!みたいな感じなので、中学生の頃から映画館に行き始め、ある程度の時期まではそこそこの映画を観てきました。

なので彼女と2人で見た映画のジャンルや本数はそこそこの数になると思うのですが、毎回映画が始まると、ほとんどと言っていいくらい彼女は寝てしまいます。

どんなに話題作でも、どれだけ世界中の多くの人が「涙」した超大作でも彼女は寝てしまいます。

始めの数回は起こしたりもしてみましたが、結局寝てしまうので途中からは起こすのも諦めました。色々疲れてるんだろうとも思いましたし。

一応映画を観終わると、決まり文句の様に寝てた彼女に「どこが面白かった?」と聞くと、「隣の人が鼻水ズルズル言わせてたとこが一番感動した」って茶化されてました。

この頃は軽い冗談で言っているのだと思っていたのでこんなジョークでも笑えていました。

今思えば、彼女はナルシシズムの非常に強い人間なので、興味のあるのは自分の事“だけ”なので映画は勿論、本やドラマでも音楽でも自分以外の事には全く興味は無かったんです。

きっと映画を観ているよりも、彼女は「鏡」で「自分自身」を見ている方が心が落ち着くのだと思います。

そんな人間がちゃんと実在しているんです。

年々涙脆くなる僕と

例に漏れず僕も、歳を重ねるごとに加速度的に涙脆さが酷くなって来ていました。以前に「歳をとると涙脆くなるのは何故?」みたいなのをテレビでやっていましたが、人間の脳の共感する部分が影響すると言うことでした。

歳を重ねる毎に様々な経験や体験も増え、読書や映画などでより多くの疑似体験もして行く事で共感出来る幅が広がって行くので共感し易くなって来るので結果的に涙脆くなってしまうと言う事らしいです。こう言われると僕は何と無く納得してしまいます。

逆に彼女は何かに感動して「涙」を流す事はほぼありません。昔から彼女が言うには、「いい所で先に泣かれるから、それを見ると引いてしまう」といつも言っていました。

そんなものなのかなぁと思いつつ、これを書いてて思いましたが「先に泣かれるから」ってもしかして泣けなかったのは僕のせいって事ですか?

本当に色んなことを思い返せば彼女の「おかしい」ところってこんなにあったんだと気付かされるし、そんな異常性でさえこちらが異常だと気が付かなくなるほど様々な事が麻痺してたと思うと本当に恐ろしい事です。

実は、彼女の持つ特性で「共感」と言う部分が欠けています。彼女の思う「共感」と言うものはちょっと歪で、自分が思っている事は世界中の全ての人が思っている事という自分発信のものです。

それは「共感」と呼べるものでは無く、彼女の「自我境界の曖昧さ」がもたらす思考で、ナルシシズムを核とした自分の劣等感を無意識に守る為の万能感がもたらす思考です。

なので「自分の意思=世界中の総意」というちょっと普通では考えられない思考を元に行動や言動をしてしまうので「自分の意思」と違う意思に対しては徹底的に排除しようとします。

なんせ「自分の敵=世の中の敵」なので自分は「揺るぎない正義」でこちらは「完全なる悪」に配役が決まっているのでもう大変。

以前にも書かせて頂きましたが、モラハラ加害者は戦う事しか知らない「戦闘民族」です。戦う必要のない所や人でもきっかけさえあればスイッチオンです。

色々と調べてみましたが、これは「神経症的競争」と言われるものの様で、詳しくはリンク先をご覧になってみて下さい。

とりあえず彼女は「神経症的競争」に取り憑かれていて、どうにかして僕を蹴落とさなければいけないので、常に僕の弱点を見つけようとします。

ただ、学生時代は社会的にも「学校」という場が荒れまくっていた時代なので、その頃の事を突っ込まれると何の言い訳も出来ないのですが、残念ながら僕は人間として弱点だらけの父親と母親を見て育っているので、最高の反面教師の指導の元、社会に出てからは「後ろ指を指される生き方」は一切しておらず、突っ込みどころが中々見つからなかったのだと思います。

なので、「ここなの?」って所を良く突っ込まれるのですが、彼女にかかると「涙脆い」という事でさえ悪にされてしまうのです。

安い「涙」

ある時期を境に、何かで僕が感動して「涙」を流しているのを見つけると、まるでお祭りでも始まる勢いで「え?まさかさっきのあんなので泣いてるの?やっす(安い)!その涙やっす(安い)!涙のバーゲンセールじゃん!」と茶化してニヤニヤ笑う様になりました。

ちょっとおっさんが涙流してる的な絵面は自分でも恥ずかしい気もするのでその場は適当に誤魔化していましたが、何度もそれを言われ、仕事関係の共通の知り合いにでもその話をして「安い涙」の話が彼女の持ちネタの様になっていましたが、勿論そんな話を聞いて心から笑ってくれる人も無いのですが、先程も書きましたが「自分の意思=世界中の総意」なので本人はご満足な様です。

何かの時に、真剣な話をしている時に言われました。

「あなたには心が無い!作り物では泣けるけど本当の涙は流した事があるの?」

ちょっとこれを言われて驚きました。気がついたら「感動して流す涙」が「作り物でしか流せない偽物の涙」にすり替わっていました。

確かに彼女は感動して泣く事は有りませんでしたが、今までに数回「涙」を見せた事が有ります。

その「涙」は基本的に自分の為の涙で他者のために流した涙や、感動して流した涙は見た事が有りません。

話をしていて、基本的には彼女の口からはクレーマーの様でいて人格を否定する様な暴言なのですが、あまりにも理不尽過ぎると僕も自分の正当性を主張します。その主張が理にかなっていて否定しようがなくなり追い詰められた時に感情が爆発して泣き始めます。

その時に必ず言う言葉が

「わたしばかりこんな思いをしているのにあなたは何にもわかってない」

と言いながらボロボロと涙を流します。それと完全に敗北を認めざるおえない時に涙します。でもその時にはまるっきりの別人の様になります。

「今までの事は反省する、悪い所あったら全部直す、出来る事は何でもするしもっと努力する」

と言いながらボロボロと涙を流します。これが同一人物です

冷静になってこうやって文字に起こしていると本当に恐ろしいですね。なんでこんな人と20年以上一緒にっていつも思いますが、少しづつ少しづつ身体を蝕む毒の様に感覚を麻痺させられてたのだと思います。

理想の人と結婚したつもりが「悪意にまみれた憎悪に取り憑かれた人間」と暮らしていたなんて…。

共感力

当たり前の事ですが、「共感」って物凄く大切な事だと思います。あなたは好きな人の涙を否定出来ますか?

共感力の無い人間だとこんな風になってしまいます。そして周りにいる人間を不幸にして行き、知らず知らずのうちに自分の首を自分自身で締めている事にすら気付けずに。

普通に考えて、例えばそれが好きな人で無くても、例えばツイッターで見かけたツイートでも、他人が感動して流した「涙」を否定したり、馬鹿にしたりする人間が存在していると言う事実が恐ろしいです。

おまけにそんな人間と暮らしているなんて。

子供が生まれて少し経った頃に思っていたのですが、子供に沢山の思い出を作ってあげたくて、休みが取れたら普段行けない様な自然の中に遊びに連れてってあげたかったのですが、「暑い」「虫がいる」「寒い」「疲れる」と言って「そんな所より新しく出来たショッピングモールに連れてって」みたいな感じで全く僕が思う様なところに3人で行く事は有りませんでした。

子供も少し大きくなると、どうしてもお母さんの意見に賛同するので娘さえも同じ様な事を言うようになっていました。今思えば子供はショッピングモールなんかより公園で走り回ってる方が楽しかったのだと思います。

僕と娘と二人で出掛ける時は必ず「大きい公園に連れてって」と娘に言われて、夕方遅くまで遊び、いつもは聞き分けが良く駄々をこねたりしない娘が「まだ帰らない!」と駄々をこねたりしていました。それが普通の子供のあるべき姿だったのだと思います。

僕は年齢的にも環境的にも次はもう考えていません。なのでこれから恋愛する方や結婚を考えている方に知っていて欲しいのですが、「共感力」大切だと思います。

「共感力」がある人ならその人は、いつでもあなたの立場になって考え、行動し、そして話しかけてくれるでしょう。ここで間違えては行けないのは、これをあなたが当たり前の事だと思ってはいけないと言う事です。決してこれを当たり前だと過信せずに、あなたはこれ以上の「共感力」を持って相手の立場になって考え、行動し、そして話しかけてあげて下さい。

お互いがこのループの中にいる限り幸せはいつまでも続くでしょう。それに家族が増えた時でも、この輪が少し広がるだけでなんの変わりもなく普通に続いて行くのだと思います。

これが当たり前に出来ている夫婦の元に生まれて来る子供は、本当に幸せだと思います。

こんな事はもしかしたら当たり前の事なのかも知れません。しかしこれを当たり前だと思えない現実もある事を知っておいて下さい。

皆んながこれが当たり前だと思える世界になりますように。


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