ストーンズ

「ローリングストーンズ オレ! オレ! オレ!」

 by キミシマフミタカ

 ストーンズと南米はすごく相性がいい。“悪魔を憐れむ歌”がサンバのリズムを元にしていたのは知らなかった。ミックとキースが、こんなに仲良しだったことも。2016年の南米ツアーのドキュメンタリーだが、ステージ裏の様子や街との関わりがテンポよくコラージュされ、すぐれた南米紀行の趣がある。光と影の強いコントラストの中、ライブは幻惑的でまるで呪術のよう。全編を通してミックが穏やかに微笑んでいるのが印象的だ。

 素晴らしいのは編集である。ステージの演奏にモノローグを被せたり、街の音楽を同じリズムでシンクロさせたりして、すべてが一枚の極彩色の絵のように繋がっている。南米9都市を巡った後のクライマックスは、米国との国交が再開した直後のキューバでのフリーコンサートだ。来場者はなんと120万人! キースが言う。「オレたちは探検家なんだ。コロンブスのように、角を曲がった先が平らかどうか見たいのさ」。

何度でも見たいストーンズ映画のマスターピース ★★ (★3つが最高点)


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