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「全裸監督」Netflixは日本ドラマの救世主となれるか?

by 輪津 直美

いやー、金と時間をかければ日本のドラマもなかなかやるじゃない?

なんせ今をときめくNetflixの潤沢な資金でセットを組み(80年代の歌舞伎町が全てセット!)、「ナルコス」チームから指導を受けて1年がかりで脚本を完成させたというのだから、地上波ドラマとは気合の入れ方が違う。

海外の批評サイトなどを見ると大絶賛されていて、「ジャパニーズ・ナルコス」とか「ジャパニーズ・ブレイキング・バッド」とか言われている。この3つのドラマに共通するのは「裏社会での成り上がり物語」。村西とおるの呆気にとられるほどダイナミックでめちゃくちゃな人生が、ハリウッドスタイルのストーリーテリングで上手に料理されていて、最後まで見るものを飽きさせない。

この異様な人物を怪演したとして山田孝之の演技が絶賛されている。彼が「お仕事モード」に切り替わった時の演技なんて、まさに村西とおるが憑依したかのようにファンタスティックなのでございます。

それでも、惜しいかなもう少し狂気が欲しかった。実際の村西監督はもっともっとダークで目を背けたくなるような怪物のはずだ。少しいい人すぎる設定になっているし「素」の芝居はやや一本調子。監督は彼をもっと追い込むべきだった。日本の役者の中では随一だとはいえ、クリスチャン・ベールやホアキン・フェニックスの境地にはまだまだ達していない。

あと、リリー・フランキーにはもう飽きた。お腹いっぱい!

良かったのは満島真之介と黒木香役の森田望智。特に森田望智は23歳ながら黒木香を完コピしており、濡れ場も堂に入ったもので、すっごい女優が出てきたもんだと驚いた。同年代のアイドル女優は危機感を感じたのではなかろうか?いや絶対に感じるべき。

時代考証がわりとしっかりしていて美術や衣装に気合が入っていたし、髪型やファッションも当時の雰囲気が出ていたのも良かった。80年代ってなんであんなにダサいんだろう?ダサい上にエネルギッシュな時代で、ホント手に負えない。

金と時間、そして優秀なスタッフの指導があれば日本でだってこのくらい作れるんだということを証明した作品で(それでもアメドラにはまだ劣るが)、これを期に日本にもっともっと面白いドラマが生まれることを期待したい。

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