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留学奨学金に全部落ちた話

さて、そろそろ今年も来年度留学に向けての奨学金の応募時期が始まってくるころですね。

見出し画像 + タイトルで察したと思いますが、このノートでは、昨年度1年間奨学金獲得に挑戦した、とある学生の全敗記をお送りいたします。このノートの目的はただ一つで、私のような状況に陥る人間を減らすことです。そのためにも、これから留学奨学金を応募しようと考えている方に向けて、注意喚起の意味も込めて書いていきます。

代表的な留学奨学金について

さて、大学院修士留学(修士・博士問わない奨学金も含む)の奨学金制度は中々に充実しており、年内に募集のある代表的なものを挙げると以下の財団等による奨学金制度があります。

村田海外留学奨学会
中島記念国際交流財団
吉田育英会
伊藤国際教育交流財団
JASSO
・ロータリークラブの奨学金

他にも、大学限定の経団連の奨学金等々あるようですが、私のようにリストアップされていない大学からは申し込めないので、出身大学による制限のない奨学金のみ言及しています。

私が応募した奨学金について

私は昨年度上記のうちの4つの奨学金に応募をし、そのうち2つ(JASSOと伊藤)は書類選考を通過し、他の財団は書類選考の時点で落選しました。(結果として、全ての奨学金に落ちてしまったことは言うまでもありません。)

今思えば、時間が許す限り他の奨学金に応募すればよかったと若干後悔していますが、家庭の経済状況から言って、「授業料 + 生活費」の支給がある奨学金以外には応募する気は全くありませんでした。

奨学金応募の流れを時系列でたどる

以下、昨年の4月から1年間を時系列で辿っていきます。アドバイスも少し書いてあります。来年以降、学位留学を考えている方には参考になると思います。

なお、私は昨年度、「理系学部4年生・教職課程履修」という状況でした。また、留学エージェントは一切活用していません。

2018年4月
 応募できる奨学金のリストアップ & 大学院出願スケジュールを練る
 > 4月は比較的時間があるはずなので、この間に1年間の行動計画を立てるとGood!

2018年5月
 教育実習の準備 & 卒業研究のテーマ調査をしつつ、少しずつ奨学金書類の記入を始める
 > GWの期間に奨学金の必要書類の確認や、出願校の選定をするとよい

2018年6月
 教育実習 & 卒業研究関連でほぼ潰れる
 7月上旬受験のためのIELTS対策を始める
 > 8月に奨学金の申し込み〆切が集中するので、申し込みに際して英語スコアが不十分な場合は、この時期に追い込む必要あり

2018年7月
 IELTS & 卒業研究関連をこなしつつ、本格的に奨学金の書類を書き始める
 > 無理にでも時間を作って奨学金の申請書作成をすると、8月に見直しの時間を取れる

2018年8月
 8月中旬締め切りの3財団(村田・伊藤・中島)奨学金の書類を必死に書き上げる
 研究成果がそれなりに出たので、国際会議論文を急ピッチでまとめる

2018年9月
 卒業研究の中間発表 & 論文投稿準備 & 教職関連の集中講義を受ける
 大学院出願のためのエッセイ & 推薦書下書きを書き始め、下旬に1校目の出願を開始
 下旬はJASSOの応募書類準備にも追われる
 > JASSOの申請書類は比較的多い部類に入るので、早めのうちに準備をしておくのが肝要

2018年10月
 JASSOの応募締め切り
 各国の留学フェアに参加し、担当者に話を聞いて情報収集を行う
 8月に応募した奨学金の書類選考の結果が通知される(1勝2敗)
 書類選考を通過した奨学金の面接準備に励む
 2校目の出願を済ませる
 > 9月のうちに出願を開始しておくと、留学フェアで込み入った質問ができるので得

2018年11月
 書類選考を通過した奨学金の面接準備に励む
 卒業論文の作成に取り掛かる
 11月末に書類選考の落選通知を受け取る
 1校目からオファーを受ける
 > 奨学金応募が少し落ち着くので、他に応募できそうな奨学金がないか再度この時期にサーチするとよい

2018年12月
 2校目からオファーを受ける
 3校目の出願を完了させる
 卒業論文を完成させる
 > 年内に出願作業は終わらせないと、合格確率がかなり下がる

2019年1月
 卒業論文最終発表の準備をする
 下旬にJASSOの書類審査合格通知を受け取る
 JASSOの面接審査の対策を始める

2019年2月
 JASSOの面接を受ける
 卒業論文の最終発表

2019年3月
 JASSOの面接審査の不合格通知を受け取る
 > JASSOが不合格であった場合の対応は早めのうちに考えておくのが重要

〜〜〜現在に至る〜〜〜

以上がこの1年間奨学金全落ちするまでの流れでした。

これから応募する人へのアドバイス

「授業料 + 生活費」をカバーしてくれる奨学金としては、上述の6つの奨学金制度が知られていますが、結局のところ、色々なフィルターに引っかかってしまい、凡人には合格が困難です

我こそはという心持ちも大変よろしいかとは思いますが、全部落ちてしまった人からのアドバイスとしては、『常にセーフティネットを確保すること + 条件を問わず出せる奨学金は時間の余裕があれば出すこと』をおすすめします。

セーフティネットの確保については、特にJASSOに応募しようとしている方に当てはまります。なぜなら、JASSOの奨学金合否は、翌年の3月上旬まで判明しないため、万一不合格となった場合に、慌てて資金繰りを再考する必要がでてきます。

「条件を問わず出せる奨学金は出す」と書きましたが、授業料の支給がない奨学金であっても、重複受給を禁じるルールがある財団も多く散見されます。こうした場合には、進学先大学が提供する奨学金に応募することもできなくなってしまうというリスクがあるため、条件をよく確認して天秤にかける必要があります。

奨学金応募にあたり特に注意を必要とする方

先ほど凡人には合格が困難と書きましたが、具体的にどういった人に注意してほしいか、完全に個人的な意見ですが列挙していきます。

・応募時点で学部生の方

大学院留学用の奨学金は、修士・博士課程の学生や社会人との壮絶な戦いとなります。したがって、そうしたライバルに打ち勝てるような、アピールポイントをたくさん持ち合わせている必要があります。理系で言うと、研究実績や実務経験等がアピールポイントになることは間違いないです。

この観点において、学部生は研究も駆け出しで、実務経験もない or 少ない場合が多いと考えられるため、注意が必要です。(将来性を訴えるのも一つの対策かもしれませんが、残念ながら、豊富な経験や実績に敵う指標ではないかと思います...)

・出身大学が旧帝大、早慶上理、ICU以外の方

奨学金選考において、いわゆる学歴フィルターが存在するとは考えたくはないのですが、そもそも無名大学から学位留学を考える人は上記の大学よりも圧倒的に少ないです。学位留学の準備はノウハウの有無で圧倒的に差が生じてきます。申請書や推薦状の書き方もそのうちの一つです。ですから、学位留学をする人が毎年複数人存在する環境は、そうではない環境よりも優位に働くと思います。

加えて、無名大学出身の場合、出身大学を限定するような奨学金に応募できないため、必然的に奨学金を獲得できる機会が減少します。

・実績(研究実績・実務経験)が乏しい方

学位留学をしたい理由を主張する際に、それを裏付けるだけの実績がないと、ライバルに負ける可能性が高くなってしまいます。既に実績がある方が、留学してからの実績も相応に期待できるためです。(先ほども言いましたが、将来性の主張は実績のある人が行えば効果が期待できますが、実績の乏しい人が将来性を主張しても、それほど響かないことに注意してください。)

・出身大学での成績が芳しくない方

奨学金応募に際して、出身大学での成績を加味する財団・制度があります。中でも、JASSOは成績が基準値に満たないと応募自体できませんのでご注意ください。

これからどうするか?

残念ながらどの奨学金も勝ち取ることができなかったので、現時点ではほぼ全額借り入れで賄おうと考えています。加えて、この春は応募できる細々とした奨学金に複数応募しました。どれか一つでも通ってくれると嬉しい...

クラウドファンディングをやってみようと考えてはいますが、正直私のような人間が第三者からお金を寄付していただけるのか、かなり未知数です。むしろ、集まらないような気がしています。

留学資金を借り入れで賄うのにはかなりのリスクがあることは承知しています。しかし、自らの将来を切り開いていくためには、若いうちならある程度のリスクは負ってもいいのかなと思っています。でも、額が額なので、修士課程修了後にストレートで博士課程に進学することは叶わないと思います。ある程度実務経験を積んで自己資金を貯め、奨学金の応募に再チャレンジしてから、博士課程に進むということになりそうです。

また、留学を一年延期して、今年度もう一度奨学金応募に再チャレンジするという選択肢もありますが、私はあえて選択しませんでした。その理由は、「今の自分のスキルセットでは奨学金を勝ち取れる状況にない」ということです。これは、留学を一年先延ばししたところで、そこまで劇的に変化させられる話でもないと思います。将来性だけに賭けてくれる財団は日本には存在しないと思った方がいいです。

そういうわけで、残る希望はクラウドファンディングとなったわけです... 来月あたりに始めてみようと思っていますが、どうなのでしょうか?お礼は、定番っぽい、月例生活報告や直接会ってお礼を伝えにいくのが考えられますが、自分にしかできないお礼の形はないかなと考えています...

まとめ

今回は「留学奨学金獲得失敗記」をお届けしました。

大学院留学準備において一番大変なのは、「奨学金の獲得」であることは間違いないです。

奨学金全落ちは目を背けたくなるような事実かもしれませんが、現実に起こり得ます。これから奨学金獲得を目指す方は、私のような状況にならないよう、時間の許す限りしっかりと準備していただきたいと思います。

全部落ちてショックを受けないかというと、当然のようにショックは受けています。「自分は社会にとって価値のない人間と評価された」とすら思ってしまうこともあります。本当にこれからどうすればいいのかわかりませんね...

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> 2019/07/6 追記:大学院の出願書類を公開を公開しました!UCL(University College London)とエジンバラ大学,シェフィールド大学の全てに合格した出願書類となっています.3校をまとめたマガジンも販売しています.なお,マガジンには特典として,「出願書類の書き方Tips」をまとめたnoteをつけています.ぜひチェックしてみてください!

> 2019/09/04 追記:このnoteが人気っぽいので、続編を書きました。


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