分析銘柄セルフチェック(2020年6月分)

私が投資を始めたのは2020年1月からですが、そこから2020年6月半ばまではいわゆる情弱トレーダーでした。具体的にいうと決算やファンダメンタルの数字は一切見ずに、知名度や配当金、優待ばかりを意識して株を購入していました。当然、株探なんて神サイトの存在は知っていましたが一切見ることもなく(!)株を購入していました...。

その当時購入した銘柄を、戒めを込めて列挙します。
日本たばこ産業 (JT)
ソフトバンク
KDDI
オリックス
日本エスコン
住友化学
串カツ田中
・日経ダブルインバース

...KDDIやオリックスはギリ許されますが、それ以外は自分でも悲しくなるくらいヤバイ銘柄たちですね(笑)そして6月といえばすかいらーくの権利月です。どのタイミングですかいらーくを買おうかとばかり考えていた私ですが、とあるサークルに加入して考えが一変しました。

私はサークルでファンダメンタル分析の基礎を学び、そしてその知識に基づき銘柄を選別するようになりました。サークル加入以前は株式購入後に株価が下がることが当たり前だったのですが、身につけた知識により継続的に株価が上昇する銘柄を選別することが可能となりました。それまでは配当等での利益を前提としていたため、成長株のキャピタル・ゲインがもたらす強力な利益は私にとって驚くべきものでした。

私が加入しているサークルの一つの特徴として、自身が会得した知識をアウトプットする場が提供されている点が挙げられます。具体的には、ファンダメンタル分析により銘柄を選別して自身の分析を投稿し、主催者やサークル会員からフィードバックを受けることができるのです。

私はサークル加入以降、継続して自身の銘柄分析を投稿してきました。しかしながら、投稿した銘柄というのは私が投稿当時に良いと思った銘柄です。その後当該企業の株価がどう変化したのか、そして今の私がどう評価するかを自己点検することは、今後の私の戦略を組み立てる上でも非常に重要であると思い当たりました。

ということで、本日は私が分析を行った銘柄の現状をチェックしてみたいと思います。初投稿からおよそ2ヶ月のため、やや短期から中期におけるセルフチェックとなります。長期的な成長については然るべき時に再び振り返りたいと思います。今回は6月に銘柄分析した企業のみを対象としますが、その後投稿した銘柄については来月以降にチェックしていく予定です。

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注意:投稿が遅れたため、情報がやや古くなっております。特に株価の現在値や特記事項は草稿を書き上げた時点(8/23)での数値や情報となっております。株価のアップデートも考えたのですが、安倍首相辞任に伴う大幅下落の影響で見栄えが悪くなる(笑)ため、そのままとさせていただきました。
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1. アイティメディア (2148) 6/13

サークルの銘柄分析掲示板への初めての投稿となった銘柄です。私にとって初めての投稿というだけではなく、サークル全体としての初投稿も飾れたという意味で思い入れのある銘柄です。

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[投稿時と現在の終値比較]
- 6/13:1486円
- 現在:2712円(+82.5%
(市場が休みの場合は直近の終値)

[最新四半期決算(20.04-06)における前年同期比]
- 売上営業利益:+26.2%
- 最終益:+51.4%
- EPS:+48.6%

[銘柄分析後の特記事項]
- 年間配当を2円増配
- 2020.08.03にストップ高を記録
- 2020.08.19に上場来高値を記録
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企業分析自体が初めてでしたので、右も左もわからないままファンダメンタル好調な企業かつチャート爆上げ中との理由でピックアップしました。ただ、ソフトバンクグループの子会社であったこと、そしてニュースサイトがなぜここまで絶好調なのか腑に落ちなかったので、分析投稿時には買いませんでした。

その後数週間様子見をしたところ相変わらず絶好調をキープしていたこと、そしてコロナの影響で企業のマーケティングがオンライン中心にシフトしたことが当該企業の好調さの要因であると納得できたので買いに入りました。すると7月末の決算でインパクトのある数字を叩き出し、株価はさらに成長して今でも大きな利益を生み出し続けてくれています。

確かに数週間の様子見で少なからず利益は取り損ねましたが、今振り返ってもこの時に慎重な判断をしたことは私自身評価できると思います。確実な買いトレンドが形成されてから、そして自分自身が抱える不安要素を全て解消してからの取引というのは極めて重要であると思います。初めての企業分析がかくも教訓的なものとなったことは、その後の分析や取引を考える上で非常に意義深かったと感じています。

2. テクマトリックス (3762) 6/15

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[投稿時と現在の終値比較]
- 6/15:1835円
- 現在:2325円(+26.7%
(市場が休みの場合は直近の終値)

[最新四半期決算(20.04-06)における前年同期比]
- 売上営業利益:+17.0%
- 最終益:+77.2%
- EPS:+75.5%

[銘柄分析後の特記事項]
- 2020.08.03に株価が11%超の急騰を記録
- 2020.08.19に上場来高値を記録
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これは初めて株式分割を経験した銘柄です。購入後は順調に株価を成長させていたのですが、6月末の株式分割 (1:2) で流れが変わりました。話には聞いていたのですが、これまで順調に伸びていた銘柄でも分割によりトレンドがこうまで変わるものなのかと驚いたものです。

その後株式を半分だけ売却して残りは放置していたのですが、決算が絶好調だったようで私も知らない間に利益を出していました(笑)たまたま良い方へ転がったからよかったものの、株式を保有している企業の決算日は把握しておかないといつか破滅してしまいますね...。

加えて、この銘柄の分析と取引を通してファンダメンタルの数字は嘘をつかないな、という感想を持ちました。前回決算が好調だったことから買ってみるとその後も順調に株価を伸ばしたこと、そして分割でトレンドが変わったにも関わらず絶好調な決算を出すことで再び流れが上昇に転じたことはとても印象的でした。やはり、銘柄選定を行う上でファンダメンタル分析が極めてエッセンシャルであるという認識を強く持つ契機となった経験でした。

あと株式分割に関しては、正直気にしすぎても仕方がないと思いました。株価が伸びている最中であれば分割で増えた分だけ利確しようとする人も多いでしょうし、また高すぎて買えなかった高嶺の花のような銘柄であれば多くの人が買いに走るでしょう。大事なのは方向性が不明瞭な分割前後の相場に対して自分なりの仮定を置いて博打的な対処をするのではなく、仮に分割で株価が下落に転じても保有していられるほどファンダメンタルは信頼できるか、そして他に乗り換えるべき銘柄がないかを精査することが肝要であると感じました。

3. 電通国際情報サービス (ISID, 4812) 6/17

記念すべき第一回MVCをいただいた企業です。賞金のAmazonギフト券は未だに使用せずとってあります(笑)相応しい使途を見つけて有効に活用させていただきたいと思います。

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[投稿時と現在の終値比較]
- 6/17:4935円
- 現在:5960円(+20.8%
(市場が休みの場合は直近の終値)

[最新四半期決算(20.04-06)における前年同期比]
- 売上営業利益:+9.6%
- 最終益:+46.9%
- EPS:+47.1%

[銘柄分析後の特記事項]
- 2020.07.16に上期経常を33%上方修正・最高益予想を上乗せ
- 2020.07.17に株価が急騰し、年初来高値を更新
- 2020.08.20に過去19年間での最高値を記録
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これはスクリーニングでピックアップしたSHIFT (3697) を紹介しようとしたらすでにオニールリスト入りをしていたので、急遽引っ張ってきた銘柄です。サークルでは分析がされていなかったのでそのまま投稿してもよかったのですが、「オリジナリティのないことは評価しない」という自身の考えに従い、その結果MVCをいただけたので良かったです(笑)

ここを選んだ理由は、何よりもチャートの形が綺麗だったからです。長期間に渡りここまで順調に株価を伸ばしているのは素晴らしいの一言に尽きます。そして株価の上昇を裏付けるように、ファンダメンタルの数字も素晴らしいものでした。大きな成長はみられませんが、安定して高い水準で成長しているので長期でも安心して買うことができます。

また、ビジネスモデルが非常に時代とマッチしていると感じました。親会社である電通のシステム構築のみならず、公共向けの仕事も受け持っていると四季報に記載がありました。今後は様々な情報が電子化されていくので、官公庁からの仕事を受注できるというのは大きな強みになると感じました。

この銘柄は一度利確したのですが、株探で上方修正を発表するとの情報を得たので再び購入して大きな利益を得ました。下落時も上昇時も割とわかりやすく動くので、短期トレードでは今でも良くお世話になる銘柄です。

しかし上記ビジネスモデルが将来性のあるものであること、そしてチャートもファンダメンタルも絶好調なことからぜひ長期で持ちたいと考えています。オリンピックが中止となり親会社の電通が倒産でもしない限り、今後もしばらくは好調さを継続するものと考えています。

4. ソフトウェア・サービス (3733) 6/19

ここには愛憎入り混じった複雑な感情を抱いています(笑)

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[投稿時と現在の終値比較]
- 6/19:12300円
- 現在:11110円(-9.67%
(市場が休みの場合は直近の終値)

[最新四半期決算(20.02-04)における前年同期比]
- 売上営業利益:+27.3%
- 最終益:+0.7%
- EPS:+0.7%

[銘柄分析後の特記事項]
- 2020.06.19の2Q決算発表直前に上場来高値を記録
- 2020.06.19大引け後に発表された2Q決算で、過去最高の四半期売上を記録
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この企業は電子カルテを中心とした医療現場の電子化というビジネスモデルに惹かれました。従来の紙で管理された患者情報を電子データとして管理できるようになれば、私たちが享受できる医療サービスの質は確実に向上すると思います。また疾病等を抱えている方が旅行等でかかりつけ医にすぐ診てもらえないケースでも、電子化された情報であれば日本全国どこにいても原本を医療機関間で迅速に共有することが可能となります。そのようなビジネスの観点から、電子カルテで20%のシェアを持つ当該企業にはかなりの期待を持ちました。

当然ながらファンダメンタルの数字やチャートもチェックしました。私は確実に良い決算が出るだろうと確信し、日計りでの信用買いをしました。ここでやめておけばhappyだったのですが、やはり企業のビジネスモデルに期待してしまったので長期も考えてしまい、swing目的の信用買いもしてしまいました。これが良くなかった。

結果、当日決算直前で株価が上昇して日計りの分は10万円程度の利益が出ました。しかし決算は好調ながらも進捗率が芳しくなく、翌日の後場からは下げが続きました。まあまた上がるだろうと高を括っていたら、あれよあれよと株価の下げは続き、最終的にswingの分は8万円近い損失を抱えて返売を行いました...。

やはり、トレードというのは趨勢を読まなければならないのだと痛感した銘柄でした。いくら将来のビジネスに期待が持てても、今の評価が悪いのであればすぐに見切りをつけるべきなのです。特に保有期間が定まっており、かつ保有手数料も日増しにかさむ信用取引であるならばなおさらです。

今でも当該企業のビジネスに期待していることに変わりませんし、またトレードで利益を出してくれたことは確かです。ですが、それ以上にトレーダーとしての心構えを示唆してくれたことに対して大変感謝をしています。...さらにそれ以上に、決算後に株価が下がり続けていた時に抱いたあの気持ちは決して忘れられません(笑)

5. 日本オラクル (4716) 6/22

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[投稿時と現在の終値比較]
- 6/22:12160円
- 現在:12760円(+4.93%
(市場が休みの場合は直近の終値)

[最新四半期決算(20.03-05)における前年同期比]
- 売上営業利益:-0.2%
- 最終益:+11.8%
- EPS:+11.7%

[銘柄分析後の特記事項]
- 2020.06.25大引け後に発表された4Q決算で、9期連続での過去最高益を記録
- 2020.08710に過去18年間での最高値を記録
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ここは正直あまり思い入れはありません(笑)概ねイチローのような5 tools playerは出尽くした感があったので、多少成長が鈍化していてもまだ多少は伸びる余地のある企業をと思ってピックアップしました。

私はオラクルと聞くと図がずれまくるopen officeのイメージが強かったです(笑)でも大多数がfreeであるLinux/UNIX系OSにおいて、しっかりと有料での保守管理やサポートを行うSolarisを提供してくれているというのは貴重だと思います。実際、顧客との大きな契約が絡むスパコン等のHPC業界ではSolarisを使うことも決して少なくないですからね。

多分急に当該企業にケチがつくこともないですしビジネスモデルが悪化することもないと思うので、社会情勢によって多少ブレつつも今後も静々と成長していくと思います。ただ、株価が高すぎますし大きな利益も狙えないので、お金が余らない限り私が買うことはないでしょう(笑)

6. GMOペイメントゲートウェイ (3769) 6/24

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[投稿時と現在の終値比較]
- 6/24:11830円
- 現在:11830円(+/-0.00%
(市場が休みの場合は直近の終値)

[最新四半期決算(20.04-06)における前年同期比]
- 売上営業利益:+40.0%
- 最終益:+39.9%
- EPS:+39.5%

[銘柄分析後の特記事項]
- 2020.08.07に20年9月期の連結売上高を14%下方修正
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ここは電子決済の大手ということで面白いなと思いました。2020年6月まで政府がキャッシュレス決済の還元を打ち出していたことに加え、コロナによる非接触の支払いがより推奨されると予想されたからです。加えて、外出自粛による通販利用件数の増加により、電子決済分野の株価が軒並み上昇傾向にあったことも注目した大きな要因の一つです。

6月初頭から株価の伸びが頭打ちになっていましたが、8月に誰もが納得する決算を出すことで再び上昇に転ずることを期待していました。ところがGMO-PGは8/7に売上高の下方修正を発表しました。8/11発表の決算では前年同期比を上回る素晴らしい決算を出したのですが、やはり下方修正が尾を引いたのか株価はやや下落し、その後は横ばいを続けています。私は高すぎて買えなかったのでノーダメージでしたが、紹介した銘柄が期待外れになったことには落胆しました。

この企業について反省すべき点は、ソフトウェア・サービスと多くの部分で重複しています。いくらビジネスモデルや企業の強みを高く評価できても、市場に今現在評価されていなければ長期以外で保有する理由はないということです。どうしても製品やサービスに対して良い印象を持ってしまうと、私たちはその銘柄に対して惚れてしまいがちです。しかし、利益を求めるのであればそれは決して抱いてはいけない感情です。企業を好きになることは大いに素晴らしいと思います。ですが、その好意は今後も継続的にその銘柄をチェックし続ける程度に留めておかないと、結果的に大火傷をするのは自分であると強く認識させてくれた銘柄たちでした。

7. ジャパンエレベーターサービスホールディングス (JESHD, 6544) 6/29

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[投稿時と現在の終値比較]
- 6/29:3460円
- 現在:3860円(+11.6%
(市場が休みの場合は直近の終値)

[最新四半期決算(20.04-06)における前年同期比]
- 売上営業利益:+8.6%
- 最終益:+96.6%
- EPS:+94.5%

[銘柄分析後の特記事項]
- 2020.08.04に上場来高値を記録
- 2020.08.21に米国のCapital Research & Managementが株式保有割合を増加
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この銘柄をスクリーニングで発見した時はかなりときめいたのを覚えています(笑)企業のビジネスモデル、成長性、そしてチャートの推移とどれをとっても素晴らしかったのです!

現在の建築基準法では31mを超える物件でなければ設置義務がないとはいえ、多数のマンションや商業ビルでは利用者の利便性のためエレベーターが設置されているというのが実情です。また高齢化が進む日本においては、広い土地を確保できる郊外地でなければ一戸建てであっても将来を見据えて家庭用エレベーターを設置するケースが増加することが見込まれます

しかしながら、これまではエレベーターのシェアは大手企業が独占してきたように思います。皆さんもエレベーターで目にしたことのあるロゴは、多くの場合三菱や日立、東芝だったのではないでしょうか。ところが、エレベーター業界では2020年問題というものがあるようです。要は数十年前に設置されたエレベーターの補修用部品等が確保困難となりサポート継続不可が生じ、エレベーターそのものの交換需要が増加するというものです。

これはJESHDにとっては強い追い風であるように思いました。なぜならば数十年前であれば大手ブランドへの信頼性は揺るぎないものであったのでシェアを独占できたでしょうが、今はブランドを問わず良いものを安く提供できる企業が評価される時代です。独立系企業であるJESHDはコスト力に強みを持っているため、大手の牙城を切り崩す絶好の機会であると感じました。そして一度設置されたエレベーターは建物の改修やエレベーターの耐久期限を迎えるでは交換されることはないため、数十年という長期のタイムスケールでの保守作業等による継続的な収入が約束されているのです。

このような期待を持ち本銘柄を購入したのですが、決算後に大きく株価を伸ばした後はやや停滞しているように思います。しかし、これは8月中旬から下旬にかけて相場が割安株やマザーズ株に大きく偏ったことも影響をしていると思います。当然決算後の調整によりやや下げた後はしっかりと戻しておりますし、何よりも米国の大手機関投資家が保有割合を増加させたこともプラス評価となります。

エレベーターの2020年問題は短期的に解決するものではないので、私は数年のタイムスケールで保有して成長を見守りたいと考えています。むしろ、今停滞している状況は買い増しをする最後のチャンスだと捉えてすらいます。今は分析から2ヶ月しか経過していないため、私の目論見が正しいか否かを判断することは極めて困難です。分析してから四半期が経過する来月下旬、そして次回決算が発表される11月にどのような状況になっているのかを私自身とても楽しみにしています。

最後に

分析をした銘柄、そして実際に購入した銘柄を自己点検をしてみて、様々な反省点を発見できました。6月はサークルで他の方が取り上げた銘柄がまだまだ少なかったため自由に企業を選べたので、私自身の傾向を無バイアスに観測することができたという点は極めて重要です。

まず、私は株価が1万円を超える銘柄は短期・中期に関わらず触らない方が無難なようです(笑)これは大損をしないためにも極めて重要な発見ですw

そして少なくとも現時点では、私は数ヶ月単位で着実に伸びる銘柄を見つけることには成功しています。これらを来月以降もチェックし続け、今後の分析や企業選別に生かすことが何よりも重要であると感じています。

現在の私に何よりも足りないものは経験です。いくらファンダメンタル分析ができるようになり、そしてチャートから中期的な動きが予想できるようになっても、実際のトレードでそれを実感して自身の武器とならなければ学んだことにはなりません。少なくとも今はサークルに加入した6月半ばから学んできたことは間違っていなかったという実感を持ちつつ、継続して分析やトレードを行っていきたいと思います。