粋な店主とOasis
僕がハナタレ小僧のときから定期的に通っているとあるカフェの話。
教職をリタイヤされた店主が奥さんと営んでいるカフェで、夜は完全予約制でディナーもやっている。食材にとことん拘っていて、オーガニックの野菜や県内産のお米を使ってるらしい。
大人向けの薄味が特徴で、正直小学生の時はあまり良さが分からなかった。(今は大好きな味ですが)
これがまた絶品なのに安い。
このディナーが800円くらいで食べれるという
塩分も価格も控えめなスタンス。
何でも値上げの今のご時世でもそれは昔から変わっていない。
料理も勿論素敵なのだか、店内空間にも店主のこだわりが詰まっていてる。
レコードやCDのコレクション、真空管アンプをはじめとした本格的なオーディオ機材が店内を囲むように並んでいる。音楽好きにはたまらない空間だ。
そんなお店でのとあるエピソードを紹介する。
高校生の時、学祭でオアシスをやるんだ*と言ったらマスターがどこからかCDを引っ張り出してきてて名曲"Whatever"を流してくれた。他のお客さんもいるのにお構いなしの大音量で。
どちらかといえば寡黙なマスターという印象だが、心に宿したロック精神は計り知れない。
(*筆者はバンドをしていました)
それから少し時が経って、大阪で進学した専門学校も卒業する年。地元に帰省したタイミングで久々に店に立ち寄ってみた。
ポストコロナで3年以上ぶりなのに、いつもと変わらない立ち振舞いと、いつもと変わらない味で迎えてくれた。
もうお酒も飲める年齢になっていたので、その店で初めてビールをオーダー。ここの料理は酒とも合うんだなと感慨深くなっていると、店主がCDラックをガサガサし始めた。なんとなしにその様子を見ていると、それまで流れていたジャズがストップ。
"Whatever"のあのイントロが流れ始めた。
「あの時より音デカいな〜」と思いながら音楽、美味しい料理と酒を楽しんだ。
そんなちょっとしたエピソード。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?