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ニンジャスレイヤーTRPGリプレイ【リトル・バード・ファインズ・オールド・クロウ】#2

この記事は2022年4月29日に行われたニンジャスレイヤーTRPG ソロPLシナリオ「リトル・バード・ファインズ・オールド・クロウ」(NM:ANIGR、PL:楓)の内容をベースにしたテキストです。
加筆を含む諸々の手入れを行っています。「そういう物」として御覧ください。
#1はこちら


本編

■ネオサイタマ、ノビドメシェードの一角■

重金属酸性雨は降り止まず、広告のマイコ音声とともに降り注ぐ。
バイオイヌが水たまりをかき分け進む隣で浮浪者が倒れ、死骸を晒している。
ネオサイタマの中でも特に治安の悪いこの裏路地は、密談をするには格好の場所に思われた。
シルバーカラスは速度を緩めると、廃ビルの一つの前で足を止めた。

スピットファイア:「(相変わらず汚い通り。ここの管轄は……ま、誰が担当だろうと変わるもんじゃないだろうけど)」
シルバーカラス:「入っていいぜ。俺の家じゃないがな」そう言うとシルバーカラスは建物の中に足を進める。
スピットファイア:「あーあ、不法侵入…」
口では咎めるような事を言うが、スピットファイアもそこまで気にしていない。ノビドメシェードとは、謂わば法に見捨てられた領域でった。

――そこには薄汚れたUNIX基盤と、冷蔵庫があった。
どちらもボロボロの廃品に偽装してあるが、まだ“生きている”ことがスピットファイアのニンジャ感覚で分かる。この建物はセーフハウスのようなものなのだろう。
冷蔵庫の中からケモビールを二本取り出すと、シルバーカラスはソファに腰掛けた。スピットファイアに対してはこれまたボロボロの椅子を目で指す。
スピットファイア:「立派なお部屋。女の子を連れ込むのにピッタリじゃないの」
シルバーカラス:「お褒めの言葉と受け取っておこう」ケモビール瓶を投げ渡す。
スピットファイア:「ドーモ」素直に受け取るが、手は出さない。得体の知れないニンジャと廃屋でビール瓶を片手に語らう事ができる程スピットファイアは礼儀作法に精通していない。
シルバーカラス:「そんなに警戒しなくていいぜ。元々半分気まぐれなんだ」自分は瓶を半分ほど飲み干すと、UNIXへと向かう。
スピットファイア:「そういう事を言う男ほどアブナイって誰かが言ってたけどな…それで?私と一体どうするつもりなの」
シルバーカラス:「言ったろ。ビズが思ったより骨が折れる内容だったんでな」キーボードを面倒くさそうにポンポンと叩く
UNIXの画面には、あちこちの防犯カメラ映像とおぼしきものが映っていた。
スピットファイア:「ワオ…本業は警備員?それとも覗き魔?」
軽口を鼻で笑って受け流すと、シルバーカラスは続けた。
シルバーカラス:「これはNSPDが管理している防犯カメラ大体にアクセスできる。理由は知らんが」
理由は知らないと流しているが、これも裏でNSPDと闇社会間におけるなんらかの汚職の産物であることは間違いない。
スピットファイア:「(親父が見たら怒り狂うかな、それとも気まずい顔になるのか)」
そしてそれを利用できるシルバーカラスの立場も自ずと伺い知れる。闇のエージェント……。これまで会ってきたどのニンジャよりも強力なニンジャだ。
シルバーカラス:「これで指揮官機を探したいが、ネオサイタマは広い。ある程度位置を掴まないとどうにもならん」
シルバーカラス:「お前さんがNSPDの人間なら、情報をNSPDから取れるだろう。敵指揮官機の大体の場所を絞ってくれ」
シルバーカラスの言葉に喉の奥に小骨が刺さったような感覚を覚える。
憧れ。誇り。愛着。スピットファイアにとってNSPDとはそういった存在であった。今や仲間達の姿は血風の果て、遠くにぼやけている。
スピットファイア:「元、だよ。聞き出せるかは…やってみないと分からない」
シルバーカラス:「見返りは……正義のボランティアにはそのビールで十分だろう」
シルバーカラスはそう笑ったが、指揮官機をこの男が倒すこと自体が十分な”見返り”であることは間違いなかった。
スピットファイア:「多くは望まないさ、『われらは社会の忠実な僕』…」
欺瞞的なマッポのモットーを口ずさむ。
「交渉成立だな」シルバーカラスはメンポの奥の無表情を変えずに言った。

スピットファイアは今から自身のコネ・交渉・知識を使って暴走兵器の指揮官機がネオサイタマのどこにいるのかを把握しなければなりません。
情報をうまく聞き出すには交渉スキルが有用です。
さらに、暴走兵器の行動を予測するのにスピットファイアの知識が役に立つでしょう。暴走兵器の機動力はビークルとよく似ており、その行動をある程度予測できます。
無論、これまでの犯罪知識も役に立つでしょう。

交渉判定(ワザマエ) ・知識判定(ニューロン) の2回の判定で合計成功数4つ以上が出れば成功です。
交渉・知識スキルは交渉は2,知識は1ずつダイスを追加できます。
あわせて4つ以上成功になれば、スピットファイアは指揮官機がネオサイタマのどこにいるかを突き止めることが出来ます。
交渉判定:ワザマエ6+共感2 計8個
知識判定:ニューロン4+知識(公僕の流儀・ビークル・犯罪)3 計7個

NinjaSlayer : (8B6>=4) → 5,3,4,4,2,3,2,4 → 成功数4
NinjaSlayer : (7B6>=4) → 3,4,1,6,3,5,4 → 成功数4

NM:予想より遥かに強かった
PL:NSPD口軽すぎ疑惑

スピットファイア:「親父は今頃てんやわんやだろうし…」
スピットファイア:別の元同僚にコールします

スピットファイア:「(今夜シフト入ってるよな…出てくれよ)」
???:『……モシモシ』
何回かのコールの後、聞き覚えのある声がつながった
スピットファイア:『勤務中にスミマセン…アカネです』
スピットファイアの声色から先程までの威勢は消え、セビ・アカネの面影が姿を現す。
マスハナ・ノゾミ:『……アカネちゃん? 久しぶりじゃない、元気してた?』
のんびりとした声が返ってくる。これで敏腕デッカーだというのだから、世の中はわからない。

◆マスハナ・ノゾミ (種別:モータル)
NSPDのデッカー。セビ・アカネ(スピットファイア)の先輩にあたる。
主な役割は情報分析等の後方支援である一方、取り調べの名手としての側面も併せ持つ。

アカネ:『…おかげ様で生きてますよ、しばらく顔出してなくて…申し訳ない』旧知の仲の声を聴いてスピットファイア――アカネの表情がほんの少しだけ和らいだ。
ノゾミ:『良かったわ、心配してたのよ。でもこちらこそゴメン、こっちも忙しくって……』
ノゾミ:『知ってる? 暴走兵器が街中で暴れてて』
アカネ:『ええ、その件で相談が』
ノゾミ:『――なるほど、聞くわ』声色が変わる。
アカネ:『野暮用で私もその暴走兵器を追っています。思うにあのテの兵器は親機と子機の構成で動く…ような気がしていて。親機の所在をつかんで直接叩ければ、騒ぎも収まる…んじゃないかなと』
アカネ:『…ブリキ缶共がコマンド&コントロールに徹するのに良いロケーション、心当たりありませんか』
『ほお』驚いたような声が返る『……機械が苦手だったアカネちゃんにしてはずいぶん鋭いじゃない』
ノゾミ:『けどアタリよ。私達もそのセンで対策を考えていたところ』
アカネ:『…まぁ、姐さんの後輩ですから、ね』
シルバーカラスの横顔を見つつ若干声のトーンが弱くなる。シルバーカラスは話を聞いているのかいないのか、泰然自若に煙草をくゆらせている。

ノゾミ:『本来部外者に話してはいけないことだけど……アカネちゃんを信用するわ。聞いてきた理由も大体察せるし』
アカネ:『恩に着ます、どんな情報でもありがたい』
ノゾミ:『暴走兵器達は市民を殺傷しながら常に移動してるけど、指揮官機グループとおぼしき集団がいるであろう地点はだいたい3つの地域に絞れてる。そっちのIRCにデータを送るわね』
ノゾミ:『地域と言ってもまだ範囲が広いから、本当は足を使ってもっと絞りたいところなんだけど……なにぶん、皆現場対応で出払っちゃっててね』
ノゾミ:『頭脳労働担当はお姉さんくらいで、おっつかなくなってるのよ』小さなため息。
アカネ:『今頃そちらはお祭り騒ぎでしょうね』懐かしい情景を瞼の裏に思い浮かべるかのように、そっと目を閉じてノゾミの愚痴に応える。
仲間達と共に待機室を飛び出し、"社会の敵"を追いかけていたあの血生臭い時間は、セビ・アカネにとっては間違いなくかけがえのない青春だったのだ。
ノゾミ:『……送ったわ。ねえアカネちゃん、無事だったのなら戻ってくるつもりはないの?』
アカネ:『……まだ、わかりません。戻れるのか、戻るべきなのかも。ずっと考えてると訳分からなくなっちゃうから…今はとにかく走って、走って…ぶっ倒れた後、もう一度考えてみます』
アカネ:『情報確認します。ありがとうございます』
ノゾミ:『……わかったわ、でも無理はしないでね。あの人も口では雑だけど、いつも心配してるのよ』サハリのことだろう。
アカネ:『そうですか…直接会う機会があれば、確かめてみますよ。 姐さんもカラダニキヲツケテ』
ノゾミ:『ええ、オタッシャデ』

通信はそこで切れた。IRCには先輩デッカーが送ってくれたデータが点滅している。これにスピットファイアの知識と経験、そして少しばかりのカンを加えれば相当に候補を絞ることが出来るだろう。

「なにかわかったなら、こいつに情報を食わせて現地を確認する」カメラ網UNIXを叩きながらシルバーカラス。
スピットファイア:(胸になにか暖かい物を感じながらデータを紐解く)
スピットファイア:「これは位置情報、かな…ソイツに転送する」
シルバーカラス:「……ヨシ、後は少し待てば終わりだ」画面に処理中を意味するウサギとカメが走る画面が映る。

シルバーカラス:「終わり次第またイクサだが……」
そこで言葉を切ったが、言外についてくる気か、と聞いているようだった。
スピットファイア:「…そうだな。ここで気張ってもクライアントの金払いがよくなるとは限らないけど…」短い沈黙。
スピットファイア:「連れてけよ。乗り掛かった舟だし、アンタのカラテも気になる。実地研修って奴だ」
シルバーカラスがメンポの奥で目を細める。何かに思いを馳せているような遠い目。

煙をひときわ大きく吐き出すと、シルバーカラスは目線をスピットファイアに向けた。
シルバーカラス:「アー……お前はニンジャになってからどれくらいだ? そう長くはないだろ」
予想外の問いかけに一瞬キョトンとした表情を浮かべるスピットファイア。
スピットファイア:「否定はしないよ。ひと月…ふた月は経ったか。駆け出しって奴。」
シルバーカラス:「だろうな。ふた月経ったってんなら正直まだ生きてるのが幸運なくらいだ。……アー、警戒するな、別に説教しようってんじゃない。単に事実だ」
スピットファイア:「親父みたいな事言いやがる」
頭を掻きながら視線を背けるスピットファイア。的を射た指摘だが、情緒的な反応をしてしまう。
シルバーカラス:「それで、その”正義のヒーロー”は今後も続けていくつもりか?」
スピットファイア:「……そうだな…走って、撃って、殴れる内は。コレがずっと目指してきた道なんだ。ニンジャになったくらいで諦めてたまるかよ」
マッポであった亡き父親の姿がスピットファイアの脳裏をよぎる。
シルバーカラス:「その結果が粗末な死でもか? ブッダはお前の意気を汲んじゃくれないぜ」
自分より強いニンジャに会ったこともあるだろう? とシルバーカラスは付け加える。
スピットファイア:「……血反吐を吐きながらマッポやって、死ぬような思いもして…実際、最後は死んだようなもんだ。『スピットファイア』はアタシがジゴクに行く前の有休消化みたいなもんだよ。なら、最後は好き勝手やるさ」
シルバーカラス:「…………」
シルバーカラスは少しの間スピットファイアの言葉を反芻すると、小さく笑った。

シルバーカラス:「おい、ちょっと立ってカタナを構えてみろ」
スピットファイア:「あぁ?」
背負ったショットガンに目をやり、その次にブラッドカタナに目をやる。
シルバーカラス:「何でも使うスタイルは良いが、全部力づくじゃな。折角の業物が泣いてるぜ」
スピットファイアにとってカタナとは「折れずにぶった斬れるなら何でも良い」存在であったが、己の一振りは自分で思うよりも価値のある物らしい。
スピットファイア:「…これでもケンドーの腕は課でもまずまずだったんだけどな。ニンジャになった瞬間、身体が忘れちまった」
怪訝な表情のままだが言われた通りにカタナを鞘から放つ。
シルバーカラス:「ニンジャは腕力でだいたいのことがこなせる。だから細かいワザマエが疎かになる」シルバーカラスはまるで見てきたように言った。
シルバーカラス:「だが、イアイの本質は綺麗な一撃だ。ワザマエをカタナに伝えて――」
シルバーカラスはそこで面倒になったようだ。
シルバーカラス:「三回だけ手本を見せてやる。真似して振ってみろ」
そう言うと、机の上に散らばっていたコインを跳ね上げ、カタナを振る。
精密なイアイはコインを弾くことすらせず、2つに断ち割った。

シルバーカラス:「力に頼るな。ワザマエが先で、力が後だ」
スピットファイア:「禅問答みたいな事言いやがる。三回こっきり見たくらいじゃ何も変わらねえって」

NM:とりあえず攻撃判定してみてください。最初は難易度UH2

NinjaSlayer : (8B6>=6) → 1,3,5,3,4,4,4,3 → 成功数0

スピットファイア:「イヤーッ!」
いつも通りの薙ぐような一閃。クローンヤクザが相手なら背骨ごと叩き切る斬撃であったろうが――コインはスピットファイアを嘲笑うかのように宙を舞う。

シルバーカラス:「変わるさ。たしかに水門が閉まった湖に雨が降っても川には水が流れない。だが基礎カラテが一度水門を開けば――」
笑うことも励ますこともせず、シルバーカラスがコインを再び断ち割る。
今度は十字に4つに断ち割られていた。
スピットファイア:「…」舌を巻く

NM:判定をどうぞ、今度は難易度UHです。

NinjaSlayer : (8B6>=6) → 4,1,2,4,1,6,3,4 → 成功数1

PL:おお?
NM:成功!

コインが弾かれて床を転がる。
だが……コインはひとしきり転がったあと、2つに割れて倒れた。

スピットファイア:「…どーよ?」
シルバーカラス:「思ったより覚えが良い、まるでニンジャだ」
スピットファイア:「ハッ!」不機嫌そうな声をあげるが、表情に攻撃性はない。
シルバーカラス:「今のワザマエが先導した一撃に、カラテをこめる。それがイアイだ」

シルバーカラスが三度目のコインを投げ上げ、斬った。
だが、今回のそれは今までの曲芸じみたそれとは違い明らかに実戦を意識した力のこもった一撃。
先程ヤブの装甲を切り裂いた一撃と同様のカラテをして――
コインは前回までと同様にきれいに2つに断ち割れていた。
「やってみろ」

NM:では難易度HARDを強攻撃で+1……つまりもう一度UHでやってみてください。
NM:即応ダイスやアドレナリンブーストの使用方法はわかりますか?
PL:(即応忘れがち問題)
PL:3つ入れてみます。アドレナリンは温存

NinjaSlayer : (11B6>=6) → 3,3,2,5,2,2,3,1,6,2,1 → 成功数1

一瞬の精神統一。目はコインを追わない。先ほどの肌触りを思い出すように、『ワザマエが先』というゼンめいた言葉の答えを探るように、虚空に一閃。
スピットファイア:「イヤーッ!!」

ヒュッ……という予想外に軽い感触とともに、2つになったコインが床に落ちた。
嬉しいとも、驚きともつかない表情で割れたコインを手に取り眺める。
シルバーカラス:「まあ、そんなもんだろ」

◆成功ボーナス このシナリオ中のみ、◎◎タツジン「イアイドー」が使用可能になります。

シルバーカラス:「後は死なないように自分でやっていけ……処理が終わったようだな」
シルバーカラスは再び興味なさげな声に戻ると、UNIXの画面を見た。
スピットファイア:「…これはただの興味で聞くんだけど」
スピットファイア:「アタシもニンジャ犯罪のヤマは何度も踏んだけど、こんなワザマエを見せる奴は見たことが無かった」
スピットファイア:「大したワザマエだよ。これで食っていける。マッポ、曲芸師、センセイ…いくらでも使い道があるだろうさ」
スピットファイア:「アンタはそのワザマエ…何に使ってきたんだ?」
シルバーカラス:「……さあな、カネのためだろ」
シルバーカラスのメンポの奥の目は虚無にも近く、何の感情も映っていない。
スピットファイア:「…そうだな…そうに決まってるさ」
スピットファイアもそれ以上は何も訊かず、ただ汗をかいた瓶ビールの栓を抜き、勢いよく飲み干した。


◆◆◆◆◆

■ネオサイタマ・テヌギー地区・市立公園■

モーターヤブ:「モーターヤブは賢く強い!!」
BRATATATATATATATATATA!!!

巨大な機関銃が公園を破壊!破壊!破壊!
オーエル:「アイエエエエエ!? アバーッ!?」
サラリマン:「アバーッ!?」
スモールヤブ:「破壊します力です破壊しますパワーです力こそパワーワワワワッワワ」

色付きの風と化して走る二人が向かう先はすでにアビ・インフェルノと化していた。
シルバーカラス:「あそこのようだな」
スピットファイア:「殺人、器物損壊、迷惑防止条例違反…これ以上好き勝手させてたまるか」
シルバーカラス:「デカブツが2、小物が5か……左側の方を任せるぞ」
シルバーカラスはそう言うと、小型ヤブを引き連れた一団へと走っていく。
スピットファイア:「アイヨ、センセイ」

モーターヤブ試作型:「ピピピピ……敵反応。暴徒と判断」
モーターヤブ試作型:「モーターヤブは常に投降を受け付けています。いまから5秒以内に両手を上げて下さい」
モーターヤブとスモールヤブのコンビがスピットファイアを敵と判断し、銃口を向ける。
スピットファイア:「空き缶共ォ!武器降ろして地面に横なれオラー!できねえなら叩き落すぞ!」マッポフリーズコール!
モーターヤブ試作型:「ピピピピ……投降を受け付けました、ありがとうございます。ホノオ!!」
応えるように銃弾がばらまかれる!

戦闘開始

シルバーカラスが受け持っている戦闘は描写のみで判定は省略されます。

●1ターン目

スピットファイアの手番
モーターヤブ試作型:「ピピピピピ……ニンジャ反応、危険、危険……」
スピットファイア:「ワザマエが先…ワザマエが先…ダメだ、まだわからねえ。実地で試すっきゃねえな」
スピットファイア:上に3マス移動→強化精密攻撃

NinjaSlayer : (8B6>=4) → 6,1,4,4,2,1,6,5 → 成功数5
NinjaSlayer : サツバツ表(2) → 「観念してハイクを詠め!」頭部への痛烈なカラテが命中! 眼球破壊もしくは激しい脳震盪が敵を襲う!
 『痛打+1』。敵の【体力】を減らした場合、付属効果として『ニューロンダメージ2』と『ワザマエダメージ1』と『●部位損傷:頭部』を与える。

NM:2ダメージ+ワザマエダメージ!

スピットファイア:モーターヤブの眼前で跳躍!肩に乗り首元へ精密な斬撃!
モーターヤブ試作型:「ピガガガーッ!!」装甲の隙間を狙った精密な一撃が首元のケーブル切断!
モーターヤブ試作型:「ピガッ、ピガガガッ……!」ヤブのカメラアイに異変!射撃の照準が乱れる!(サツバツ効果・ワザマエ-1)

敵NPCの手番
モーターヤブ試作型:「ピガッ、ピガガガ……!」

マシンガン・アーム:
銃器、連射4、ダメージ1、チェーンターゲット、射撃難易度:NORMAL
(※ワザマエが1落ちているため、1発は自動失敗)
NinjaSlayer : (3B6>=4) → 3,4,5 → 成功数2

モーターヤブ試作型:「ホノオ!」BRATATATATATATA!
銃弾の雨がスピットファイアを襲う!

NM:2ダメージ、1発。回避どうぞ!
PL:回避3つ使います

NinjaSlayer : (3B6>=4) → 4,5,3 → 成功数2

「キャハハ!」素早く肩から降りて股下を潜り抜けるスピットファイア!
モーターヤブ試作型:「ピガーッッ!!」

スモールヤブの行動

ミニガン・アーム:
銃器、連射3、ダメージ1、射撃難易度:NORMAL
NinjaSlayer : (3B6>=4) → 5,1,2 → 成功数1

スモールヤブがモーターヤブを援護するように弾幕を展開!
BRATATATATA!

NM:1ダメージ1発、回避どうぞ
PL:もう一度3個回避

NinjaSlayer : (3B6>=4) → 3,3,2 → 成功数0

BRATATATATATA! 銃弾のうち1発がスピットファイアの体を掠める!
スピットファイア:「ンアーッ!ファック!」破壊的なエネルギーがスピットファイアの腕を襲う!ニンジャ反応速度が奏功し間一髪、スピットファイアの腕は消失を免れた!

シルバーカラス:「…………」
スモールヤブ:「ピガーッ!」
スモールヤブ:「ピガガーッ!」
背後の爆発がスピットファイアの背中を照らす。
スピットファイア:「見せつけてくれるよなぁ…!」
"センセイ"の美技を視界の端に捉えたスピットファイアはその姿に苦笑しながら小さく言葉を洩らした。

●2ターン目

スピットファイアの手番
スピットファイア:集中→強化強攻撃

NinjaSlayer : (8B6>=4) → 1,5,6,2,5,3,1,6 → 成功数4
NinjaSlayer : サツバツ表(3) → 「苦しみ抜いて死ぬがいい!」急所や内臓を情け容赦なく破壊!
 『痛打+1』。敵の【体力】を減らした場合、付属効果として『ニューロンダメージ1』と『精神力ダメージ2』と『●部位損傷:胴体』を与える。

スピットファイア:「オドー!!」
『セビ・アカネ』の感覚が戻りつつある。敵前での立ち回りがガイドラインめいて視界に光る。その線上を踊るように機動し、痛烈な一閃。
モーターヤブ試作型:「ピガッ……ピガガガガーーーッ!!」
先の戦いの力任せな一撃とは違う、装甲の隙間を通しそのまま内部を破壊する強烈な一閃!
スピットファイア:「(…斬れる。何故斬れる。分からない。でも今は感じるままに…!)」
シルバーカラス:「……フッ」

敵NPCの手番
モーターヤブ試作型:「ピガッ、ピガガガッ……!」
カメラと股間部分を破壊され、モーターヤブがよたつく。
モーターヤブ試作型:「オムラは決して破れません。なぜなら力こそパワーだからです」
モーターヤブ試作型:「モーターヤッター!!」
会社の名前を高らかに叫びながらサスマタ攻撃!

NinjaSlayer : (6B6>=4) → 4,4,2,3,6,2 → 成功数3

NM:威力2,1発!
PL:3コ回避

NinjaSlayer : (3B6>=4) → 5,2,1 → 成功数1

スピットファイア:「イヤーッ!」半身分の回避でサスマタの一撃を回避!

オーエル:「ス、スゴイ……ニンジャ……ニンジャナンデ……?」
サラリマン:「アイエエエ……オムラ……? オムラ重工……?」

スモールヤブ:「スモールヤブは暴徒を殺害します!」
スモールヤブ:サスマタ攻撃

NinjaSlayer : (4B6>=4) → 6,4,3,2 → 成功数2

スピットファイア:もう一度3コ回避だ

NinjaSlayer : (3B6>=4) → 4,3,2 → 成功数1

「イヤーッ!」間髪置かずに繰り出された一撃を今度はバク転回避!
スピットファイア:「オムラの技術力もこんなもんかよ!!……ん、オムラ?オムラってあの?」

スモールヤブ:「皆さまを守るオムラのマシンガン!」
社名に答えて宣伝マイコ音声! 悲しき杜撰なAIのサガだ!
サラリマン:「オムラ……この暴走兵器達オムラのせいなのか……?」
シルバーカラス:「……」
スピットファイア:「随分なビッグネームが出てきたな…!明日の朝刊が楽しみだ」


●3ターン目

スピットファイアの手番
スピットファイア:集中→強化強攻撃

NinjaSlayer : (8B6>=4) → 2,4,1,2,6,2,6,2 → 成功数3
NinjaSlayer : サツバツ表(1) → 「イヤーッ!」腹部に強烈な一撃が命中! 敵はくの字に折れ曲がり、ワイヤーアクションめいて吹っ飛んだ!
 『痛打+1』。敵の【体力】を減らした場合、付属効果として『弾き飛ばし』を与える。

NM:ホームランだ!

モーターヤブの機銃掃射!鉄の暴風が路面を舐め、弾頭片と共に火花が散る!
しかしながらニンジャの機動にモーターヤブのFCS処理能力は追い付かない!スピットファイアは銃撃を掻い潜りながら街路樹に取りつき、ニンジャ筋力を頼みに砲弾めいて射出!飛び蹴りだ!
スピットファイア:「イヤーッ!!」
モーターヤブ試作型:「ピガッ、ガガガガッ…………ピガガガーーーーッ!!?」
ハイカットブーツ裏のスパイクが出鱈目な射出速度によってもたらされた力を借り、徹甲弾めいてモーターヤブの装甲に食い込む!
巨体が強烈なケリ・キックの威力に吹き飛ぶ!そのまま街路灯に直撃し、爆発四散!
KABOOOOOOOOOOOM!!

スピットファイア:「やっぱこういうのも捨てがてェ!!」得心の笑みを浮かべながら土煙から姿を現す
シルバーカラス:「……我ながら水門のカギの例えは的確だったな」

全てのカラテのムーブメント、その基礎は同一。
シルバーカラスのほんの5分程度のインストラクションは急速にスピットファイアのカラテの血肉となり、モータル時代のワザマエと融合しつつあった。

敵NPCの手番
スモールヤブ:サスマタ攻撃

NinjaSlayer : (4B6>=4) → 3,6,4,6 → 成功数3 → サツバツ!!

だが好事魔多し、スモールヤブが電圧を全開にしたサスマタ刺殺攻撃を繰り出す!

スピットファイア:6コ回避だ

NinjaSlayer : (6B6>=4) → 5,5,5,4,2,3 → 成功数4

スモールヤブ:「モーーータアアアアアアアアアアアアア!!!」
遮二無二突進をしかけるヤブ!直撃すれば致命傷は避けられぬ!
身を躱しサスマタを回避、伸び切った腕に一撃!
スピットファイア:「オコテ!!」
「ピガーッ!!」サスマタを取り落とすヤブ!

シルバーカラス:「あちらは後少しでカタが付くか……」
シルバーカラスのカタナが閃く。そして、その腕からいくつものスリケンが放たれた!
オーエル:「エ……アバッ」
サラリマン:「グワッ……!」

スピットファイア:「(!!)」

「ナムアミダブツ」小さく呟くと、そのままモーターヤブに対峙する。
「余所見している場合か?」
「――そうだな!後でじっくり聞かせてもらうぜ!」赤毛の女ニンジャは怒りの色を隠さない!

●4ターン目

スピットファイアの手番
スピットファイア:集中→強化強攻撃!

(編注:それしかコマンド知らんのかこの猿ゥ!!)

NinjaSlayer : (8B6>=4) → 6,6,6,2,5,3,4,2 → 成功数5
NinjaSlayer : サツバツ表(2) → 「観念してハイクを詠め!」頭部への痛烈なカラテが命中! 眼球破壊もしくは激しい脳震盪が敵を襲う!
 『痛打+1』。敵の【体力】を減らした場合、付属効果として『ニューロンダメージ2』と『ワザマエダメージ1』と『●部位損傷:頭部』を与える。

「ピガッ、ピガガッ……!」BRATATATA!サスマタを取り落としたスモールヤブはスピットファイアを銃で迎撃しようとする!
スピットファイア:「もう十分暴れただろ、なあ!」
火線を掻い潜り接近、脚部を踏み台に跳躍!「イヤーッ!」首を斬撃!
スモールヤブ:「ピッ……ガッ……オムラ、バンザ――」
最後まで言う事許されず、スモールヤブは爆発四散!!

そして同時に――

ヒサツ・ワザ「ムーンシャドウ」発動

シルバーカラス:「イ……ヤーッ!!」
モーターヤブ:「ピガッ、ピガガガガーーーーーッ!!」
モーターヤブは動力部を両断され、爆発四散!
同時に指揮官機を失ったことでせわしなく動いていた暴走ドローン達が行動を停止!

◆戦闘終了◆
◆完全勝利◆


「あと二人か」
シルバーカラスは無造作に言うと、スリケンを投擲した。
標的はスピットファイアの背後のOLとサラリマン。
BLAM!!
シルバーカラスのスリケンの1発は咄嗟に抜いたショットガンの一撃に弾き落とされ、もう一発はサラリマンの喉元に突き刺さった。

オーエル:「アッ、アイエエエ……!!」

シルバーカラス:「……まあそうなるよな、正義のヒーローなら」
スピットファイア:「クソッ……どういうつもりだ?たまたま居合わせただけのモータル相手に何を?コラテラルダメージなんて戯言はナシだぜ」
シルバーカラス:「クライアントは新商品の情報漏洩を恐れておいでだ。それ故ボーナスが重点される、それだけだ」
スピットファイア:「なるほどな…アンタの正体はオムラのケツ拭きか」
シルバーカラス:「オムラに限らない。いつものビズだ」
シルバーカラスは腰のカタナに手をかける。

BEEP!BEEP!
サハリ:『おい、聞こえるか! アカネ!』
スピットファイア:『親父さん…無駄話だったら後にしてくれ。今はそれどころじゃなさそうだ』
サハリ:『お前の命にかかわることだ! オムラが今回の件に後始末のニンジャエージェントを雇った』
サハリ:『名前はシルバーカラス。NSPDでも知られる名うてのエージェントだ、会っても絶対に手を出すな!』
サハリ:『……警察上層部もオムラと手を打ち、今回の件は非公表にすることとなった』
ギリ、とサハリが奥歯を噛みしめる音が聞こえる。
スピットファイア:『手を打つ?マッポや民間人も死んでるんだぞ?』
サハリ:『腐った上層部の考えることなど分かるか! だが、そのシルバーカラスはニンジャエージェントであると同時に……』
サハリ:『――”サイバーツジギリ”という、新兵器テストを行う連続殺人犯でもある』
サハリ:『いいか、くれぐれも手をだすんじゃないぞ!』一方的に通信が切れる。

シルバーカラス:「電話をしている場合か?」スリケンが投げ込まれる。

NM:止めるなら回避ダイスで判定HARD

NinjaSlayer : (6B6>=5) → 1,1,1,3,2,1 → 成功数0

NM:ブッダ……
PL:ダッセ!

オーエル:「ア……」
スピットファイア:「待て…ッ!」
スピットファイアがIRCに気を取られた一瞬のスキをつき――
シルバーカラスのスリケンがOLの心臓を貫いた。
ドサリ、躯になった体が倒れる音が聞こえる。そこに重金属酸性雨が降り注ぐ。

シルバーカラス:「これで任務完了だ」
シルバーカラス:「野良ニンジャとやりあうところまではボーナスに入ってないんでな」
鉛を想起させる、低く重い声でシルバーカラスが終わりを告げた。
スピットファイア:「…良いのかよ。アタシは一部始終を見てきたんだぜ?」
シルバーカラス:「別にやりたいならやってもいい。事後の値段交渉は面倒だが、多少のボーナスはつきそうだからな」
シルバーカラスの声には一切の抑揚がない。感情を完全に排したプロの声だ。
シルバーカラス:「やるならそれでも構わない。お前の”走り”はここがゴールになるだけだ」

ここは重要な選択になります。
意地を選んでシルバーカラスと戦闘することも可能です。
但しその場合勝ち目は薄く、生き残ったとしても大きな代償を払うことになるでしょう。
ただしここで引くのもまた、スピットファイア……いや、アカネの心に傷を残すでしょう。
どちらを選ぶかは、彼女の選択次第です。

シルバーカラス:「どうする、やるのか? ……やめとけよ」
シルバーカラスはそう言い、一歩を前に出した。逃げるならこれが最後のチャンスだ。
スピットファイア:「クソッ!」
スピットファイア:無軌道な散弾乱射で近場の物を破壊、障害物にして逃走を試みます

シルバーカラスは銃弾、飛散物その全てを切り払うも……それ以上前には進まなかった。

顔を動かすことすらせず、ただその場に佇み――
そのまま見えなくなるまで動かなかった。



◆◆◆◆◆

スピットファイアが気づくと、いつの間にかネオサイタマの路地裏にいた。
少なくともシルバーカラスの気配はない。
逃げ切ったと分かったと同時に、ドッと疲労感が重金属酸性雨とともにスピットファイアの両肩にのしかかった。

身の回りの物全てを放り投げ、ゴミの山の上にドカっと座り込む赤毛の女ニンジャ。
喉が渇いた。傷を負った腕はとうに感覚を失っている。もう、走れそうにない。逃げる気力すら使い果たした。

???:「……あの、ダイジョブ、ですか?」
ふと、頭上から声がする。
気づくと、一人の少女が心配そうにスピットファイアを覗き込んでいた。

「……あ、お姉さん」アカネの顔を認めると少女はその目を丸くした。
「…こんな裏路地で人に気ィ使える嬢ちゃんと会えるとはな…ドーモ、ダイジョブ…」
「うん、でも怪我してる」アカネの腕の銃創を見咎めると、少女はポーチから包帯を取り出しアカネに手当しようとする。
「また、戦っていたの? 誰かを助けて……」
また?違和感を感じて少女の顔を見る。名前を思い出す事は叶わなかったが、憂いを帯びた眼差しには見覚えがあった。

「私達、どこでアイサツしたかな」
「ウン、昔ヤクザの事務所で」「助けてもらった」
「…そっか。元気そうだね」「無事でいてくれてよかった」
鮮明な記憶こそ無いが、彼女の顔に安心を覚えたのは確かだ。
「うん、お陰様で」少女は小さく微笑んだ。「色々あったけど」
包帯を巻き終え、「できた」と小さく呟く。

「この街で生きてれば、色々ある」
「ウン、そう思う。……だからこそ、助けてもらえたらその人はきっと嬉しいんだと思う。少なくとも、アタイはそう」

少女はひととおりの治療を終えると立ち上がった。
その腰には不釣り合いなヤクザドスダガーがさげられている。それ以上に、少女に感じる違和感……力のようなものは……少なくとも、以前事務所で出会った時はなかったものだ。

???:「アタイ、そろそろ行かなくちゃ」
アカネ:「そっか…助けてくれてありがとう。」
アカネが少女に向かって手をさし出す。
アカネ:「改めて、アイサツしてもいい?」
???:「ウン」
少女はさし出された手をそっと握った。

アカネ:「ドーモ。…私は、セビ・アカネです」

ヤモト:「……アタイはヤモト。ヤモト・コキ。ね、アカネ=サン」
アカネ:「ドーモ、ヤモト=サン。今度はちゃんと覚えたから」
ヤモト:「うん。この前、助けてくれて本当に嬉しかった」
ヤモト:「だから、これからも頑張って」

ヤモトの目に僅かな疲れの色が浮かび、すぐに消えた。
ヤモト:「じゃあ、行くね。また」
アカネ:「うん…またね」
「またね」ヤモトは繰り返し小さく微笑むと「イヤーッ!」跳躍し消えた。

BEEP BEEP
サハリ:『アカネ、無事か?』
アカネ:『生きてるよ』
ゴミの山の上に身を放り投げ、ひどく曖昧な答えを返す。
サハリ:『それは何よりだ。今、オムラから事態を収集したという連絡があった。お前も本当にご苦労だった。帰還してくれ』
アカネ:『そうさせてもらうさ』
今日のビズも無事に成功した。現場に残った鉄屑、血だまり、死体袋は何も語らない。いずれはオムラの隠蔽チームが鉄屑を持ち去り、死体袋もネオサイタマの清掃業者が収容し、重酸性雨が血を洗い流してしまうだろう。
アカネは報酬にありつき、オムラの醜聞は闇に葬られる。何事も無かったかのように、ネオサイタマは次の朝を迎える。

アカネ:『…親父さん、アンタは自分の仕事って実は無駄な悪足搔きなんじゃないかって思う事はある?』
敗北の実感から、くだらない言葉が思わず口に出た。
サハリ:『……そんなこと、しょっちゅうだ』
アカネ:『そっか。……じゃあ、アタシ達は仲間かもね』

サハリ:『……だがなアカネ、私はこうも思う』
サハリ:『それでも世の中に苦しんでいる人がいて。無駄な悪足掻きしかできんのなら。それを誰かがやらなければならんのなら』
サハリ:『我々でやってやろうじゃないか。とことんまでな』
アカネ:『そうだね…うん…アタシ達には…それしかできないもんね…!』

アカネ:『……じゃあ、入金はいつもの手筈で。次のビズの話、待ってるから』
サハリ:『わかった。……ああそうだ、アカネ』
サハリ:『ありがとうな』
アカネ:『なんだよ……どういたしまして』

かくして、今回のスピットファイアのミッションは様々なものを残し終わった。
新たなるカラテと無力感、そして感謝。
果たして何を掴み、何を取りこぼしてしまうのか。
それはブッダのみぞ知る。

【リトル・バード・ファインズ・オールド・クロウ】おわり


後日談(余暇)

カラテ成長の壁1突破(名声5報酬)
「スピットファイア」に転変して数か月。街のフィクサー達からオファーされるビズやNSPDのツテで依頼される荒事といったヤマを踏み、なんとか五体満足で今日まで生き延びてきた。
あの男――シルバーカラスはきっと「運が良かっただけ」と言うだろう。しかしそれが事実であろうがなかろうが、実際スピットファイアの名を知る者達は徐々にその数を増やしている。
この暴力の街は腕の立つ傭兵を常に求めている。スピットファイアの手元に舞い込むオファーは更に危険な物になっていくだろう。

「●シルバーカラスのインストラクション」使用、「NPCとの強化合宿」扱いでワザマエ壁1突破
シルバーカラスとの出会い、彼のインストラクションはスピットファイアの力任せなイクサの有り方を変えようとしていた。
鋼を叩き割る事は容易ではない。だが切っ先に力を集中し「線をなぞる」事は?敵の白刃が描く死の軌道を読み、それを掻い潜る術を身につける事は?
無論、それらも至難であろう。果たしてその域にたどり着けるか、保証などどこにも存在しない。
しかし――あの男の教えは険しい道に続く確かな突破口をスピットファイアに授けた。


あとがき

編者兼PLの楓です。シルバーカラス回でした。
俺の推しが無限にカッキェー……
編集してて思ったんですが最後の対決シーンはシルバーカラスに殴りかかるのが正解だったかもしれない…(腕の一本二本で済めばの話ですが)
PLの小心者ぶりが出てしまいました。

スピットファイアにしてみれば「突然現れた格上のニンジャに命の危険感じたり懐かしい声を聴いて少しだけ過去が愛おしくなったりインストラクションを受けたら早速結果にコミットしたりしたかと思えば目の前でモータル殺されて目が曇った挙句尻尾巻いて逃げるハメになり路地裏で虚無ってたらこれまでの戦いが決して無駄な事ばかりではなかったのを知りちょっと泣きたくなる」という感情ジェットコースター。感情グチャグチャなるで。

ブッダ「ネオサイタマで善玉やろうってんならグチャグチャに苦しんでもらわないとね……」

ゲイのサディストがよぉ…

アカネがディセンションした後も自分の手の届く範囲の物を守る為に世界と向き合う理由を今更考えてみたんですが、あまり良い理由付けが思い浮かびません。
アカネが救いようのないおバカさんで、折り紙つきのお人好しで、周囲の人間の善性に恵まれて、スピットファイアのソウルが並外れた反骨精神の持ち主だった……今のところはそういう事にしておきます。なんか別の解釈があったら教えてください。

スピットファイアのカラテは今回のシナリオを経て鋭さを増しました。
果たして彼女のカラテはどれだけの物を守る事ができるのか、それともまた指の隙間を虚しくすり抜けていく様を見る事しかできないのか。物語は次のセッションへと続きます。

【おことわり】スピットファイアの顔アイコンはartbreederを、マスハナ・ノゾミは警鐘が鳴ってるをそれぞれ使用しています。タレ目瞳孔ガン開きギザ歯お姉さん…実際層ですよコレは!!
シルバーカラス・ヤモト・モーターヤブのイラストは「ニンジャスレイヤーTRPG用フリーイラスト byぎだ」からお借りしています。【感謝】

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