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冬が来るまで、浮気します。

ラムレーズン味 | アイスのお話







登場アイス :

主演アイス
MOW(モウ) ラムレーズン / 森永

助演アイス
牧場しぼり 芳醇ラムレーズン / グリコ









「 浮気しました。」




いつの日からか私は、
MOWのカップアイスの
ラムレーズン味に
どっぷりとはまり続けている。

愛してやまない。

だけど最近、
驚愕なことに気づいた。



MOWのラムレーズン味は、
「 冬季限定 」なのです。




こんな恐ろしいことに、
何年間も気づいてなかった。
MOWラム愛好家として失格だ。

( 以下、MOWのラムレーズン味を、
「 MOWラム 」と呼ぶことにする )



柔らかくてなめらかで純白で、
たまにお酒香る誘惑的な
あのMOWラムに、
1年のうちのほんの数ヶ月しか
出会えないなんて、
そんなの耐えられない。

今まで気付かず耐えられていた
春夏秋の期間は、
きっと幻だ。




コロナでしんみりとしているこの夏も、
MOWラムは、
どこのスーパーに行っても
あの冷たくて透明なガラスのショーケースの
向こう側にはいない。


MOWラムのいとこ、
バニラ、抹茶、いちごたちは、

( 彼らとMOWラムは、
冬の帰省期間にしか会わない
いとこのような関係なのです)

自分たちのエリアで
一年中みっちりと整列している。
その中でも抹茶は
季節に関係なく人気者のようで、
夕方になると
奥の方で数少ない仲間で
厚紙に囲まれたカラダを寄せ合っている。

実は私も、
抹茶、
手にしちゃう。



でもどうしても
ラムレーズン味が食べたくなるもので
スーパーやコンビニに行くたびに、
気づかないうちに
紫色のパッケージを探してしまう。


でもやっぱり、いない。






つい最近、
なんとなくいつもと違うスーパーに
ヨーグルトと豆乳を買いに入った。

レジに向かう途中で、
大きな冷凍庫の中のので
紫色の袋に入ったアイスが目に留まった。


少しばかりか鼓動が速くなる。


だけど、夏なんだから
あのMOWラムはいるはずがない。

近づいてみると、
その紫色のプラ製の袋には
「 牧場しぼり 芳醇ラムレーズン 」
という文字と、
レーズンたちが顔を覗かせている
紫色のカップに入ったアイスを
木のスプーンですくっている
イメージ写真が描かれていた。


新鮮は、おいしい
を謳っている牧場しぼりなら、
もしかしたら
愛してやまないMOWラムの
あの濃厚な口溶けに、
擬似的にでも
再会させてくれるのではないかと思い、
迷いなく1つ掴んでレジへと向かった。

早く家に帰って
あの包み込まれるような
MOWラムの感覚に触れたい。

レジに並んでいる間も
ドキドキが止まらない。
ソワソワが止まらない。

いつもよりレジの進みが遅く感じる。
でもイライラなんて少しも生まれない、
左手には大事な牧ラムがいるから。

( 以下、牧場しぼりのラムレーズン味を、
「 牧ラム 」と呼ぶことにする )

レジを済ませ、
鞄にヨーグルトと豆乳と共に牧ラムを
さっと入れた。


いつもに増して、早歩きになる。
歩いて5分、家にたどり着いた。

マスクを外して手を洗って、
スプーン片手に
鞄から牧ラムを取り出し
袋の端を両手で掴んで、
ぱふっ と開けた。

カップの上の薄っぺらい蓋を全て剥がし、
鼻を近づけて思いっきり息を吸う。

ラムだ〜あ

すかさず一口。
瞬間で脳みそとろけた。


MOWラムのことを思い出しながらも、
その時は
牧ラムのミルキカルな優しさに、
心も胃袋も脳みそも
ふわふわあと舞い踊っていた。







この夏、
あなたに夢中になる予感。













「 冬が来るまで、浮気します。」