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3WAYピザ窯がギフトショーグランプリ獲得に至るまで


note投稿です。

昨日、同じく出展の東京インターナショナル・ギフト・ショー
LIFE&DESIGNアワードにてグランプリをいただきました。

詳しくは▼
東京インターナショナル・ギフト・ショー春2022 第11回LIFE×DESIGN|(株)ビジネスガイド社 (giftshow.co.jp)

弊社株式会社タシロは従業員12名の小さな板金加工の町工場です。
産業用装置の部品や桟橋のフレームなど製造しており、元々受託生産のみでした。
1年半ほど前から自社製品の開発・販売をはじめて
何と日本最大規模の展示会 ギフト・ショーにて全国の何万点もの商品のなか3WAYピザ窯グランプリに選んでいただきました。
※アワード受賞にはコンテストへの出品が必要であり、全ての商品がコンテストに出品されているわけではありません。

グランプリ受賞 3WAYピザ窯

小さな町工場が日本最大規模の展示会にてグランプリを受賞できた経緯を記します。


1. なぜ自社製品を始めようと思ったか?

元々人材紹介業にいた私は3年ほど前に家業の株式会社タシロに入社しました。
入社したての私にできることは、技術職以外のこと。
元々知識のあった人事労務、そして広報やブランディング、補助金申請等々。
しかし、自社のPRをしたくても完成形としての自社製品がないとホームページにもなかなか載せることもできず、展示会にも加工品を展示することができません。
製造している社員も、作っているものは「〇〇の部品」なので、自分が担当した部品が使われている最終形を生で見ることもほとんどなく、発注元からの図面通りに100%できるかできないかで仕事のやりがいが大きく関わるような状態でした。

小規模企業だからこそ、社員の仕事のやりがいを大事にしたいと考えていた私は、何とか自社製品がつくれないかと、日々アンテナを張って生活をしていました。

2020年タシロ 集合写真


・初めての自社製品

2020年4月、朝テレビを見ていたら、

『NYの技術者がコロナ対策用にドアレバーに直接触れずに使える真鍮製品を開発中。
クラウドファンディングを実施し3時間で50万円が集まった。』

というニュースが目に飛び込んできました。

「これはうちでも作れる!」と思い、その後直ぐにCAD担当の社員に
「こんものを作りたいんですが、できますか?」と
類似製品をネットで調べた情報とデザインラフ画を持っていきました。

その日のうちに試作ができ、株式会社タシロの自社製品1号「タッチレスハンド」が完成しました。

丁度その頃、創業者である祖父が亡くなった前後で、葬儀は親族のみで執り行ったのですが、会葬御礼とともにタッチレスハンドを親戚に渡しました。
「アイディアが良い」と結構好評でした。
祖父は終末期を自宅で過ごし、私も介護と仕事の両立だったのですが、あと2週間早くまだ意識がはっきりとしている間に自社製品を見せられたら良かったと悔やまれます。

タッチレスハンド / タッチウオ
タッチレスハンド / ねこのて

・エンドユーザーからの評価

そんな自社製品第一号を販売しようと、思いECモール関係の仕事をしている友人に相談に乗ってもらい、BASEとYahoo!ショッピングで販売を開始。
2020年5月~6月の頃です。

タッチレスハンドはローカル番組のテレビ神奈川さんやいくつかのメディアにも取り上げていただき少しずつ販売が伸びていきました。
そのうちレビューも増えてきて、
「デザインが可愛い」「発送が迅速」「つくりがしっかりしている」など嬉しいお言葉をいただきました。

自社製品を出したことで、エンドユーザーから直接評価をいただき、作り手である社員も喜んでくれました。

その後もねこ好きである社員が、名入りできるペット用の冷却シート「ねこの寝床」を開発したり、徐々に自社製品を増やしていきました。

2. 3WAYピザ窯開発に至るまで

世は第2次キャンプブーム
何か自社でもできないかと思い、

2021年1月15日(金)アウトドア好きの友人とのアイディア出しが始まりました。
まずはLINEやZoomでやり取り。
はじめは焚火台とピザ窯の2WAY案でした。

こんなやり取りから3WAYピザ窯構想がスタート

その後は試作をしてみて、キャンプ好きの知り合いたち10名ほどにモニター利用で協力してもらいながら、ひたすら火を使って実験をする日々を6ヵ月。
途中で何人かから「燻製もできたらいいよね!」とアドバイスいただき
燻製もできる仕様にして3WAYピザ窯の形式になりました。

開発途中のやりとり

完成イメージができ先行販売でクラウドファンディングを実施した6/30~8/1の約1ヵ月間もプロジェクト期間の終了日まで毎日より使いやすいようにと改善してきました。

社内打合せ風景

大分端折りましたが、この6ヵ月間で100回以上焚火と向き合い、モニター利用者含め20人以上にアドバイスをいただきながら、30回以上試作をしています。

3WAYピザ窯開発についての詳細は3WAYピザ窯クラウドファンディングPJページと活動報告をご覧ください
自宅で親子で楽しめる!厚さ10mmの超コンパクト3WAYピザ窯 - CAMPFIRE (キャンプファイヤー) (camp-fire.jp)

試作(ほんの一部)

3WAYピザ窯の初期の試作段階では窯を密封させようとスライド式のドアがついていたり。

初期の3WAYピザ窯はスライド蓋付でした・スライド式のドアをつけてしまうと焼き具合が確認しづらい・スライド式のドアがなくても十分窯の温度は高くピザは焼けるし、熱燻もできる。

そんなこんなでクラウドファンディングも多くの方のご協力の元
1ヵ月間で120万円のご支援をいただき(目標達成率300%)無事に終了。
その後は自社販売サイトにて一般販売をはじめました。

開始50時間で100%達成し、最終的に300%達成という結果になりました

3.  ギフト・ショー出展の経緯

3WAYピザ窯の一般販売を開始したものの、思ったほど伸びず、悩んでいた2021年10月。家業に関わる人たちのオンラインコミュニティ 家業エイドさんで知った方が10月開催のギフト・ショーに出展されるとのことで、会いにいきました。

会場に行くと町工場プロダクツ (Home | MAKERS LINK Giftshow (jimdosite.com))という全国から町工場が集まってチームをつくり共同出展されていて、とても盛況でした。
「次は自分も仲間に入れてもらい出展したい!」と思い、帰りにギフト・ショーを運営されているビジネスガイド社さんの出展案内に相談に行き、更に町工場プロダクツにも問い合わせもしました。

そのようなご縁で町工場プロダクツに入れていただき、2月開催のギフト・ショーに出展が決まりました。

4. 展示会ってどうすればいいの?

出展は決まったはいいものの、これまで展示会経験がほとんどなかった私は
・どんなスケジュールで何を準備したら良いのか
・どのくらい労力がかかるのか

色々と不安がありました。

そんなときに今回町工場プロダクツのブースデザインを担当いただきました
スーパーペンギンSUPER PENGUIN)さん という展示会専門にブースデザインをされている企業さまから町工場プロダクツ向けに展示会ノウハウのセミナーを行っていただきました。
また1月にスーパーペンギンさんからお声がけいただき KEEP IT REAL:β (exx-lab.com) という虎ノ門ヒルズフォーラムで行われた展示会にも出展させていただきました。「共創型展示会」という出展者同士、出展者と来場者で「こう展示したらもっと良く見えそう」や「この商品はここをこう変えたらもっと良いのではないか?」などのコミュニケーションを重視する展示会で、その経験が後の展示会に非常に役立ちました。
展示会のノウハウをご教示いただいたスーパーペンギン代表の竹村さんには非常に感謝しています。

来場者からのコメントカードには全て返事を書きました

5. 思ってもみなかったLIFE&DESIGNアワード グランプリ

ギフト・ショー会期中、展示会会場の一角でコンテストが行われるとのことで、3WAYピザ窯を出品しました。
正直、「コンテストに出品することでブース以外の場所でも来場者に見ていただくことになるので、3WAYピザ窯の認知が少しでも上がれば」くらいにしか思ってなく、グランプリはおろか入賞できるなんて思ってもみませんでした。
もっというとコンテスト自体出していいのか分からず、町工場プロダクツの出展経験者の先輩に「無料で出せますし、少しでも認知拡大につながるので出した方がいいですよ!」と一押しいただけなかったらエントリーしていませんでした。

1日目、2日目を通し、1日に2~3組くらいずつ、「コンテストエリアで3WAYピザ窯を見て気になったのでブースにきました~」と言って来てくださる方がいらっしゃってエントリーして少しは効果があったようで良かったと思っていたのですが、
2日目の17時半過ぎに運営事務局の方がブースにいらっしゃって
「おめでとうございます!LIFE&DESIGNアワードグランプリです。
明日11時に表彰式を行いますので10分前くらいに会場にきてください」
と1枚の用紙を渡してくれました。

まさか、まさかで全然実感が湧かないうちに、隣ブースの町工場プロダクツの仲間が「グランプリって1社ですか?」と伝達にいらした運営事務局の方に質問していて
「はい、1社です。」という回答を聞いて
ようやく「大変な賞をいただいてしまったな」と実感が湧いてきました。

グランプリの伝達直後

その後、私の受賞を知った町工場プロダクツのメンバーから
「おめでとうございます!自分も仲間がグランプリ取ってくれて嬉しいです」と言っていただいたり、みなさん喜んでいただいて
3日間1人で会社を代表して出展していた私は、他にその場で喜んでくれる仲間がいて何とも言えない嬉しさにつつまれました。

町工場プロダクツがなかったらギフト・ショーにも出展していませんでしたし、コンテストにエントリーすらしなかったと思うので、本当町工場プロダクツ様様です。ありがとうございます。

LIFE&DESIGNアワード受賞者


6. 最期に~町工場の未来につなげたい~

はじめてたくさんの報道関係者の前でお話させていただき緊張しました

授賞式でこのような話をさせていただきました。

弊社は神奈川県平塚市にある小さな町工場です。
元々は産業用装置の部品等の100%受託生産をしていて、1年半ほど前から自社製品の開発・販売を始めました。
3WAYピザ窯の開発販売をして一番嬉しかったのが、20年以上働く社員が「『お父さんの仕事でこういうものをつくっている』と初めて自分の子供に伝える機会となった」と話してくれたことです。
このような取り組みを今回合同出展している町工場プロダクツのメンバー企業は行っています。

正直、今まで3WAYピザ窯に対して様々な意見をいただいてきました。
「町工場の素晴らしい取り組みですね!」
「こんなにコンパクトになるんですね!すごい!」など嬉しいお言葉もたくさんいただきました。

しかしそれと同じか、それより多いくらい
「板金だけで作ったんじゃ何かちゃっちー」
「町工場がつくってるんですねー、やっぱり小ロットだと高いですねー」
など「町工場」や「板金加工」ということに対してネガティブな印象を持っているんだろうな~というご意見もたくさんいただきました。

3WAYピザ窯は当社の精密板金加工のみでつくり、デザインも全て社内で行っているので、今後もっと良いものをつくっていけるように社外の違う素材や技術をお持ちの方やデザイナーさんとコラボしていければなーとは思いましたが、私としては精神的に結構ダメージを受けていました。

町工場プロダクツのメンバーで私がネガティブな意見を言われているのを度々隣で聞いていたメンバーからは、
「結構ボロクソに言われているのを隣で聞いてきましたけど、グランプリを取ったことで、もう今まで言われてきたようなことは言わせられなくなりますね!」と言っていただけました。

誰もが知る有名ブランドも、製造しているのは町工場だったりします。
色々な意見があって当然だとは思いますが、今回の受賞で、町工場のイメージ、ブランド力が向上することを願ってやみません。
そして今後もより良い製品をお届けできるよう誠心誠意努力していきます。

株式会社タシロ
取締役 田城 功揮

町工場プロダクツの皆さんと集合写真


今回グランプリを受賞した3WAYピザ窯も販売中! 販売サイトはこちら▶︎
https://store.shopping.yahoo.co.jp/tasiro/



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