見出し画像

夕方のEテレ

私は平日に休みを取るとEテレを見ることがある。朝のEテレは15分刻みで色んな年齢対象で様々な番組が流れる。
社会、理科、考え方、数学、あらゆるジャンルの教育番組。
どの番組もわかりやすくとても丁寧な内容。
かなり勉強にもなって面白い。朝はそんな感じで見ていた。

午後はあまり見たことが無かった。テレビをつけても違うチャンネルのことが多かった。
もう数十年夕方のEテレは見ていなかった。
数十年前は年の離れた妹が小さい時に一緒に見ていた。
だから何となくやっている内容を知っていた。
妹に付き添って見ていたけど、妹が楽しんで見て真似ているから一緒に踊ったりしていたけど、目を輝かせて見ている妹を見ながらなんでこんなに食い入るように見られるんだろうと思っていた。
私は軽く流すようにしか見ていなかった。

それが、今日、ほんと数十年ぶりに見たら、なんかもう、なんかもう、とっても大事な物をもらった。
チャンネルをつけたら偶々Eテレで、偶々好きな動物のきりんが出てくるシーンだった。ほんとそれだけだったのに、きりんのシーンが終わっても珍しくチャンネルを変えずに見ていた。

「おかあさんといっしょ」が始まった。いつもならここでチャンネルを変える。妹が当時好きだったキャラクターはもう出ていないから特に懐かしさも無い。
だったはずなのに、ある歌で私は釘付けになった。

飛行機雲の歌だった。飛行機雲は飛行機が飛ぶ時に外気が急激に冷やされたり気圧が下がったりした時にできる大量の氷の粒だ。
その飛行機雲に対して、お空にお絵描きって表現していた。地球にお絵描きすると言う。

時折空を見上げて飛行機雲が見えるとワクワクする。でも綺麗だなとか写真撮りたいとか思うくらいで、空にお絵描きとか今の私には思い浮かばない。飛行機雲って基本まっすぐだし、なんと言うかこう景色の一部みたいな感じ?

いつからこんな風に見るようになったのか。私は子供時代、発想力豊かだったはず。私自身小さい時は色んな遊びをやったし、年の離れた妹のために色んな遊びを考えたし、楽しませていた。当時の私ならお絵描きと言う発想もすっと普通に聞いたはず。それがいつから無くなった? いつからこの見方ができなくなった?

覚えていないけれど、あの頃に比べて頭が相当硬くなったのは確かだ。飛行機雲はお絵描き、そんな柔らかい発想、そんな優しい世界の発想、それって絵本の世界。ふわっと柔らかい絵本の世界だ。

あんなに大好きだった絵本の世界からいつの間にか遠ざかっていた。こんなにも離れて、でも離れたことに全く気付いていなかった。夕方のEテレは、ちょっと見えなくなってたものを照らしてくれた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?