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📕百年の孤独(🖋G.ガルシア.マルケス)〜初読の感想〜



「怒濤の」ラスト3ページだった。
大河が、突然大瀑布となって目の前から消えてしまったかのような。
後には、深い緑の密林が鎮まりかえっているだけ。

読み終えて、ふうっと大きく息を吐き深呼吸した。
じんわりと、森の深閑とした空気と物語の重みが胸の中に広がって、
涙が出そうだった。

震える物語だった。



昨年、インタビューか何かで、
村上春樹さんがステイホームで読んだ本を聞かれて
ガルシア=マルケスの「コレラの時代の愛」を挙げられていて、
それでマルケスという作家、「百年の孤独」という小説を知り興味を持った。
書店で手にして頁を繰ってみると、
500ページ近くある翻訳もの、タイトルからして難しそう。
今年中に読む、あらすじなどの予備知識なしで読むという目標を立てた。
結局、年の瀬迫った今ごろになってしまったけど、
かえって、このタイミングで良かったと思う。
冬、寒さが厳しくなっていく12月、一年の終わり、
物語の余韻に浸りたい気分に似合っている。

ブエンディア家の人々、マコンドという村、村人たちを私はずっと見続けていた。
一人ひとりが笑い、怒り、恐れ、生き生きとしていた。
村には人々の営みがあった。
それなのに…。

栄枯盛衰、ということなのか。
私が見てきたものは幻だったのか。
今の私の心境は、
再読したいと思える素晴らしい本に出あえた歓びと混ざり、
複雑。

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