ギフトは単品より詰め合わせの方が、思いは伝わるのです|村上春樹作品からの気付き
村上春樹作品における比喩
久しぶりに村上春樹さんの短編集を読み返しました。
村上春樹さんの小説には“比喩”がよく登場します。
たとえばこんな感じです。
『10分ばかり後でグレープフルーツの様な乳房をつけ派手なワンピースを着た30歳ばかりの女が店に入ってきて僕のひとつ隣に座り、僕がやったのと同じように店の中をぐるりと見回してからギムレットを注文した』
こんな比喩、ボクは結構好きですね。
情景が五感で伝わってくるから。
たとえば『グレープフルーツのような乳房』の女の人ってどんな人だろう?
乳房の形だけでなく、ヘアースタイル、ファンデーションの色、リップのツヤ、着ているワンピースのフィット感、香水の香り・・・そんなものが思い浮かんでいきます。
単に、『大きな乳房』とだけ書いてあったらそこまでは想像できない。
『グレープフルーツのような乳房』という比喩の力が成せる技のような気がします。
“一点”より“詰め合わせ” パッケージのほうが伝わる
村上春樹さんは、自身が比喩を多用することに関して、こんな風に述べています。
『比喩というのは言うなればパッケージです。ただモノを渡すだけではなく、モノの詰まったパッケージを渡すのです。ただの意味を共有するのではなく、総合的な、複合的なイメージを共有するのです。これは書く方にとっても、(たぶん)読む方にとっても、素晴らしい達成だろうと僕は考えています。もちろんそう考えない方もいるだろうとは思いますが。』
これってビジネスにとっても、気づきの多い言葉のように思います。
たとえば、親友に待ち望んだ女の赤ちゃんが生まれたとします。
誕生祝いにプレゼント、何にしようかな・・・そんな時。
●高価なベビーベッド一台を送ること。
●ベビー服、帽子、手袋、靴下、よだれかけ、ガラガラ、タオルケット、オルゴール・・・その全てが女の子らしいフェミニンなテイストでまとめられているパッケージを送ること。
どちらが思いが通じるのか?ということ。
例えを広げてみるとこんなことも言えるかもしれません。
お洋服屋さんだからお洋服だけをお客さんにおすすめすることと、そのお洋服がよく似合うインテリアや観葉植物、そのお洋服に合う音楽、そのお洋服を着ている人に似合うエプロンやキッチン雑貨、ヘアースタイルやメイキャップアイテムまでをコーディネートして差し上げること。
この違いも同じかもしれません。
一点の“モノ”よりも、モノの詰まった“パッケージ”のほうが伝わる、ということ。
あなたのビジネスにおける“パッケージ”とはなんですか?
そしてあなたは“モノ”を売っていますか?
それとも“パッケージ”を売っていますか?
これが、これからのビジネスのヒントになっている気がしてならないのです。
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