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【マイソングス】ヒルビリー・ガール "Hillbilly Girl" / リザ・マクヒュー (2014)




前回の【マイソングス】シリーズのコメント欄で、ヤンキーミュージックの話がチラっと出て、「横浜銀蝿かっ!」と驚きましたが、ここではその"やんきい"ではなく、アメリカ大陸の方のヤンキー、いわゆるYankeesのこと。
新大陸アメリカには、元々地方色の強い伝統音楽が寄り集まって来て、そこから新しい音楽が出来上がっている所に繋がる私の興味。

アメリカと言えばカウボーイ、カウボーイと言えばカントリー・ミュージック。
では、カントリーはアメリカの伝統音楽であるのか?
この疑問は、私の中での長い間のミュージック・ジャーニー。
何故かと言うと、カントリーを聴けば聴くほど、アメリカからは遠ざかっていってしまうから。
それはまるで、打ち込みを続ける剣士のようで、「まだまだ〜、も一度型から出直して来い!」的な原点回帰を突きつけられてしまうから。

今日のリザ・マクヒューが歌う「ヒルビリー・ガール」も、二度見しちゃう!
イーハッ🤠こりゃ、カウボーイ、カントリーでしょ!

いやいや、画像をよ〜く見てみると...
ここ、どこ?
やや薄暗いお日様の日に欠ける石畳。石畳=ヨーロッパ。
そうです。ここはアイルランドはグラスゴー!

これはいわゆる逆輸入。アメリカのカントリーは元々アイルランド系移民が持ち込んだ伝統音楽。
最近のU2もあんまりよく知らないアイルランドのニュージェネレーションの間ではこの新しいネオ・アイリッシュ・カントリーってのが人気上昇中。

この曲の中でも使われている弦楽器。ヴァイオリンですよね。
しかし、このヴァイオリンという言葉も、実は語源はイタリア語🇮🇹
では英語では? アイルランドやスコットランドではこれはフィドル。
そのフィドルを持って来た移民のお陰で、この楽器を使ったのが、ブルーグラスやカントリー。

では、ヴァイオリンとフィドル、一体何が違うのでしょ〜か?

1)形、構造、楽器自体は同じ。
2)奏法が正反対に違う。

たったのこれだけ。
では奏法の違い、とは?

〈クラシックヴァイオリンの奏法〉
① ビブラートをかける。
弦を抑えると同時に、指を震わせ、音を揺らす。
② ビブラートが演奏上の特徴のため、ビブラートのかからない開放弦(指で抑えない音)を極力避ける。

と言うことは、その正反対をやれば、
〈アイリッシュフィドル奏法〉
① ビブラートをかけない。(ノンビブ)
② 好んで開放弦。
➂ フレーズごとに独特の装飾音が入る。
→これはどういうことか。

こちら、スコットランドの伝統楽器、バグパイプ。これは真ん中の袋に溜めた空気を押し出す事で、笛の部分のリードを振動させて音を出すもので、途切れない音を出すことが特徴。
逆に言うと、細かく切れたメロディは演奏不可能。

似たような楽器はあるものの、地理的に近いアイルランドでもこの楽器を簡単に"マネ"して演奏に挑戦。
それをフィドルで演奏すると、長音が続いた後、第2音目に入る前に違う音を短く入れる。するとメリハリが付き、それが独特の装飾音になる。
それを聴いてみると、演歌で言うコブシのようになり、アイリッシュぽく聴こえる、という訳。

どうですか?
クラシックのヴァイオリンとは違った音色ですよね。

また、リズムもアイリッシュ独特。
これはジグと呼ばれる民俗的舞曲の一つで、6/8拍子。常にタタタ、タタタというリズムが続きます。アイルランドではダンスもまた大切。

リザ・マクヒューのMVの中でも女の子達が並んで華麗な足さばきを見せる、ステップダンス。
プロテスタントのイギリスがカトリックのアイルランドを統治していた16世紀。
今でも学校で必須であり、喋れないと公務員試験に合格しないというゲール語と、民族色強いアイリッシュダンスも当時は禁止。そのため、窓からでも踊っていることがわからないよう、下半身のリズム刻みがダンスになったことの名残りである
アイリッシュダンス。このダンス、基本上半身を動かさず足のみのステップ。
そしてこれは、映画『タイタニック』でディカプリオが船内で踊ったり、『雨に唄えば』でジーン・ケリーが披露したお得意のタップ・ダンス等へと発展。

1994年のユーロビジョンは、アイルランドが開催国。「リバーダンス」が話題に。

まさに美脚オンパレード!
フラメンコやタンゴともまた違った、ジグのリズムでタタタ、タタタと軽やかな脚フェチへのアプローチ。


アイルランドの音楽については、奥が深すぎるので、またの機会にご紹介するつもりです。
これ、続きますよ。



マイソングスを聴きながら。



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