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母親にしてもらう

わたしが母親であることを自覚したのはすごく遅い。

初めて自覚が芽生えたのは、上の子が4歳になったばかりの頃のこと。

それまでは、子育てという大きなタスクがわたしの生活に追加されたくらいの感覚。

ちゃんと育児していたし、事実上、母親だったけれど、人から呼ばれる「ママ」や「お母さん」という言葉にしっくりきていなかった。

結婚して、苗字をかえたばかりの頃みたいに。

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自覚や実感よりも押し寄せてくる現実を受け止めることに忙しい日々。

初めての連続での戸惑い。
想像していなかったワンオペ育児の疲労感。
不完全燃焼な仕事。

どれをとってもお世辞にもうまくいっているとは言えなくて、全てが中途半端。
激しい憤りを感じていた。

そんな自分の感情の消化活動に忙しかった。
だから4年もかかってしまったのかもしれない。

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その日は仕事がそれほど忙しくなく、二人目の妊娠中、つわりもおさまり、精神的に余裕があった。

保育園で、お誕生日会の日は、父母も参加してよくて、そのあと給食も食べても良いですよという日。

娘のお誕生日月のお誕生日会の日、わたしは仕事があったのでお誕生日会だけ参加してすっと抜けた。

彼女は、一緒に遊んで給食も食べられると思っていたらし、泣いていて、後ろ髪引かれる思いだった。

なので1ヶ月後のお誕生日会の日に保育園で一緒に遊び、給食を食べて、帰ることにした。

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娘と保育園の部屋の隅で遊んでいると他の子も寄ってきて一緒に遊んだ。

遊びながら、他の子はお母さんと遊べていいな〜という雰囲気を出し、娘もいいでしょ〜と言わんばかりに嬉しそう。

言葉にはしないけれど雰囲気や態度で伝わってくる。
滲み出る感じがほんとにかわいい。

みんな自分のお母さんが誇りだし、お母さん大好きなんだなぁというのがすごく伝わってきた。

なんの疑いも打算もなく、純粋に好き。
その真っ直ぐさがかわいいし、愛おしい。

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帰り際、お昼寝のお布団の上でバイバイをした。
案外すんなにお別れできたなと思っていたら、お迎えの時に先生に、
「あの後泣きながら寝てたんですよ、ママがお仕事だってわかっていたから無理言わずにバイバイしたんだと思います。
一緒に遊べたことがすごく楽しくて仕方なかったみたい。
私が抱っこしようか?っていってもいいって言って、自分で消化して切り替えていました。大きくなりましたね。」

と言われて、もう泣きそうになった。

私は仕事を優先していたし、軽い気持ちで半日保育園で過ごすかくらい。
そして、4歳児に気を遣われていた。

娘にとっては思い出して泣いちゃうくらいに楽しい出来事。
自分の感情をストレートに吐き出す年齢は通過し、相手のことを考えて無理は言えないと感情を自分で飲み込み、消化していた。

その成長とギャップに、
彼女にとっての私の存在の大きさに、驚いた。

不完全な私でも、こんなに一途に好きだと思ってもらえて、彼女の中でとても大きな存在でいる母親業って偉大だ。
そして間違ったことをしてしまいそうでちょっとこわい。

だから、何をどうちゃんとしたらいいかなんて分からないけど、とにかくちゃんとしなきゃと背筋が伸びた。

無駄に傷つけたりしてはいけない。
私に向けられた好きをちゃんと受け止めよう。

こういう経験を重ねて母親になっていくんだと思う。
いや、母親にしてもらうという方が正しい気がする。

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